ダカールラリーの本編ステージ1は、中国メーカーのKOVEに乗るメイソン・クラインがルートを切り開くものの3位へ。トップはロス・ブランチ、インドのHeroが奪取
ステージ1から波乱、3人の注目すべき若手が好発進
アルラからヘナキヤまでのステージ1は、火山を迂回する形で岩まじりの土質がメインのスペシャルステージ414km。延々ガレ場が続くようなルートで差が付きやすい上、難易度も高かったとのことで、240km地点ではプロローグの勝者であるTeam HRCのトーシャ・シャレイナがクラッシュして早くもダカールを離脱することになった。また、281km地点までトップタイムをたたき出していたマイケル・ドチャーティも323km地点でクラッシュしてリタイア。
まず注目を集めたのは、中国のメーカーKOVEを駆るアメリカ人メイソン・クライン。前日プロローグの成績で1〜10位のライダーは、好きなスタート順でステージ1を走ることができるのだが、クラインは10位で、ナビゲーションをして道を切り開かなくてはいけない不利な1番スタートをチョイス。このスタート順の不利に対して、昨年からルールが改正され、先頭を走ったライダーに対してボーナスタイムが設定されるため、クラインはこれを狙って激走。6分21秒のボーナスを得ることになったが、それでもTeam HRCのリッキー・ブラベックにはかなわず、暫定ステージ2位(ボーナスを含めずとも7位のタイムだった)。
KOVEは昨年のダカールラリーから初挑戦して完走を達成しており、今年はさらにマシンを改善してGEN2へとアップデート。52PS→65PSに大幅パワーアップするなど、2年目にして成績を狙いにきている。クラインはプライベーターとしての参加だが、2022年にダカールデビューしてステージウィンをものにした期待の若手で、さらなるジャンプアップも期待されるところ。
ところがこの暫定リザルトは数時間後にロス・ブランチのトップに切り替わって正式結果に。ブランチは負傷したシャレイナをヘルプしたことで16番手のフィニッシュだったが、救済措置によって25分のタイム繰り上げ、自身4度目のステージ優勝を遂げた。ブラベックは2位、クラインは3位と繰り下がり、ボツワナ(アフリカ)、アメリカ、アメリカとヨーロッパ勢を欠くポディウムとなった。ブランチは「序盤はペースがよかったが、シャレイナを救助したあとはリズムを崩してしまったので、フォーカスを変えて無事ビバークに戻ることに集中したんだ。明日からが楽しみだ」とコメント。
ブランチが乗るHeroはインドのメーカーで、2022年にはヨアキム・ロドリゲスによって14位でダカールをフィニッシュ、ステージ優勝をものにしているなど注目を集めていた。2023年はブランチだけでなく、ホアン・バレダを起用するなどさらに強力な布陣でサウジアラビアの砂漠に挑んでいる。
ダカールラリーはステージの順位が次の日のスタート順になる。トップのブランチはナビゲーションをこなして道を切り開かなければならず、ペースを上げることが難しいが、ステージ1のクラインのようにルートを切り開き続ければボーナスタイムを得ることで好位置をキープできる。原則的には5番手あたりから前走者の轍をフォローしながらトップスピードで走ることで成績を狙うため、シーソーゲームが続く。ステージ1のリザルトを見る限り、競合のKTMファミリーもTeam HRCもまんべんなく好位置につけており展開は拮抗。ダカールライダー中、スピードで圧倒するホアン・バレダ(Hero)が13位につけているのもおもしろいところ。
苦戦を強いられる池町は、115位へ
プロローグでミスコースを強いられた池町は、ステージ1でペースを上げることはかなわず。
終盤で巻き返し、結果115位のリザルトでステージ1を終えている。総合結果では現在110位、現時点ではこれ以上の情報は入ってきていないものの、続報が届き次第更新する予定。