アジアクロスカントリーラリーを増田まみが走るに当たって大事にしていたことは、市販車でほぼそのまま参戦して、難しいラリーのコースをこなし、必要最低限のメンテナンスで全日程を乗り切ることだ。CRF250RALLYのポテンシャル、しいては現代の「市販車」の強さを実戦でテストするもくろみがあった。ラリーを走りきることは、簡単なことではない。世界最高峰、ダカールラリーに比べれば短く、ルールもある程度イージーな部分があるにせよ、2000kmのルートは伊達ではないのだ。
もう走りきれないことがわかったバイクは、トラックに積み込んで運ぶ。ラダーもないので、神輿のようにしてかついで載せるのだ。んーアジアスタイル。
25kmのSSを走りきれるか
朝一、シャワキャップをマップケースから外す増田。たとえばNOGUCHIシートでは、このマップカバーを造っていたりするけど、現場ラリーで使われるのはこのシャワーキャップが多い。雨で濡れることを防いでくれるには、十分。
前夜の雨で、25kmしかないSSといえど多分に難しさを含んでいる、最終LEG6。
ホテルからスタートする増田の表情は明るい。きっと舞台が、最終目的であるダカールラリーになっても、この明るさは変わらないに違いない。前日は、マッサージもしっかり受けて、体調は万全とのことだ。
最終SS、泥しぶきがあがるようなシーンもあるけど、難易度は低め。さすがに今年はボーナスステージだった。
フィニッシュ直前。天国のような美しいカンボジアの農村地帯を駆け抜ける増田。
「実は、序盤迷ったりもしてるんですよ。わりとルーティングが難しくて」と。途中からランデブーで最後まで辿り着いたという。
無事、完走しました!
見事、ラリーを完走。SSを全部はしっていなくてもペナルティがつくが、最後のフィニッシュを抜けない限り、完走にはならない。報道陣に気を遣ってか、ここで告白。「実は、クラッチ以外に爆弾抱えてたんですよ…」
「まずは、リアブレーキがまったく効かなくて」というパッド、完全にゼロ。鉄になっていた。赤土が多いのだが、砂岩の地域も多い。おそらく後者で削れてしまったのだろう。同じCRF250Lの熊田さんも、同じく鉄パッドになっていたし、多くのライダーが途中でパッドを変えているそうだ。
「あとサイレンサーが、ぐらぐら」たしかにボルトが抜けている…。
クラッチのことや、諸々の準備で不足していることが、少しずつわかってきたと増田。来年や、ダカールのいい勉強になったことだろう。ぜひ、メンテナンススキルを上げてもらいたい。
そして。この連載じゃが、もうちょっとだけ続くんじゃ…。