ついにリジュームしたスーパークロスイーストリージョン。下田丈が参戦するこのシリーズも、残り2戦に。そして、タイトル通り…下田丈がついにスーパークロスで初優勝を遂げた!!!
クレイグの負傷、下田の好調
クオリファイでは、ランキング2位のクリスチャン・クレイグが前転クラッシュでヒートレースをDNF。そのままこのソルトレイクシティ1をアウトする事態に。対して下田の調子は絶好調と言うべき状況。タイムクオリファイでは4番手とまずまずの位置につけた。
ヒートレースでは、出遅れたもののあっという間にトップのジェット・ローレンスの後ろへ。2位でフィニッシュ。ここまでは、これまでの展開とそう大きく変わりはないところだった。
抜群のスタートさばき、ついに下田がトップを引く
ところがメインレース、センターより内側からスタートした下田は、一瞬集団に巻き込まれながらも、ホールショットラインをトップで抜けて、そのままトップへ。ジェット、ニコルズら強豪は少しおくれて5番手あたりを彷徨い、下田の後ろには復帰したマイケル・モシマンがぴったりつける展開に。後半まで、モシマンの執拗な追撃を巧みなブロックラインでかわしながら、1秒以内の緊迫したリードを保ち続けた下田。
そして終盤、モシマンをパスしたジェットが今度は下田を追撃開始する。しかし、そのタイミングですでにジェットの体力は尽きていたのか、アタックを試みること無く、少しずつリードが離れていく展開に。日本のファンが固唾を呑んで見守るそのラストラップ、危なげない1秒ほどの差を保ちながら、下田はついに人生初、日本人初のトップでのフィニッシュラインを越えた。元チームメイトであるジェットと、喜びを分かち合い、ポディウムでは、家族やチームへの感謝を語った下田。今日のレースを「インクレディブル(信じられない)」と表現、喜びを全身で顕しながらの勝利インタビューとなったのだった。これで、下田は文句なしのランキング2位に浮上。1位ニコルズとは23ポイントの差で、最終戦にタイトルの望みを残す展開へと進展した。
ホールショットから、追撃を振り切る強さを見せ付け、なにより自分の実力を見せ付けての勝利。この偉大なる一歩は、本人だけでなく日本のすべての上を目指すライダーにとって、大きな一歩となるにちがいない。