KTMが2023年モデルのモトクロッサーを発表。125SX/250SX/300SXには、同社では2ストロークモトクロッサーとして初めてとなるFI(Fuel Injection)やセルスターターを搭載した。他にも、完全新設計のフレームやデザイン変更されたエキゾーストパイプ、2種類のセッティングが選択できるマッピングなど、注目すべきポイントが目白押しだ。
詳細な変更点は以下の通り。
・フットペグの位置まで見直す新設計フレーム
・WP XACTフロントフォーク&リアショック
・KTM2ストモトクロッサー初のFI搭載
・Boysenのリードバルブケース再設計
・電子制御パワーバルブ搭載
・デザイン変更で、よりコンパクトになったチャンバー
・2種類のFIマッピングが選択可能に
・2ストモトクロッサーとしては同社初となるセルスターターを搭載
KTM
125SX
フットペグの位置まで見直す新設計フレーム
完全新設計のフレームを採用。ショックマウントはメインチューブフレームではなくステアリングヘッドに接続し、回転方向の重心位置を再配置。縦方向とねじれ方向の屈曲を計算したフレーム設計によって、ライダーへのフィードバック特性の向上や衝撃吸収を実現する。
また、フットペグマウントをこれまでよりも内側に配置し、深いわだちやスクラブにおいて地面に引っかかりづらい設計にしてるうえで、フットペグの接地面を26%拡大。なお、フットペグにかかる振動・熱などの物理的な影響を解析し、ライディング時の快適さやコントロール性、直進安定性も向上させている。
WP XACTフロントフォーク&リアショック
サスペンションには新設計のWP XACTを採用。ボトム付近の作動性を向上させることで、強い着地後の安定性を実現する。また、リアショックも新設計。300mmのサスペンショントラベルはそのままに、ショック本体の全長を短縮し軽量化を実現している。整備性を上げるために樹脂製の大型ノブを採用しており、工具なしでの調節が可能だ。
KTM2ストモトクロッサー初のFI搭載
ケイヒンと共同開発された39mmスロットルボディとVitescoのECUにより、水温/気温/大気圧/クランクケース内の圧力/エンジン回転数/スロットル開度を常に分析し、正しい混合気を供給する。さらに、新設計のインジェクターは細かな燃料噴射を可能にし、燃費の向上やクリーンな排ガスを実現。
Boysenのリードバルブケース再設計
リードバルブケースのデザインもアップデートされた。ケース外側にプラスチックのフラップを付けることでインテークの密閉性を向上。アップダウンの激しいセクションでは燃料過多やボギング(息つき)を防止する。
電子制御パワーバルブ搭載
パワーバルブはスロットル位置とエンジン回転数に応じて自動的に制御される。これにより、全てのスロットル開度で最適なエンジンパワーを得ることができる。
デザイン変更で、よりコンパクトになったチャンバー
チャンバーをコンパクト化し、地上高を獲得することで深い轍や障害物からの損傷のリスクを軽減。軽量アルミニウム製のサイレンサーはブラックコーティングとなった。
2種類のFIマッピングが選択可能
ハンドルバーに装着された切り替えスイッチによって2種類の出力特性が選べる。マップ1は穏やかで扱いやすい出力特性とし、マップ2ではスロットルレスポンスを高めることで力強い出力特性を演出。
2ストモトクロッサーとしては初となるセルスターターを搭載
ハンドルバーに装備されたスタートボタンで、セルスターターでのエンジン始動が可能に。なお、軽量化のためキックペダルを装着するシャフトが無くなった。コンパクトかつ軽量に設計されたセルモーターは前走車のルーストが当たらないようにエンジン前方に配置。12.8V 2Ah リチウムイオンバッテリーはシートの下に搭載されている。
KTM
250SX/300SX
今回のモデルチェンジでは、250SXだけでなく300SXが登場。欧州・北米のオープンカテゴリーの参戦を目指すライダーに向けてリリースされ、57HPを23.9kgの軽量なエンジンから発生する。250/300ともに、125同様のスロットルボディにインジェクターが装着されるFIを搭載。