トライアルでは、昨今クラッチをチューニングすることが常識になりつつあるそうです。クラッチをチューニングって、一体どういうことなのか…。トライアルのトップライダーも御用達のクラッチショップ、工房きたむらにて、セロー225を題材にその極められし秘技を取材してきました。これを読み終わる頃にはクラッチチューニングしたくてウズウズしていることを約束します。
冷やす&オイル保持のヒミツはこの切り込みの溝
また、オイルの潤滑性を高めるためにクラッチプレートには切り込みを入れています。「オイルは潤滑と冷却の機能をもっていますが、セローの場合は切り込みを入れることでオイルを保持させ潤滑能力を高めています。また、他の車種では切れ込みを途中で止めずに外側まで切り込ませるのですが、こちらはまったく違う用途で切り込みをいれています。つまりオイルの機能2つめの冷却効率を上げるためなのです」とのこと。特にセローの場合は、オイルの潤滑量を増やしたいと北村さんは言います。
「そもそもクラッチはオイルに浸っているものと浸っていないものがあります。特にセローは油面が低くクラッチが浸っていません。つまり熱を持ちやすくオイルが届きにくい点があります。そのため、溝切り加工を施しオイルを少しでも回す工夫をしているんです。セローは山を走るのには楽しいバイクですが、半クラを使うと焼けやすいのはそういうことなんですよ」