デジタルロードブックが採用されず、スタート順が後方のほうが有利だった状況を変えるべく取り入れられた新レギュレーションは、ナビを切り開いたライダーに与えられるボーナスタイムのみ。結果的にこのダカールラリーでは、「シーソーゲーム」「ヨーヨー」などと現地で呼ばれるダカールラリーのトップ争いの様式はあまり変わっていないように見える。
ステージ10も前日28位だったロス・ブランチが快走、見事に2度目のステージ優勝を成し遂げた。2位のエイドリアン・ファン・ビバレンも前日は14位、3位マイケル・ドハーティは21位である。このうちでも総合順位4位につけるビバレンは「大好きな地形であるデューンで高速を出せるよう全力を尽くしました。精一杯プッシュし、結果には満足しています。体力面でも問題なく、今日は114kmという短さで物足りないくらいでしたが、今後もチャンスはたくさんあると思う」と好感触。
総合のトップを長らく維持してきたスカイラー・ハウズは14位と低迷。総合トップをケビン・ベナビデスに譲り2番手へ。ただ、ハウズは「今日はスペシャルステージが短かったから、明日のマラソンステージでプッシュできるようにしたかったんだ。砂丘の感触をつかむために、今日は少し楽をして、少し控えめに走った」とのコメント。このいつもより1/3ほどの距離である114kmのスペシャルステージでは14位でトップと7分38秒差でのフィニッシュ、事実上総合を争うケビンとは6分38秒差で、結果的に総合順位におけるケビン〜ハウズの差はわずか1分29秒におさまっている。ハウズのコメント通り、14番目からのスタートで後方の優位性をうまく利用すれば、274kmのスペシャルステージがあるステージ11で巻き返すことは容易なのかもしれない。
総合トップに立ったケビンは「今日は本当に短かったが、すべて砂丘でのレースだったので体力的にきつかった。7番手からスタートし、砂丘をうまく流れるように走ったら、とても気持ちよく走れた。1度だけハンドルバーを乗り越えてしまうクラッシュがあったけど、それがプラスに働いたようで、1分ほどしかロスしなかったから、明日の第11ステージは4番手からスタートできる」とのこと。ブランチらが道を切り開き、その間にケビンはタイムを稼いでいく作戦。ブランチらステージ10の1〜3位は総合トップには絡んでこないため、ボーナスタイムもそこまで影響しない。
ステージ10順位
総合順位
ダカールラリーも後半、いよいよ優勝争いの作戦が各チーム固まってきた頃だろうか。