こんにちは。Off1のハードエンデューロ担当、伊井です。神奈川県に新しくオフロードコースが誕生するというニュースを聞いて、人柱となるべく前のめりに走行予約をし、4月22日、コースの正式オープン日に走りに行ってきました!

この新しいコースの名前は「森輪(しんりん)」。場所は道志道付近らしい。コースディレクターは石戸谷蓮選手が務めている。これだけの情報で、とりあえず一緒に行く人を募ってみたところ、編集仲間のサガヤン(敬称略)が釣れたので、生贄に召喚。サガヤンはオフロードバイクを始めてまだ1年くらいなのですが、企画で「ミニバイぱにっく」にも出ていたし、バイクはCRF125Fだから、どうにかなるでしょう、と思っていました。

画像1: サガヤン

サガヤン

行く行く! どんなコースなん?

いや、僕も行ったことないのでわかりません。誘っておいて、我ながら無責任すぎる……。

画像: ”オフロードバイクと林業の共存”を目指す本格ヤマコース「森輪」を実走してみた

この日はちょっと天気予報が悪かったのもあって、オープン日というのにさほど混んでいませんでした。パドックは写真の場所がメインでここに10台くらい駐車可能。あと下に数台と、それでも入らなければ近隣のキャンプ場の敷地もお借りできて、20〜30台くらいまでは受け入れ可能なようです。

画像1: Photo:ぼん

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コースオーナーの中島照文さんの挨拶と、コースディレクターの蓮さんが注意事項を伝達してくれましたが、そのお話を聞いている最中に「あ、これはやばいやつかも……」と直感的にわかりました。視界の隅でサガヤンがしきりにこっちをチラチラ見てくるのですが、視線を合わせないようにします。

強制的に上達できるコース
ハードエンデューロ好きにオススメ!

画像2: Photo:ぼん

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蓮さんとコースを開拓してくれた常連さん、そのお仲間たちと一緒にコースイン。最初は一本道の爽やかな林道でした。道が崩れないように丸太を設置してくれていたり、気遣いが感じられます。

画像3: Photo:ぼん

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……まさかコースインして5分で押すとは思いませんでした。

細いけど爽やかな林道は一瞬で終わり、始まったのは延々続くZ字の登り。解説しますと「Z字の登り」とは真っ直ぐに登れないほど斜度が厳しい坂を、ジグザグにZの字を描いで登っていく道のことです。ここにも道が崩れないようにしっかり丸太が設置してあります。しかし、たまに内側から木が大きく迫り出していて、ハンドル幅ギリギリなところがあったり、ターンするところが毎回狭すぎてフローティングターン(フロントタイヤを上げてバイクの向きを変えるテクニック)ができない人はバイクをこじりながら向きを変えるか、力技しかないという。なお、ここにはすでに「たぬき坂」という名前が付けられているそうです。

僕、これ知ってる。ルーマニアで見たやつだ。

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ハードエンデューロ世界選手権「ルーマニアクス」ゴールドクラスのセクション「ブロークンマウンテン」を思い出しました。危険度は比べ物になりませんが、コース形状はこのイメージで間違いありません。

画像4: Photo:ぼん

Photo:ぼん

オフロードバイク歴1年、サガヤン。めちゃくちゃ頑張ってました。蓮さんがバイクを降りてマンツーマンでアドバイスをくれ、みるみるうちに上達。最初は全く進めなかったのに、10分もしたらトラクションをしっかり掛けられるようになってました。

しかし慣れない山走行で体力的に限界を迎え、走行開始30分でリタイヤ……。

画像2: サガヤン

サガヤン

伊井くんに騙されたー! 歩いて見てるわ

画像1: 強制的に上達できるコース ハードエンデューロ好きにオススメ!

何度かZ字を描いて「これ、いつまで続くの……?」と思った頃にようやく開けた場所に出ました。ハンモックが吊ってあって、休憩できるスペースです。どうやらここが中間休憩地点になっている模様。

画像5: Photo:ぼん

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この付近で少しだけ周回できるようになっています。

画像6: Photo:ぼん

Photo:ぼん

コーステープの外側は他の人の土地だったり、まだ開拓してなくて遭難の危険がある場所なので立ち入らないようにします。

画像1: 石戸谷蓮

石戸谷蓮

ダム横まで行きますか? 降りたら登らないと帰ってこられませんけど…… 

どうやらまだ奥があるらしく、山の反対側に降りて道志ダムの近くまで行けるらしいです。最後になんか聞こえましたが、まぁ、なんとかなるでしょ。行きます!

「3段ヒル」と呼ばれていたところを降りていきます。下りが苦手でチキンな僕は1箇所だけバイクから降りて慎重に下ります。そして始まったのは「Z字の下り」!

さっき登ったのと同じような道を、今度は下っていきます。例によってZ字のターンのところは狭く、ジャックナイフターン(バイクのリアタイヤを上げて向きを変えるテクニック)ができない人(できるか!)はこじりながら向きを変えるしかありません。

画像2: 強制的に上達できるコース ハードエンデューロ好きにオススメ!

息を切らしながらそんな道を降り切ったら行き止まりの広場に出ました。これで今の所開拓しているコースは全部とのことで、まずはコース取材としての義務を果たし一安心。この日はちょっと寒くて冷たい風が吹いていたのに暑くて熱中症になりそうなレベルでした。沢の水が美味しそう。

画像2: 石戸谷蓮

石戸谷蓮

じゃあ戻りましょうか

爽やかに言う蓮さん。もちろん、直接パドックに帰れる爽やかな林道があるんですよね?

画像7: Photo:ぼん

Photo:ぼん

そんなわけがなかった。来た道をそのまま戻ります。つまりまた「Z字の登り」。もちろんさっき降りた「3段ヒル」も今度は登ります。そしてまたZ字を下らなければ駐車場に戻れません。「Z字をショートカットできる尾根がありますよ」と、また爽やかに言う蓮さん。だけどもう騙されません。それZ字登るよりキツイやつなんでしょ?

画像8: Photo:ぼん

Photo:ぼん

やっぱり……。

画像: Photo:サガヤン

Photo:サガヤン

「3段ヒル」は登るとそこそこ難しいヒルクライムでした。関東のライダーにわかりやすく伝えるなら日野カントリーオフロードランドの常設コースのどのヒルクライムよりも難しいです。

画像: photo:ぼん

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というわけで、息も絶え絶え駐車場に戻りました。かかった時間は大体2時間くらいでしょうか。ところどころでだいぶゆっくりしていたので、休まず淡々と走れば1時間くらいかな? 事務仕事で鈍った体ではとにかく体力が足りませんでした。

午前中で帰ったサガヤンを見送り、午後にもう一回登ってみましたが、明らかに午前中よりも自分のテクニックが向上しているのがよくわかりました。午後から参加した他のライダーさんを「ここ難しいですよね〜」とか偉そうに助けながら、帰りは僕も体力と気力が底を付き、ヘロヘロになりながらなんとかパドックに戻りました。

画像3: 強制的に上達できるコース ハードエンデューロ好きにオススメ!

「森輪」の難易度をわかりやすく例えるなら「日野ハードエンデューロミディアムクラス」「CGCゲロゲロ」「CROSS MISSION XX」レベルでしょう。逆にG-NETを周回できる人にはちょっと物足りないかも知れません。キャンバーや崖から落ちたら独力では復帰できない場所がたくさんあり、降りたら登らないと戻って来られない場所もあるため、一人での入山は絶対に避けたいところです。

とはいえどこにいても携帯の電波がしっかり入る(NTTドコモユーザー調べ)のでそこは安心ですね。また、まだまだ開拓途上で、これからどんどんコースは広がっていくそうです。コースオーナーの中島さんによると、30ヘクタール(3km×3km相当の広さ)の土地のうち現在使っているのは10ヘクタールほど。また、他の土地主さんからも一部をお借りできる交渉なども進んでおり、可能性は無限大とのこと。

「森輪」のコンセプトは林業とオフロードバイクの共存

東京都、神奈川県のエンデューロライダーは長年、走る場所に苦しんできました。関東にはオフロードバイクが走行できるコースが少なく、特に東京都、神奈川県にはゼロ……。埼玉県や千葉県にはモトクロスコースがいくつかありますが、平野の多い関東地方にはヒルクライムやダウンヒルの練習ができるコースがほとんどありませんでした。ここ10年ほどでようやく群馬県の日野カントリーオフロードランド、茨城県のオフロードパーク白井、千葉県の成田モトクロスパークあたりでエンデューロができるようになりました。そんな中、神奈川県相模原市に新しくオープンしたのが、この「森輪」なんです。

コースが生まれたきっかけはオーナーの中島さんが親族から受け継いだ山の存在を知ったこと。最初は林業を生業にしようと試みましたが、林業について学んでみると様々な条件から林業にはあまり向いていない山だったとのことで、もともとバイクが好きだった中島さんは「それならばオフロードバイクが走れる場所にしよう」と思いついたそうです。

画像1: 「森輪」のコンセプトは林業とオフロードバイクの共存

そこからエンデューロライダー石戸谷蓮選手と運命的な出会いを果たし、行政や周囲の住民と話し合いを繰り返し、約1年間の開拓の末ついにオープンに漕ぎ着けた、というわけ。

この経緯をもっと詳しく知りたいという方は、ぜひこちらのリンクから中島さんの熱い思いを読んでください。できれば「森輪」にいく人には全員に読んでもらいたいと思います。

画像2: 「森輪」のコンセプトは林業とオフロードバイクの共存

なお、中島さんはオートバイ専門のペイントショップ「FLAG-UP」をやられていて、コースはこの工房の真裏にあります。そのため休憩やトイレなどは築100年以上の古民家をリフォームしたというこの工房を使わせていただくことができ、非常に快適。

中島さんが参加している林業のコミュニティでは、やはり山を所有してはいるものの、持て余していて、少しでも収益に繋げたいという想いを持っている人が多いとのこと。この「森輪」がモデルケースとして成功すれば、近隣の採石場の作業道やダムの管理道など、もっと走れる場所が増えていく可能性もあるらしく、遠くない未来にこの一帯が一大オフロードバイクパラダイスになることもあり得る話だとのこと……夢が広がります。

そのためにも、まずは貴重な貴重なこのヤマコースを大事に使わせてもらい、継続発展していけるようにオフロードバイクを愛するライダー全員で育てていけたらと思うわけです。

なお、「森輪」では現在、基本的に水・土・日曜日に予約制にて走行を受け付けています。いきなり行っても走れませんので、興味のある方は下記ページから予約をお願いします!

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