トライアルでは、昨今クラッチをチューニングすることが常識になりつつあるそうです。クラッチをチューニングって、一体どういうことなのか…。トライアルのトップライダーも御用達のクラッチショップ、工房きたむらにて、セロー225を題材にその極められし秘技を取材してきました。これを読み終わる頃にはクラッチチューニングしたくてウズウズしていることを約束します。
コンマ数ミリ単位の調整がクラッチを変える
この写真をよく見てください。指で示している箇所に数字の1が見えるでしょうか。北村さんはクラッチを組み込む前にプレートに数字を振って順番と嵌合させる溝をきめていました。なぜそのような事が必要なのかと話を聞いてみると北村さんはなぜかノギスを手に取ったのです…。
すると、おもむろにフリクションディスクの厚みを測り始めたのです。単純に考えれば新品なのだから同じだろうと考えますよね。そもそも厚さを測った事のある人などいるのでしょうか…。実際に測ってみると、同じディスクの中でもコルク部分の高さが若干異なっており、上の写真は厚さが2.99mmですが、下の写真は3.01mmになっているんです。つまり、このまま組んでしまうと接触面が均一に触れられてないということ。
「どんなクラッチでも同じディスク内でコルク部の厚みが若干異なるため、薄い所と厚い所が出てきます。そのため、1枚1枚厚さを計測して薄い所、厚い所を組み合わせることによってなるべく均等になるようにしているんですよ。そうすることでクラッチの精度があがります」と北村さん。