3月8日、AMAスーパークロス選手権第9戦が、アメリカ・インディアナ州にあるルーカスオイルスタジアムにて開催されました。
注目ポイント
・今季初となるEASTとWEST混合のショーダウン、その勢力図は?
・下田丈は着実に回復、粘り強い走りで激闘を繰り広げる
・EASTのセス・ハマーカーが優勝、ポイントランキングへの影響はいかに
EASTとWESTの交流戦、ポイントランキングから見るその勢力図

東部(EAST)と西部(WEST)に分かれてレースが行われる250ccクラスですが、年に数回、ショーダウンと呼ばれるEASTとWESTの交流戦が行われ、今大会が今季初の開催となりました。ショーダウンは1985年に開催されて以降今回で62回目、今年は1996年以来となる全3回の開催が予定されています。
今シーズンのWESTとEASTの勢力図を見ると、WESTでは第7戦終了時点でヘイデン・ディーガンがポイントランキングトップに立ち、続いて6ポイント差でジュリアン・ブーマー、22ポイント差でコール・デイビス、その1ポイント差で下田が4位につけています。ディーガンがリードしているものの、全5戦中優勝したのは2回のみで、その他のラウンドではブーマーと下田、ジョードン・スミスが勝利を獲得。上位陣の実力が拮抗していることがわかります。一方、EASTではマックス・アンスティがランキングトップ。その6ポイント差でトム・ビアレ、13ポイント差でチャンス・ハイマスが続きます。
また、東西混合で行われた計時予選では、1位からディーガン、セス・ハマーカー、デイビス、アンスティ、ビアレという順位で、下田は8位でフィニッシュ。両地域のトップライダーが混戦を極める状況の中、誰が最初に優勝を手にするのか、その行方に注目が集まりました。
なお、下田は第2戦で怪我を負ったものの欠場することなく出場を続けています。解説によると、下田の怪我は着実に回復し握力が戻ってきている様子ですが、手のひらのあたりがまだ少し腫れているようで、ハンドルのグリップ感は完全に戻っているわけではないとのこと。怪我が回復しきっていない状態ですが、ラウンドを重ねるごとに調子を上げ、第7戦では開幕戦以来の表彰台を獲得。今大会もその活躍に期待が高まります。
下田はメインイベントで6位獲得。粘り強い走りで攻防戦を繰り広げる
6分+1周のヒートレースはWESTとEASTに分かれて行われました。下田はスタート後6番手につけ追い上げを図ると、レース中盤に5番手を走るギャレット・マーチバンクスをパス、さらにジェット・レイノルズをかわし4番手に浮上します。勢いのある走りでポジションを守りますが、レース終盤にマーチバンクスの追い上げによって順位を落とし5位でフィニッシュを果たします。一方、EASTのヒートレースは、アンスティがホールショットからそのままトップでチェッカー。続いてRJハンプシャー、ハマーカーという順位でゴールとなりました。

WESTとEAST、それぞれの実力が示されたヒートレースを終え、迎えたメインイベント。下田は1周目で5番手あたりにつけると、序盤でデイビスをパスして4番手に浮上。さらに3番手を走るブーマーに迫ります。しかし後方からディーガンが距離を詰め、3番手争いが拮抗。下田が3番手に浮上した直後、ディーガンが追い上げ横並びの接戦を繰り広げます。下田は粘り強くブロックし3番手を死守しますが、ディーガンが隙をついて下田をパス。その後、下田は追い上げてきたブーマーとハンプシャーに前を譲り6番手にポジションを落とすものの、抜かされてもなお食らいつく粘り強さを見せます。下田の走りについて解説は「ジョーの闘志あふれる走りがいいね。怪我もあってまだ100%の状態じゃないのに、見事なライディングを見せている」と称賛。最後まで粘りますが、結果は6位でレースを終えました。

なお、ショーダウンで優勝を飾ったのはEASTのハマーカー。スタートからトップを守りきり、自身のキャリア2勝目を獲得しました。2位にはビアレ、3位には追い上げたディーガンが入賞を果たしました。
【Off1的見解】WESTはポイントランキングの変動なし。250と450クラスともに上位陣が固まりつつある
今回の結果を踏まえてWESTのポイントランキングを見ると、前回から変動はなく、依然としてディーガンがリードする状況。初戦から混戦状態でしたが、徐々に上位4位までのライダーが固まってきたように思えます。下田は3位のデイビスとの差が2ポイントで、トップとは27ポイント差。残りのレースはWEST2戦とショーダウン2戦の全4戦あり、今後のレースの展開次第で逆転する余地は十分にあります。
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一方、450クラスは、怪我によって離脱するライダーが多い中、クーパー・ウェブ、ケン・ロクスン、チェイス・セクストンがクラスの中で存在感を示しています。そんな中、今大会はウェブが序盤でトップに立ち、そのまま後方を引き離して見事優勝を獲得。今季3勝目をあげ、15ポイント差でチャンピオンシップをリードしています。
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youtu.be次に行われるWESTのレースは3週間後、3月30日に開催される第11戦シアトルです。着実に勢いを増してきている下田は、このインターバルでさらに調子を上げてくるはず。次戦、そしてランキング争いの行方も見逃せません。