2月22日、AMAスーパークロス選手権第7戦が、アメリカ・テキサス州アーリントンにあるAT&Tスタジアムにて開催されました。
注目ポイント
・3週間のブレーク後初レース、トリプルクラウンをどう戦うか
・怪我の回復具合が伺える好バトル、好レース
・下田上向き/ディーガン復調/450は離脱多数でシーズン後半は?
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前戦に引き続きトリプルクラウン、下田はどう戦うか
下田丈が出場する250SX WESTはショートブレークを挟み、3週間ぶりのレース開催です。第2戦で左手に怪我を負った下田でしたが、その後のレースも負傷を庇いながら出場を続け、第4戦を終えた時点でのランキングはトップと19ポイント差の5番手。怪我から1ヶ月が経過し、ショートブレーク明けの今ラウンド、下田の回復度合いにも注目です。
第7戦は、第4戦に引き続きトリプルクラウンでレースが行われました。通常6分間+1周のヒートレースを経て15分+1周(450SXクラスは20分+1周)のメインイベントが開催されるところ、トリプルクラウンでは計時予選後に10分+1周(450SXクラスは12分+1周)の短いレースを3回行い、その結果で総合順位を決定します。
下田は第4戦ではレース1で転倒に絡み順位を落としたもののレース2、3では好スタートを決め21-6-5で総合10位でラウンドを終えました。レース1のトラブルがなければさらに上の順位が狙えていただけに、今ラウンドでは更なる好成績に期待ができるでしょう。
好スタートと安定した走りで怪我以後最高成績

下田は計時予選を5番手で終え、レース1のグリッドにつきます。中央のグリッドから抜群のスタートを決め、ホールショットを獲得すると、そのままトップでレースを開始。そして後続を2秒近く引き離してトップを快走しますが、レース中盤、ジョードン・スミスが2番手に上がり、下田に近づいてきました。下田は一度スミスに先行を許しますが、再度前を狙います。ですが、その直後にわだちの深いサンドコーナーで転倒。すぐにリスタートしたものの、6番手に順位を落としました。
その後コール・デイビスにパスされ7番手に下がりますが、ルクス・ターナーとジュリアン・ブーマーとの6番手争いに勝利して6番手に戻り、終盤スミスが転倒したことによりさらに順位を上げ5番手でゴールしました。
レース2では転倒者を避けてややアウトにはらんだものの、下田は6番手でファーストコーナーを通過しました。その後5番手に上がりますが、後方から追い上げてきたヘイデン・ディーガンに前を許し再度6番手に。レース後半、ターナー、下田、ブーマーで5番手争いを展開し、下田はターナーをパスし5番手に。その後ブーマーと激しい一騎打ちを繰り広げましたが、下田はうまくブロックし、ブーマーはレース1で下田が転倒したコーナーでクラッシュ。ブーマーを退けた下田はそのまま5位でゴールしました。
レース3ではやや出遅れたものの最初のリズムセクションで数台をパスし7番手あたりでレーススタートした下田。その後5番手に順位を上げた下田は、後半でコティ・ショック、さらにラスト1分のところでブーマーをパスし、3位でゴールし、開幕戦ぶりの表彰台を獲得しました。総合では5-5-3で4位。総合順位でも3番手のデイビスと1ポイント差の4番手に上がっています。
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youtu.be第7戦off1.jp的見解を解説
トリプルクラウンでは、3回のレースの合計順位の数字が小さい順に総合順位が決まります。総合優勝のディーガンは1-1-2の4で別格。ですが、2位のコティ・ショックは2-4-6で12、3位のマイケル・モシマンも3-2-7の12、そして4位の下田は5-5-3の13と、2位から4位はほとんど差がありません。この結果だけ見ると、たらればにはなりますが下田のレース1での転倒がなければ総合2位、表彰台も十分可能性があったと言えるでしょう。また、レース1では下田は全体でのベストラップも記録。好タイム、好スタート、そしてナイスバトル。下田の怪我は完全回復とまではいかないまでも、かなり回復してきていると読み取れます。
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今回注目すべきはヘイデン・ディーガン。今季2度目の優勝、1-1-2の圧倒的好成績でトリプルクラウンを制し、ポイントランキングでもトップに躍り出ました。特にレース1、レース2ではスタートでの出遅れや転倒により後方からの追い上げを余儀なくされましたが、普段よりレース時間が短い中でも確実に順位を上げていき、計時終了後にトップに立つ展開。250で無双していた時のジェット・ローレンスを彷彿とさせるような、毎戦序盤でトラブルがありながらも追い上げて勝つレースが多く、チャンピオンとしての強さを見せつけるラウンドとなりました。
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今年の450クラスはスターが勢揃い、バトルが多く毎戦見応えがあります。ただその一方で、怪我を負うトップライダーも多く、既にジェット・ローレンス、ハンター・ローレンス、イーライ・トマック、ホルヘ・プラドなどが戦線離脱しています。
そんな中、今ラウンドでもトップ争いのほか至る所で激しいバトルが展開されました。総合優勝はレース2、3を制したクーパー・ウェブで、ランキングでも単独首位に。レース1で優勝したケン・ロクスンが総合2位、ウェブとともにレッドプレートをつけて挑んだチェイス・セクストンはレース3でエンストや転倒などのトラブルが続いたこともあり3-2-5の総合3位でラウンドを終え、混戦の中でもこの3人が存在感を示してきています。
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youtu.be次戦は次週3月1日に行われる第8戦デイトナですが、250SXはEASTの開催。下田丈の次レースは3月9日の第9戦インディアナポリスで、このレースは今季初のEASTとWEST混走のショーダウンです。