鹿児島に、20代の若者をオフロードに引き込みまくる店がある。鹿児島大学の目の前に位置する「LIGHTNING」だ。店主は、城ノ下寿博さん。ライトニングに集まる大勢の客をまとめあげる、最近では珍しい「バイク屋のあんちゃん」。
「バイクハウスというホンダのお店があって、そこから独立しました。自分はもともとオンロードをメインでやってて、5年くらい前からオフロードにちょこっと乗り出したんですよね。ある時期まで並行してやってたんですけど、鹿児島は大楽さん(KTMの名門ディーラーフレックス店長にて、ISDE経験者)とかいらっしゃったり、小さいレースが色々あるので楽しくて。そのうちモトクロッサーとか乗り出して、仲間内もオンロードからオフロードにスイッチしちゃったんです。
結局オフロードがメインになって、今に至ります。なかなか一般道を乗るオフロードバイク乗りとは、モトクロスやエンデューロは違うんで、広めたいなと。今年から、初めての子とか、興味があるけどやったことがない子達に体験走行をしてもらっています。オフロードのギヤも全部うちで用意してますね。
乗るまでは行かないけど、こういう遊びがあるんだってことを知ってもらえて、裾野が広がればいいなぁって。
自分もまだ5年ぐらいしかオフロードをしていないので、もっと上のレースに出られるように、頑張ってます。とりあえず、中堅のNBからスタートして、どこまで行けるかなって」
城ノ下さんの愛車は、いまRM-Z250。店の活動にフィードバックできるよう、いろいろと実験台になっているらしい。
店の片隅におかれた、城ノ下さんのオールドデイズ。スケートボードも相当やりこんだ。
どうして、ここに集まるのか
城ノ下さんは言う。
「今、オフロードバイクをメインでやってるお店なんてないと思うんですよ。オフロードをしたい、とか、興味がある人はいるようなんですよね。あそこなんかあるぞ、って感じで見せにひょっこり来たりとか、リターンライダーの方が来たりとか。友達の口コミであそこやってるよ、とかですね」
店内を見渡すと、まるで大学のサークル部屋のようだ。実際、大学生が集まってピザパーティをしたりもするらしい。「引っ越していく人のバイクを引き取って、必要な人に販売したり、個人売買を斡旋するときもあったりします。誰かが欲しいって言ったら誰が売るって言ってるよって」鹿児島の学生がオフロードバイクをやりたいと言ったら、ここにくればなんとなくはじめられそうな雰囲気がある。
イベントも多い。
「初めての子には、間口が広いレースでも敷居は高い。だから、2ヶ月に1回オフロードのイベントをやってます。コースでみんなで走りましょうっていうだけですが。初めての子だったら基本的な乗り方とかを教えたりしてますね。できるだけ敷居は低くすることを意識しています」と城ノ下さん。
九州の癖のあるバイク屋連中からも、一目置かれていて「城ノ下君のところは、若い人を連れてきてくれる」という話をよく聞く。鹿児島在住のダートバイクファンに、ぜひおすすめしたい「ベース」だ。