3月29日(土)、アメリカのシアトル州にあるルーメン・フィールドにてAMAスーパークロス選手権第11戦が開催されました。
注目ポイント
・第3戦ぶりの通常フォーマット。下田丈の立ち位置は?
・トップライダーに食らいつき好バトルを見せたヒートレース・決勝
・ルーキーのデイビスが初優勝、終盤戦の流れは?

シーズン後半、久々の通常フォーマットで下田はどう戦うか
下田丈が参戦する250SX WESTは、前戦のEAST/WESTショーダウンから3週間ぶりのレース。トリプルクラウン、ショーダウンと特別なフォーマットが続いていましたが、今回は2ヶ月ぶりの通常レースとなりました。
第2戦での指の怪我が未だ完治しておらず苦しむ下田ですが、シーズンも終盤戦にさしかかり、SXチャンピオンシップだけでなく5月からのモトクロスシーズン開幕も意識せざるを得なくなる頃です。久々の通常フォーマットのレースでどんな走りを見せるか、注目が集まりました。
トップ陣に食らいつくバトルでトップ5フィニッシュ
計時予選を6番手タイムで終えた下田は、中央のグリッドから6分+1周のヒート1に挑みます。スタートを成功させた下田は、ファーストコーナーでややもたついたものの、3番手でレースを開始し、直後のリズムセクションで2番手に上がります。
序盤からトップを走るコティ・ショックを追う下田。中盤その距離を縮め、トップに並びかける瞬間もありましたが、なかなか抜ききれません。その間に、下田の背後に迫ってきたジュリアン・ブーマーが下田をパス。抜かれた後もコーナーで前をうかがうものの決定打は得られず、下田は3位でヒートレースを終えて決勝レースに駒を進めました。

決勝レースでは好スタートを切ったものの、隣のヘイデン・ディーガンと進入ラインが被ったことで加速が鈍り、14番手でファーストコーナーを抜けた下田。追い上げのレースを余儀なくされますが、1周目終了時には8番手、2周目で5番手とうまく集団を捌き、早々にポジションを落ち着かせました。
5番手を走行していた残り10分、1周目で転倒し後退していたディーガンが下田の後ろまで順位を回復。リズムセクションで先行されコーナーで抜き返す、という激しいバトルを展開します。複数回順位が入れ替わったのち、リズムセクションでディーガンが軽く当てながら下田をパス。終盤、4番手を走行していたショックが転倒したことにより下田は5番手に上がり、そのまま5位でゴール。17ポイントを獲得し、ポイントリーダーのディーガンと30ポイント差のランキング4番手をキープしました。
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youtu.beルーキーが初優勝、混戦の250SX WESTは誰が制すか
今回はスタート直後の混戦状態の中での動きや、チャンスを逃さず食らいついていくバトルなど、下田の強みが現れたレースになりました。特に、追い上げ状態のディーガンとしっかりバトルできていたのは下田だけだった印象。一方で、リズムセクションやフープスなど、ジャンプがあるパートでパスされるシーンが多く、やはりまだ本調子でなく怪我が走りに影響している様子がうかがえます。怪我から2ヶ月半、あと2ヶ月弱でPro MXシーズンも始まります。残り3戦、下田がどうSXシーズンを戦い切るか、注目です。

そして、今回新たなウィナーが誕生しました。デビュー2戦目でヒート優勝を果たし、その後も好成績を残してきたニュージーランド出身のコール・デイビスです。今回、ヒートレースを制し、決勝レースではホールショットから逃げ切り優勝を果たしました。7戦で5人が優勝している混戦の250SX WESTも、残りは2回のショーダウンを含む3レースのみ。チャンピオンシップではディーガンが149ポイントで首位につけており、135ポイントのブーマー、129ポイントのデイビス、119ポイントの下田と続いています。転倒は多いものの追い上げて常に上位フィニッシュしていることで、ディーガンがランキング上では頭ひとつ抜けていますが、デイビスも勢いづいてきたこの状態では、まだ順位が入れ替わる可能性が大いにあるでしょう。

そんなポイントリーダーのディーガンは、終盤でブーマーをパスし3位でゴール。その際、コーナーでディーガンがインにねじ込んだことでブーマーは失速、ポジションダウンし表彰台を逃しました。
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x.comゴール直後、ディーガンとブーマーが激しく口論する場面が見られました。実は1週間ほど前、ディーガンは駐車場でスポーツカーでドーナツターンをし逮捕されました。その際、年齢を偽った偽装免許を所持していたことで問題になりましたが、ディーガンはすぐに釈放され、今回のレースを迎えました。
レース後は各々インタビューでレース内容とレース後の口論について言及。ディーガンは、逮捕劇が起きた際にブーマーがディーガンの住所をSNSにあげたことに対して「それにより家族が危険に晒された」と非難しました。一方、ブーマーは「レース後のことついては心配いらない。僕は彼の住所を晒したかったわけではない。公的記録を載せたんだ」とコメント。レース内容に関しては「自分がミスをしてしまった」と振り返りました。

450SXも毎度激しいトップ争いが展開される今シーズン。今回はクーパー・ウェブ、ケン・ロクスン、チェイス・セクストンが三つ巴の戦いを繰り広げ、最後までチャンスをうかがっていたセクストンを抑えきったウェブが優勝。シーズン4勝目でポイントリーダーの座を死守しています。2位でゴールしたセクストンは11ポイント差でランキング2位。安定した成績を残し続けているこの二人が、チャンピオン筆頭候補に絞られています。
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youtu.be下田丈の次戦は4月13日、第13戦のEAST/WESTショーダウンです。