また、会場ではIRCタイヤがブース出展しており、現地で購入し、装着したライダーも多かったようです。IRCの担当者にこのミニゲコタについてお聞きすると…
「18インチのiX-09w GEKKOTAを出して、嬉しいことに大変好評をいただきまして、身長が低い方もゲコタを履きたいから無理してフルサイズを選ぶ方とかもいて。あとレディースライダーからも毎回のように16インチのゲコタがあったら嬉しいという声が多く寄せられていました。
タイヤの特性としては18インチのゲコタとほとんど同じなのですが、ミニモトに履かせることを考慮して剛性を少し落としています。ライダーの方も比較的軽い方も多いでしょうし。適正な空気圧としては0.35〜0.4kgfくらいが良いと思います。0.3kgfまで落としてしまうと、ミニモトの非力なマシンだとパワーを食われてしまうかも知れません。0.6kgfまで入れればモトクロスコースのようなところでも比較的ヨレずに走ることもできると思います」とのこと。
開発ライダーAD/tacが自らデビューウィンを飾った
こちらは以前、Off1.jpでもご紹介した和泉拓選手のBetaクロストレーナー。フロントは19インチのiX-09w、リアはもちろん新発売のiX-09w GEKKOTA16インチ。
和泉選手はこの通称「ミニトレ(ヤマハミニトレ、じゃないです。ミニ+クロストレーナー!)」でミニバイククラスに出場。ただ一人6周を回り、ミニゲコタのデビューウィンを飾りました。
「2st250ccのマシンに小さいホイールをつけただけなので、2st85ccや4st150ccのミニバイククラスで勝てるのは当たり前なんですけど…。G-NETも周回できたのでかなり良いマシンに仕上がったと思います。本当に思った以上にデメリットがなくて、自分でも驚いています。
タイヤが小さくなったからガレで大きな岩を越えるのが難しくなるかな、と思ったのですが、ミニゲコタが履けるのでそこは大きなデメリットではありませんでした。むしろ前後タイヤを小さくしたことで約5kgも軽量化できているメリットが大きいですね。あと、重心が低いので相対的にホイールベースが長くなって、ワダチが深くてスタンディングが難しい急斜度のヒルクライムに座ったままアタックしてもフロントが浮いて来ないんですよ。スピードが乗りにくいので、ヤチとフカフカなヒルクライムでは少し弱さを感じましたが、ガレの下りとかではすごく良いです。
ミニゲコタができたから試しに作ってみた仕様ですが、これは足つきの問題でフルサイズのバイクに乗れなかった人たちに新しい選択肢を与えてあげられたんじゃないかな、と思っています」
と語る和泉選手はさらにG-NETクラスにもこの仕様で出場。ヤチでハマりながらも周回し、2周目の後半でタイムアップ、15位に入っています。
「フルサイズの人たちって、こんな楽な思いしてたのか!」
ミニゲコタを待ち望んでいた一人、渡辺智子さんが今回、おひなさまクラスにミニゲコタを履いて出場。見事6位に入賞を果たしています。
「私はTTR-125に乗っているのですが、一昨年くらいからIRCの方にミニモトでも履けるゲコタが欲しいとリクエストさせていただいていました。
2017年にチャオ御岳スノーリゾートで開催されたIRCオフロードイベントの時にノーマルのiX-09wでガレを走って、すごく苦労したのですが、それが普通だと思っていました。でも今回、奈良トラのガレをミニゲコタで走ってみて、感動しました。フルサイズの人たちって、こんな楽な思いしてたのか!って(笑)。
走る前は、私はあんまり技術がないから、いくら良いタイヤを履いても違いなんてわからないんじゃないか、と思っていたのですが、全然違いましたね。沢でもすごくグリップするからフロントがちょっと浮いちゃうこともあったのですが、身体をちょっと前に動かしてあげればおいて行かれることもなくて、ぶっつけ本番でも楽しんで走ることができました。
ミニゲコタが発売したことでミニモトでも頑張れるんだ、って思って欲しいし、女性ライダーも増えていって欲しいです。今回、開発に携わってくださった全ての方々に感謝したいです!」
もう一つのデビューウィン! おひなさまクラスもミニゲコタが勝利
仙台から奈良まで遠征してレースに参加した橘千恵さんは、さわやかクラスとおひなさまクラスのダブルエントリー。2レースともミニゲコタを使用していました。さわやかクラスではフルサイズや男性ライダーに混ざって15位(122台中/3周)! そしておひなさまクラスでは4周して見事、優勝。
「本当にミニゲコタが勝手に進んでくれて、それについていくのが精一杯でした。おひなさまクラスには強敵がいたので、勝てるとは思ってなかったのですが、沢でトップに立てて、そのまま逃げ切ることができました。相手の子は前日まで悩んでましたが、結局ミニゲコタを履かなかったので、その差は大きかったと思います(笑)。
ガレ以外もツルツルの滑りそうな登りも低速でトコトコ登っていけましたし、すごくよかったです。今はCRF100に乗っているのですが、以前XR230に乗っていた時に18インチのiX-09w GEKKOTAを愛用していたので、もう自分がゲコタありきの走り方になっちゃっていたんですね。
VE-33s GEKKOTAが出た時に一回使ってみたのですが、私はiX-09w GEKKOTAの方が好きだったので、16インチの発売は本当に嬉しかったです。フロント19インチのゲコタも出して欲しいな〜って言ったら贅沢ですかね(笑)」
JECチャンピオンのお下がりマシンでミニバイククラス5位
熊谷崇さんがミニバイククラスに出場したKX-85Ⅱはなんと、JEC全日本エンデューロ選手権2018チャンピオンの前橋孝洋選手が過去に乗っていたもの。今回、このマシンにミニゲコタを装着して出場し、ミニバイククラスを4周、5位に入りました。
「前にCGC大町を走った時は他社のタイヤを使っていて、赤土カチパンのところがすごく弱かったんです。今回はミニゲコタを履いて、ガレには強くても赤土には弱いかもな〜って思っていたのですが、実際に走ってみるとそこでもちゃんとグリップしてくれました。丸太にも強かったし、苦手なところはないんじゃないでしょうか。沢ではグリップしすぎて身体がおいて行かれそうになるくらいでした」