辻は続ける。「コースはハードパックでそこに砂利の浮いたような路面でタイヤのグリップ、接地フィーリングを得にくい状況だったため慎重に走っていたせいもありますが、アクセルをあけた際の滑りやコーナー進入での滑りはフロント、リア共にありませんでした。
ペースを上げて走り始めた際にもグリップ、接地感も高いので中速で曲がるコーナーでもスタンディングのまま容易に旋回できフレーム、スイングアーム、トラクションコントロール等が路面グリップをずいぶん助けてくれているようでした。しかし、低速でタイトなコーナーでは、進入時のスライドが非常に少ない為、マシンがクイックに旋回しにくい一面もありました。アのグリップ力も高く、トルクフルなエンジン特性で低回転でハイギア走行していた為、クランクのジャイロ効果から生まれるマシン軸のバランス力が低くマシンの倒しこみに安心感を得られなかったのではないでしょうか」
そもそも、人間はどんな時にマシンの固さを感じるのだろうか
辻は言う。「正直、25%の柔らかさは感じなかったですね。かなり、固さを感じました。
でも、バイクが曲がっていくときに起き上がってくる感じ、振られる時の力の伝わり方は変わってました。以前であればガツンと来る感じだたっと思うのですが、それがないのでバイクの上で構えずに乗れましたね。
フレームで落とした剛性の柔らかさ、というのは強すぎた部分を削ったもののではないかと思います。僕の中のホンダのイメージはボートに乗ってる様なイメージ。車体を倒してはり付けて行きたい時に、少しだけ倒したり起こしたりするための重心移動が必要かなと感じましたね。逆に言えば新型はバイクの動きがわかりやすい。以前だと、押さえつけてバイクに任せて旋回するような感じでした。
とはいえ、コーナーでふいに車体が起き上がるといった事は感じなかったので、進入時にプッシュアンダーになるようなこともありません。ブレーキ時にフロントが抜けそうなシーンでも、スパッと抜けそうなフィーリングがないだけでなく、マシンがしっかり踏ん張って粘ってくれる感じ。そういった所にも車体のしなやかさが出ているのかなという印象です」と。