2013年からダカールラリーに復帰したホンダは、当初CRF450Xをベースに製作したファクトリーマシンで参戦。しかしその1年後には、いちから新造したCRF450RALLYをデビューさせた。2020年、その450RALLYに乗るリッキー・ブラベックが8年越しの夢をかなえて優勝。
実は昨年2024年のダカールラリーに参戦したCRF450RALLYは、ほぼフルモデルチェンジされたモデルなのだが、依然として市販車にフィードバックされることのない純然たるファクトリーバイクであり続けてきた。一方、ライバルであるKTM勢は450RALLY REPLICAを毎年ラリースト向けにデリバリーしているし、中国のKOVEも450RALLYをやはり一般のマーケットに向けてリリースしている。決してエンデューロバイクのように大きなマーケットではないものの、ラリーバイクはいまや「市販レーサー」になりつつある。
HRC
CRF450RX RALLY
そういった状況の最中、HRCが年初にリリースしたのがこちらのCRF450RX Rallyだ。Rallyと付いているがRXの名の通り、クロスカントリーマシンCRF450RXをベースにしたマシンで、前述したファクトリーマシンCRF450RALLYと共通部品はないものと思われる。実はすでにモロッコラリーでロメイン・デュモンティエらがレースデビューさせていて(RALLY2クラス5位でフィニッシュ)、その実力は証明済み。1月3日から始まるダカールラリーでも、デュモンティエはHONDA HRCから出走(ファクトリーチームは、Monster Energy Honda HRC)する予定だが、マシン名は「CRF450」とされておりどちらなのか判然としない。
リリースや写真から判断すると、パワーユニットにはラリー走行に必要な最高速度を確保するCRF450RXベースのエンジンと6速トランスミッションを採用。CRF450RALLYのようにDOHCではなくSOHC(ユニカム)だが、ラリータワーはハンドルマウントではなくファクトリーマシン同様のフレームマウントで、実戦に則した形式と言えそうだ。外装一体型タンクは36Lの容量、排気系統にはアクラポヴィッチを採用。ラリー用にCRFをベースに強化されたフレーム、スイングアーム、サスペンション……などなど十二分なスペックと見られる。
今のところ、HRCから発表されているのはこのマシンの情報のみで、市販されるかどうかもはっきりしないのだが、状況から鑑みるに今後市場に投入されるのは間違いなさそう。中国のKOVEが100万円台、FANTICが290万円、KTM勢はおおよそ約400万円、とおおよそ一般向けとは言えない価格帯で販売される市販ラリーレーサーだが、ホンダが提示してくるプライスは果たしていかほどだろうか?