ロレッタリンでトップクラスは、どういう意味を持つか
さて。
ここまで、接近戦になればこのロレッタリンで最も速いと評価できる下田丈だが、かつてのロレッタリン卒業生はどんな道筋を歩んでいるのだろうか。
2017年の勝者、ジャスティン・クーパーはロレッタリン終了後にあっさりファクトリーと契約したことを公開、翌週のAMAモトクロス・ユナディララウンドでプロデビューを果たし、堂々のヒート2位入り。2019年の現在は、ランキング3位を快走中だ。
だいぶ遡って2005年。かのライアン・ビロポートはロレッタリンを走っていた頃から神がかったスピードを買われていたが、その年プロデビューしてスティールシティとグレンヘレンでは2位。ご存じ、2006年に速くもLitesでチャンピオンに輝いた。
現在、下田丈はそのスピードにおいてプロクラスのライダーと同じペースで走行することができる。そして、このロレッタリンでは苦い思いをしたが、もっと時間があればもっと攻めることができるだろう。より長い時間で戦うタフなプロの世界は、下田にとってハードルではなく「より走りやすい環境」となる。ロレッタリンは、アメリカのモトクロスの中でかなり特殊な部類に入る。下田はすでに8年戦っているが、毎年そのコースはコブの位置まで変わらないし、アメリカのアウトドアとしては狭い。ラインは無数にあるものの、レーンがつながっていて、フローを作りづらい。AMAのアウトドアコースでは、もっと自由にラインをチョイスできる。だからこそ、難しいのだが。
もちろん、スピード、タフネスだけで勝てるほどプロの世界は甘くない。ただ、期待しないでいろというのも、無理があるんじゃないか。下田丈のプロデビュー戦、来週のユナディラもOff1.jpはレポートを予定している。