復活するプロローグはライブ配信あり
コロナ禍を受けて2020年、2021年と中止されていた街中を使ったプロローグが、今年は復活。レース初日から大きな盛り上がりが期待される。なお、このプロローグはRed Bullによってライブストリーミングが予定されており、世界中から観戦することができる。
このプロローグは非常に盛り上がるだけでなく、レース初日のスタート順を決める重要な意味を持つもの。レースはプロローグで1位のライダーから、20秒もしくは10秒間隔で1台ずつスタートすることになる。もしDNS(プロローグに出走しない)の場合はスタートがトップから15分遅れ、そしてDNF(プロローグに出走したが、完走できない)の場合には12分遅れとなる。
だが、上の写真のような難易度の高い人口セクションを、大人数に混ざってハイスピードで走らなくてはならないため、リスクは非常に大きい。毎年ルーマニアクスに出場し、このプロローグのためのトレーニングを積んできている海外トップライダーとは違い、日本人ライダーたちは練習できる環境もなければ、本番レースの前にマシンを壊したり、怪我をしてしまうことは一番避けたい事態。そのため日本人ライダーがこのプロローグに出走するかどうかは、現在のところ未定だ。
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コースは当日、GPSログで発表される
ルーマニアクスはプロローグの後、4日間にもわたって山の中を走り、トップライダーでも1日の走行時間は4〜6時間ほどを費やす。ギリギリ完走レベルのライダーだと10時間を超える日も出てくる。そしてプロローグと4日間の走行タイムを合計して順位が決められる。決勝レースで使用されるコースは事前に発表されず、レース当日の朝になってライダーにGPSデータが配布される。ライダーはそのGPSログを見ながら走り、その日のゴールを目指すという、ラリーのようなフォーマットをとっている。
ライダーはハンドルバーにガーミン社のGPS機器を装着(トップライダーの多くは広域と狭域を同時に表示するため、2つ)し、自分が走っているルートがコースから外れていないかを確認しながら進む。GPSを見ずに前のライダーにくっついて走っていたら、その集団全員がルートを外れていて、仲良く失格、なんてこともあるようだ。
チームジャパンは2018年にアイアンクラスに出場した経験を持つ唯一の日本人、竹内郁馬氏をアドバイザーとして迎え、様々なアドバイスをいただいている。
竹内氏によると「コーステープはクラス別に色分けされていないので、GPSを見ずにコーステープばかり見ていると他のクラスのコースに迷い込んでしまいます。僕も急にコースが難しくなったと思ったら、シルバークラスにいたことがありました。僕の場合、1番怖いのはどこかわからない山の中で立ち往生してしまうことだったので、安全に帰ることを最優先にGPSの縮尺はかなり狭域の50mに設定していました。そうすることで自分が確実に正しいルート上にいることを確認しながら走ることができます。それでも道をロストしてしまうことがあり、その都度縮尺を広域にして正しい道を探して戻る、ということをやっていました。確認のためにいちいち止まってガーミンを操作しないといけないので、上位を目指すなら、やはり2台用意して広域と狭域を同時に確認できるようにする必要があると思います」とのこと。
ユニークなセクション名は日本と同じ
ルーマニアクスでも毎年、特にハードなセクションにユニークな名前がつけられている。これまでにあったのは「Please no rain(雨よ降るな)」や「Dragon spikes(竜の棘)」、「Magic mushroom(幻覚作用を持つキノコ)」、「Hug the tree(木に抱擁)」など。この辺りのカルチャーは日本と同じだ。
さらに難易度は年々激しさを増してきており、それらはセクション名にも現れる。今年のゴールドクラスで見どころとなるのは「Kill’Em All(皆殺し)」「Men Ridge(男の尾根)」「Mofo(くそいまいましい)」と名付けられたセクションになりそうだとのこと。
2019年のエルズベルグロデオ終了後、偶然にも世界的トップライダーの一人であるマリオ・ロマンに話を聞く機会を得たOff1.jp編集長・稲垣は「エルズベルグロデオはすごく難しいよ。ワンミスが命取りになる、簡単に言うとスプリントレースなんだ。僕は本当はもっと長距離でタフなレースを望んでいる。たとえば、ルーマニアクスのようなね」という衝撃の言葉を聞いている。
ゴールドクラスに参戦する山本、佐々木は今週末にG-NET第3戦、HIDAKA ROCKSに参戦。これが終われば、いよいよルーマニアクスだ!