今回、増田がチョイスしたマシンはHonda CRF250RALLY。いわゆるレーサーとは違って、純然たるストリートリーガルマシンCRF250Lにラリーイメージの外装をあしらったモノだ。ダカールマシンであるファクトリーバイクCRF450RALLYで培ったテクノロジーが、外装に活かされていて、カウルに開けられたスリットからエアが吹き出し、ライダーを疲れから守ってくれる。実際、この風防効果と、クラス唯一のオフロード性能を持ってして、CRF250RALLYはミドルアドベンチャーバイクの中でも特異なマシンであり「まじめにラリーできるバイク」と評価も高い。もちろん、ツーリングでの風防効果は最高。
ローダウン(LD)の効果はいかに
そして、155cmの小柄な体格の増田にとって、足着きは今のところ重要視するポイント。ダカールを目指してエンデューロに出始めた2016年、2017年はフルサイズバイクになれるためもあって、250EXCなどで参戦していたが、なかなかスピードを取り戻せなかったことを鑑みて、現在はミニモトで参戦をしている。ミニに乗った瞬間から、突如速度が上がっている現状を考えても、CRF250RALLY LDをチョイスしたことは結果に結びつくはず。
シート高は、スタンダードのCRF250RALLYと比べて65mm低く、増田の身長でもこのとおり足着きは良好だ。
車両テストに持ち出してみると、乗れている感がある。
「ラリータワーを装着したこともあって、フロントヘビーになっています。テストを繰り返すうちに、これは前後を別に考えれば乗りやすいんだと思いました。特に意識すべきなのは、シートの着座位置。(この写真では前に乗っているが)おしり一個分ほど後ろに乗ることで、相当あつかいやすくなりますね。
フロントサスペンションは、LDでローダウンしているからそこまで突っ込んでいけないのですが、これも前を逃がすように乗ることである程度解決できそうです」と増田は言う。
サスペンションをショートストローク化することで、サスペンションの性能は下がってしまう。これは物理的にどうしようもない部分だ。しかし、そのデメリットよりも足着きと低重心化による操安性が勝るなら、ラリーにおいてもLDの選択肢が浮上してくる。増田の場合、このチョイスは相当うまいところを突いたと言える。
ストリートリーガルマシンで、ラリーを髄まで楽しむ
現代のラリーバイクは、どんどん小排気量になっていっている。ダカールラリーが450ccに排気量を制限したこともあるし、難コースでも走破性が高いことも理由の一つ。多くのライダーは、450ccのエンデュランサーをモディファイすることで、ラリーへ対応させている。
とはいうものの、アジアクロスカントリーラリーにはCRF250Lなどで参戦するライダーも少なくない。「いかにツーリング先でトラブルをおこさないように、難しいテストを通してきたストリートリーガルマシンだからこそ、ラリーでもトラブルは起きにくいはず。レーサーに比べてパワーにおとる分、快適さやメンテフリーでラリーそのものに集注できる楽しさを、完走することで表現したいですね」と増田。
このマシンには、いくつかのラリーモディファイが施されている。
1.石原商店がセットアップしたラリータワー
2.NOGUCHIシートのダカールスペックチューニング
3.ZETAパーツによる増田の体格に合わせたフィッティング
4.入念にテストされた足回り
詳細は順を追って記事にする予定。お楽しみに!