史上初のオートバイによる北極点・南極点到達、チョモランマ(エベレスト)世界最高高度6005m達成、パリ・ダカールラリー二輪部門へ日本人として初めて挑戦などこれまで数々の挑戦を成し遂げてきた風間深志氏が、初めての日本一周ツーリングに出発。vol16では、旅の一つの目標であった16極巡りをついに達成
さて、本日はいよいよ日本16極点巡りの最終ゴール日。残る極点はふたつ、日本本土最西端の「神崎鼻(こうざきばな)」と九州最北端「和布刈(めかり)神社」である。
ところが無情にも朝から雨。日本縦断のお祝いのために集まってくれた仲間たちと宿の前で記念写真を撮影すると、僕は足早に佐世保の神崎鼻を目指す。
神崎鼻に到着したのは午前11時半。どんより冴えない空模様だが、冒険ライダーの性なのか「極点」にやってくると途端に気持ちが上向く。「日本本土最西端の地」の碑が立つ高台から見晴らす東シナ海の何と清々しいことよ。ちなみに神崎鼻では、カワサキ乗りのライダー(元海上自衛官)の方が僕の到着を待っていてくれた。じつにありがたい。
ただし、今日はまだ先があるため、あまりのんびりとはしていられない。
左手に玄界灘を見ながら佐賀県を経由し、福岡市、北九州市と約4時間も走り、17時過ぎにようやく和布刈神社に到着。
関門海峡に面する和布刈神社は、潮の満ち引きを司る「導きの神様」とされ、古くから航海の安全を祈願するため多くの人々が訪れたという。
この場所をもって僕の長年の待望だった「日本16極巡り」は無事に完結。今朝、宿で別れた中山さんと小浦さんも僕の記念すべき瞬間のためにわざわざ足を運んでくれたのだった。
思えば、約2カ月前に北海道の日本本土最北端「宗谷岬」に立ったところから始まった日本16極巡り。今回のロングツーリングの本来の目的は、日本をじっくりと一周しながらオートバイの旅の魅力や本質について改めて考えてみることであって、極点巡りは副次的なものだったのだが、いざ走り始めると「今回で3極目、その次の4極点目は?」などと、鼻息の荒い「16極キラー」と化してしまった。これもひとえに僕の心に余裕がないから。我ながら猛省である。
達成の余韻にじっくり浸りたいところだが、今日はこれから15㎞ほど走って新門司(しんもじ)港まで移動し、横須賀行きのフェリーに乗らなければいけない。中山さんと小浦さんもフェリー乗り場まで付き合ってくれ、そこで一緒に名物のうどんとおはぎを食べた。
博多でお世話になったボビーさんも僕を見送るためにわざわざやってきてくれ、フェリー乗船時間の23時過ぎまで付き合ってくれた。オートバイでつながった日本各地の仲間たちの素晴らしさ。この旅によって改めて感じた大きな成果のひとつである。
日本16極点巡りはこれで終わったが、じつは僕の旅はまだ終わっていない。新門司から日本海を左手に見ながら北上し、青森へ到着したときに日本一周は真の完遂となるのだ!