KTMが2023年モデルのモトクロッサーを発表。250SX-F/350SX-F/450SX-Fにはモトクロッサーとして世界初となるクイックシフターの搭載や、各車種に合わせて再設計されたシリンダーヘッドなど注目すべきポイントが数多くある。
変更点は以下の通り。
・フットペグの位置まで見直す新設計フレーム
・WP XACTフロントフォーク&リアショック
・市販モトクロッサー初のクイックシフター搭載
・サービスマーカーの追加によりメンテナンスが容易に
・ミッションの信頼性と耐久性向上
・シリンダーヘッドは250/350/450SX-Fそれぞれに合わせて再設計
KTM
250SX-F
フットペグの位置まで見直す新設計フレーム
完全新設計のフレームを採用。ショックマウントはメインチューブフレームではなくステアリングヘッドに接続し、回転方向の重心位置を再配置。縦方向とねじれ方向の屈曲を計算したフレーム設計によって、ライダーへのフィードバック特性の向上や衝撃吸収を実現する。
また、フットペグマウントをこれまでよりも内側に配置し、深いわだちや地面に接触する可能性を低下させた。さらにフットペグの接地面を26%拡大しつつ、コンピュータによりフットペグの振動を解析。ライディング時の快適さやコントロール性、直進安定性も向上させている。
WP XACTフロントフォーク&リアショック
サスペンションにはWP XACTを採用。ボトム付近の作動性を向上させることで、強い着地後の安定性を実現する。また、リアショックも新設計。300mmのサスペンショントラベルはそのままに、ショック本体の全長を短縮し軽量化を実現している。整備性を上げるためにデュアルコンプレッションコントロールノブを採用しており、工具なしでの調節も可能だ。
市販モトクロッサー初のクイックシフター搭載
クイックシフター
市販モトクロッサーとして初めて搭載されたクイックシフターは、シフトドラムのセンサーがシフトレバーにかかる力を感知し、ECUに信号を送信することでエンジンの点火をカット。クラッチ操作無しでシフトチェンジを可能とする仕組みだ。これによりアクセル全開の状態でシフトアップが可能に。新たに搭載されたクイックシフターボタンでアクティブ/非アクティブを選択する。なお、1速から2速への変速時にライダーの意に反してニュートラルに入る可能性を防ぐため、機能が適応されるのは2速から5速までとなっている。
ローンチコントロール
スタート時のミスを防ぐため、電子制御により最適なトラクションをコントロールし、リアタイヤの空転を防ぐ。なお、ローンチコントロールはアイドリング状態でトラクションコントロールボタンとクイックシフターボタンの同時押しでオンとなる。
トラクションコントロール
マディコンディションなど滑りやすい路面において、センサーがスロットル開度やエンジンの回転数などからリアタイヤの空転を感知。最適なトラクションが得られるようパワーをコントロールする。トラクションコントロールのオン/オフはハンドルバーに装着されたスイッチによって選択が可能。
その他、細かな変更点あり。
サービスマーカーの追加によりメンテナンスが容易に
メンテナンス性を向上させるため、ワッシャーの位置をサービスマーカー(▲)で明示。カムチェーンにもロック位置の表示を追加し、バルブ周りのメンテナンスが容易になっている。
ミッションの信頼性と耐久性向上
Panklによって開発された新しい5速ミッション。耐久性を向上しつつ、シフトチェンジの操作性も高めている。
250SX-F専用設計のシリンダーヘッド
新たに設計されたDOHCシリンダーヘッド。DLCコーティングを施したフィンガーフォロワーを装備し、32.5mmの吸気バルブと27.5mmの大型チタンバルブを作動させる。
エンジン内におけるメンテナンスのしやすさを向上するため、カムシャフトベアリングブリッジをネジで固定するよう再設計。強度の向上にも貢献している。
ヘッドガスケットには新たに「ストッパーデザイン」を採用し、過酷な環境下におけるシーリング性能を向上。
350SX-F専用設計のシリンダーヘッド
350SX-F用のDOHCシリンダーヘッドも完全に新設計。摩擦を最小限に抑えるため、フィンガーフォロワーにはDLCコーティングが施されている。また、排気には新設計となる29.1mmの大型チタンバルブを採用。
KTM
350SX-F
450SX-F専用設計のシリンダーヘッド
SOHCのシリンダーヘッドも再設計された。カムシャフトの位置を変更し、マスの集中化を行うことによって、本体サイズのコンパクト化と軽量化も実現する。
吸気バルブの直径は40mm、排気バルブの直径は33mm。軽量なバルブはトルクとスロットルに対して正確なレスポンスを実現する。また、吸気ポートを再設計しエンジン出力の効率を向上。