ハスクバーナが2023年モデルのモトクロッサーシリーズを欧州で発表。ご存知の通り、基本的なコンポーネントはKTMのニューモデルと同一となるため、2スト4スト共にフルモデルチェンジという形となっている。TC125/TC250にはFIやセルスターターが搭載されているし、FC250/FC350/FC450にはクイックシフターが採用された。その他新設計のフレームやEMS、2種類のFIセッティングが選択可能なマッピングスイッチなど、変更点は多岐にわたる。
主な変更点は以下の通り。
・グラフィックが白基調からグレーベースに
・新設計されたフレーム
・WP XACTフロントフォーク&リアショック
・EMSにロールオーバーセンサーが装備
FC250/FC350
・ハスクバーナ4ストロークモトクロッサーとして初のクイックシフターを搭載
・クラッチバスケットがFC450と同じデザインに
・完全新設計のDOHCシリンダーヘッド
FC450
・新設計のSOHCシリンダーヘッド
・新設計された潤滑系
TC125/TC250
・ハスクバーナ2ストモトクロッサー初のFI搭載
・ハスクバーナ2ストモトクロッサー初のセルスターターを搭載
Husqvarna
FC250
グラフィックが白基調からグレーベースに
グラフィックが大幅に変更。今まで白基調に青と黄色のグラフィックだったが、グレーベースに黄色と見た目が大きく変わっている。
新設計されたフレーム
ショックマウントはメインチューブフレームで受けない形となり、シャーシのアンチスクワット性能が大幅に改善された。また、フレームをプレミアムメタリックブルーパウダーコーティングで仕上げることで耐久性を向上。さらに、フットペグマウントをこれまでよりも内側に配置し、深いわだちやスクラブにおいて地面との接触を防ぐ設計にしている。
サブフレームはポリアミド60%、アルミニウム40%のハイブリッド構造となっている。
新設計されたスイングアームはアルミダイキャスト製法で作られ、190gの軽量化を実現している。加えて、チェーンガイドとチェーンスライダーが再設計されていることで、マディコンディション時にスイングアームやチェーンガードの周りに泥が溜まることを防ぐ。
WP XACTフロントフォーク&リアショック
サスペンションには新設計のWP XACTを採用した。底突きを改善するための機構がボトム付近10mmから40mmに延長。激しい着地後のリバウンドを抑える仕組みとなっている。
リアショックはストロークを維持したまま全長を15mm短縮。リバウンドアジャスターも新設計となり、工具無しでショックの設定を調整することが可能となった。また、新たに導入されたプリロードアジャスターによって汚れの侵入を防止し、ツーピースのリテーナーによってショックの分解無しでスプリングの交換を可能にする。
EMSにロールオーバーセンサーが装備
ケイヒンのEMSはサイズの縮小化と軽量化を実現。新たに角度を感知するロールオーバーセンサーが装備されており、激しいクラッシュ時に自動的にエンジンが止まるようになっている。
ハスクバーナ4ストロークモトクロッサーとして初のクイックシフターを搭載
2種類のセッティングが切り替え可能なマッピングスイッチ
ハンドルバーに装備された切り替えスイッチによって2種類の出力特性が選べる。マップ1は穏やかで扱いやすい出力特性とし、マップ2ではスロットルレスポンスを高めることで力強い出力特性を実現。
クイックシフター
シフトドラムに内蔵されたクイックシフトセンサーがシフトレバーにかかる力を感知し、ECUに信号を送ることでエンジンの点火をカット。クラッチ操作無しでのシフトチェンジが可能となった。これによりアクセル全開の状態でシフトアップが可能に。新たに搭載されたクイックシフターボタンでアクティブ/非アクティブを選択できる。
ローンチコントロール
スタート時のミスを防ぐため、電子制御により最適なトラクションをコントロールし、リアタイヤの空転を防ぐ。シフトアップをすると自動的にオフになり、ラウンチコントロールが作動している間にクイックシフターは作動しない仕組みとなっている。なお、ローンチコントロールはアイドリング状態でトラクションコントロールボタンとクイックシフターボタンの同時押しでオンとなる。
トラクションコントロール
センサーがスロットル開度やエンジンの回転数などからリアタイヤの空転を感知。最適なトラクションが得られるようパワーをコントロールする。ハンドルバーに装着されたTCスイッチを押すとトラクションコントロールが作動する。
その他、クランクシャフト位置をマスの集中化に伴って最適化。ビッグエンドベアリングは2つのシェルによって90時間稼働が可能。
クラッチバスケットがFC450と同じデザインに
FC250/FC350ともにDSクラッチを採用。クラッチバスケットがFC450と同じデザインになったことで、新たな変速比に適合している。
Husqvarna
FC250
新たに設計されたDOHCシリンダーヘッド。フィンガーフォロワーにDLCコーティングを施し、32.5mmの吸気バルブと27.5mmの大型チタンバルブを採用。
エンジン内におけるメンテナンスのしやすさを向上するため、カムシャフトベアリングブリッジをボルトで固定するよう再設計。強度の向上にも貢献している。
ヘッドガスケットには新たに「ストッパーデザイン」を採用し、過酷な環境下におけるシーリング性能を向上。
Husqvarna
FC350
FC350用のDOHCシリンダーヘッドも完全に新設計。摩擦を最小限に抑えるため、フィンガーフォロワーにはDLCコーティングが施されている。また、排気には新設計となる29.1mmの大型チタンバルブを採用。
Husqvarna
FC450
SOHCのシリンダーヘッドも再設計された。カムシャフトの位置を変更し、マスの集中化を行うことによって、本体サイズのコンパクト化と軽量化を実現する。
吸気バルブの直径は40mm、排気バルブの直径は33mm。軽量なバルブはトルクとスロットルに対して正確なレスポンスを実現する。また、吸気ポートを再設計しエンジン出力の効率を向上。
Husqvarna
TC125
ハスクバーナ2ストモトクロッサーとして初のFI搭載
エンジンには、同社2ストロークモトクロッサーとして初めてFIを搭載した。ケイヒンと共同開発された39mmスロットルボディとVitescoのECUによって、どの状況下においても正しい混合気を提供する。
さらに新設計のウォーターポンプとアルミダイキャスト製のカバーを使用。パーツはTC125/TC250で共用できるようになっている。
その他、軽量化とマスの集中化が行われ、クランクシャフトは軽量化が行われたことでエンジンのレスポンスが向上。新設計のクランクによって振動が軽減されている。
2ストロークモトクロッサーとしては同社初となるセルスターター
ハスクバーナの2ストロークモトクロッサーとして初のセルスターターを採用。ハンドルバーの右側に装備されたスタートボタンで、セルスターターでのエンジン始動が可能に。Mitsuba製セルスターターとピックアップによって、十分なパワーの供給と軽量化を実現。なお、軽量化のためキックペダルを装着するシャフトが無くなった。