すでに第7戦八犬伝にて、JNCC2021のシリーズチャンピオンは馬場大貴に決定している。にも関わらず熊本という遠方まで馬場をはじめ、渡辺学、鈴木健二、熱田孝高、小林雅裕らチャンピオン候補として考えられていたライダーが集結し、今年のシリーズを締め括るにふさわしいレースとなった。
それというのもやはり、このダイナミックなコースを走ることができるのは、ライダーにとってかけがえのない喜びだからに違いないのだ。
FUNは一周9.6km、COMPは14.3kmという広大なコースが用意された。あまりに長大なため、レース前日土曜日に、バイクに乗って一周下見走行ができる時間が設けられるのも、この阿蘇ならではの特例だ。
難所が少なく、ハイスピードなコースレイアウトだが、雨が降ると途端に土質が悪化し、難易度が上がるという特殊なコースだが、今年は曇天。COMPのレース終了とともに雨がパラつき始めたが、レースには影響しなかった。
絶景の中
馬場、渡辺、熱田の白熱バトルが展開
熊本といえば、HONDAのお膝元。JNCCのHONDAライダーをさまざまな形でサポートし続け、自らもCOMP-AAライダーとして第一線で活躍を続ける松尾英之の努力が実り、HONDAパドックが賑わった。
COMP-AAクラスのスタート。今シーズンのチャンピオン馬場が、きっちりホールショットを奪う。
1周目は馬場がそのままトップをキープしたが、2周目には新型YZ250FXに乗る昨年のチャンピオン、ゼッケン1の渡辺学がトップを奪取。4周目まではそのまま渡辺がトップを守る展開になった。
1周目に渡辺を押さえていた際にウッズで転倒を喫し、順位を落としていた熱田が、徐々にペースを回復し、ついに5周目に渡辺からトップを奪う。
熱田のすぐ後ろにつき、終盤までプレッシャーをかけ続けたのは、今年のチャンピオンが決定している馬場。守りに入らないその走りに多くのファンが湧いた。弟の馬場亮太がSUGOで全日本エンデューロに初出場し、初日を2位という好成績で終えていたことも背中を押していただろう。
しかし、7周目に馬場は痛恨の崖落ち、最後は熱田が2分39秒の差をつけて余裕をもって優勝を決めた。2位に馬場、3位に渡辺が入った。