まだ、65ccで下田丈が戦っていた頃、年にして2014年のこと。ベルギーで開催されたジュニアモトクロスワールドチャンピオンシップで、表彰台の頂点にいたのが、ジェット・ローレンスだった。2位は我らが下田丈。そして、2019年初旬に鳴り物入りでアムズオイルホンダ入りしたのが、ジェットだった。
中央が、ジェット・ローレンス。オーストラリア出身のジェットは、オーストラリアが急激にオフロードバイクでの成績を高めている最中に出てきた、キッズだった。ご存じ、ガイコホンダ所属ハンター・ローレンスの実弟。ローレンス家は、オーストラリアからまずMXGPへチャレンジするためにドイツへ。数年後の今年、アメリカのレースシーンへ軸足を移してきた。これまでの下田のライバルといえば、カワサキのセス・ハマカー(ロレッタリンは負傷で欠場)、あるいはKTMのピアース・ブラウン、ハスクバーナのジャレク・スウォルだったが、ジェットはアメリカのアマチュアシーンに突如現れた新星であり、下田にとっての5年越しのライバルである。下田は強調して言う。「同世代のライバルは、ジェットだけです。ジェットはヨーロッパから来てるから、年下なのに経験も豊富です。レースが巧い。展開の作り方が上手です。めちゃくちゃ速いってわけじゃないけど、バランスがいいんですよね」と。
大荒れの250プロスポーツ
ロレッタリン、金曜日。実は、この日は下田たちにとって最終日である。午前に250プロスポーツ、午後にオープンプロと両方3ヒート目が開催されるわけだ。これまでの成績は…
下田丈 オープンプロ 4-2
250プロ 8-1
ジェット・ローレンス オープンプロ 2-1
250プロ 1-2
という結果。250に関しては、相当に厳しい戦いを強いられている。ジェットがもし7位以下で下田が優勝すれば、総合優勝があり得るといった具合だ。だが、安定感抜群のジェットにあって、それは考えづらい。