サハリンって、四駆ばっかり走ってるんですよ。しかも、吸気口を屋根の上までシュノーケルで伸ばしたヤツばっかり。治水がうまくいっていない国って、頻繁に道路が冠水しちゃうからなんだそうですが、ハンターカブのハイマウントエアクリーナーも、サハリンじゃ「無かったら、道中エンコして熊に食われちゃうかも」な必須アイテムでしょう。ハンターカブは、レジャーから生まれたのでは無く、あくまで荒れ地を走る必要があった人達に向けて作られた、「本物」のプロダクト。だから、ここまで魅力があるんでしょう。今日は、そんなハンターカブのディープな歴史を振り返ってみます。

最も人々の印象に残った、THE・ハンターカブ「CT110 TRAIL110」

多くの人々を魅了して、そのデザイン性やパフォーマンスを認めさせてきたハンターカブ。単気筒エンジンのキャラクターはそのままに、脈々と受け継がれてきたデザインで歴代のハンターカブは形作られてきました。その数あるモデルの中でも特に輝きを放っていたマシンがこちら。

画像1: 最も人々の印象に残った、THE・ハンターカブ「CT110 TRAIL110」

こちらはハンターカブの海外モデル「TRAIL110」。メインの常時噛合式変速機に併せて副変速機が搭載されており、エンジン本体に組み込まれたスプロケットの動きでハイギアとローギアを選択することが出来ます。路面の状況に応じて副変速ギアを操作することによって、最終減速比を大きくすることが出来るため、より多くのトルクを生み出して対応することができる仕組みです。ここまではご存知の方も多いと思われますが、70年代以前のハンターカブにはオドロキの仕組みが採用されていました。それがコチラ。

画像2: 最も人々の印象に残った、THE・ハンターカブ「CT110 TRAIL110」

こちらは1962年製・CA105Hのリアビュー。足回りには小径のギアにくわえて、大型ギアが装着されています。これは悪路や泥土を走るためのダート用ギアです。大径スプロケットのメリットは、発生したトルクを大径のギアで受け止めしっかりと地面に伝達することで、ぬかるんだ路面などをより強く捉えることができるというものです。当時としては画期的な機構なのですが、この特徴的なダブル・スプロケットは見た目通りに少し複雑なものでした。その仕組みというのが、変速をするためにドライブチェーンを一度切断して、付属の継ぎ足しチェーンを接続して変速を行うというもの。当時の人々は、舗装路や悪路などの路面の状況に応じてチェーンの架け替えを行っていたようです。

ハンターカブの祖先となったトレール車「CA100T」は、1961年に誕生した。

1960年代当時のアメリカは、農道や荒れた道が多かったために、二輪車で走ることのできる道路の選択を余儀無くされていたようです。そこで、日本で生産されたバイクを輸入・販売していたアメリカンホンダが、「スーパーカブをベースに、どんな道でも走れるトレールタイプの小型オートバイを作る」という目標を掲げ、開発が進められていきます。

CA100T TRAIL50

画像: CA100T TRAIL50

ハンターカブシリーズのルーツ。ベース車両はスーパーカブC100ですが、スーパーカブと比較して大きく異なる点は足回りパーツの変更。スーパーカブ譲りのフォルムや積載性はそのままに、丁数の多い大型スプロケットを装着することによって、悪路の走破性が向上しました。農業や狩猟で使用するための実用性を意識したパッケージにまとめられています。

C105T TRAIL55

画像: C105T TRAIL55

前モデルのTRAIL50から5ccの排気量アップが施されたこちらのモデル。印象的な変更としては、マフラーの改良があります。山地の仕様を想定した変更であり、山火事のリスクを抑えるという理由で身の細いマフラーに換装されています。ブロックタイヤや大型スプロケットは変更されずに継続採用。

CA105T TRAIL55

画像: CA105T TRAIL55

前モデルとの大きな違いはないものの、当モデルからモタードライクなアップマフラーへと変更されており、現行のハンターカブに通ずるスポーティーな容姿へと変貌を遂げています。

C105H

画像: C105H

ハンターカブ特有のむき出しメインフレームやアップマフラーなど、これまでのモデルと大きな変更点はなく、継続して製造が行われていました。排気量は54ccで、最高速度は65キロ。

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