川村が差を見せつける、ファースト65/110
ファースト65/110クラスは、最終戦目前にしてランキング上位ライダーのポイント差が拮抗していましたが、今大会に参加していない上位ライダーも多く、川村來輝(#34)がチャンピオン獲得に一番近い存在となりました。また、今回はスーパーMOTO-Eクラスとダブルエントリーをした小田楷葦(#52)が中国のバイクメーカーNicot MotoのE-WOLFに乗って参戦。同マシンでレースに出場するのは日本初ということで、そのマシンの性能にも注目が集まりました。
ヒート1、髙橋蓮晟(#88)がスタートで飛び出しますが、同じく好スタートを決めた丹羽がトップに浮上。さらに川村も2番手に上がり、トップを追いかけていきます。丹羽が快調な走りでレースをリードしていくかと思われましたが、1周目に転倒。これにより川村がトップに立ち、後方を引き離します。一方、2番手争いは髙橋に小田と丹羽が迫る展開。レース中盤で丹羽が抜け出し高橋をパスすると、その後差を広げ、レース後半にはトップ3人の間隔が開いた状態でレースが進みます。結果、1位川村、2位丹羽、3位高橋という順位でゴール。
ヒート2は小田が好スタートを決めてトップを快走。しかしすぐに川村がトップに浮上し、レースをリードします。川村、小田、丹羽のトップ3が牽引する中、序盤で小田が転倒。復帰を試みますがリカバリーできず、そのままリタイアとなりました。小田の戦線離脱により丹羽がトップを単独走行するかと思われましたが、髙橋と鶴野力隆(#191)が迫り、2番手争いが拮抗します。最後まで攻め続ける3人ですが、髙橋が抜け出し2位でゴール。川村、髙橋、丹羽という順でレースを終えました。両ヒートともに優勝を飾った川村が、今シーズンのチャンピオンを獲得。シーズンを通しての成長が著しく、特に今大会は安定感のある走りで周りと差をつけました。
「チャンピオンを獲得した川村選手は、前は転倒が多かったりと少し不安定な印象もあったのですが、今回はしっかりとジャンプを飛んで、転倒も1回ほどと安定していて、シーズンを通してすごく成長したなと思いました。上位クラスのスーパー65はさらにレベルが上がるので、今回得た成長や課題点を次に繋げて、さらに成長してほしいなと思います」
チャンピオン不在。拮抗するトップ争いを制したのは、スーパー65クラス
スーパー65クラスはすでに前戦で齋藤極(#4)のチャンピオンが決定。最終戦は齋藤が85ccクラスのみ出場したため、チャンピオン不在の中で誰が優勝するのか、そのバトルに注目が集まりました。
ヒート1、スタートで前に出たのは小磯銀士(#10)。その後ろに齋藤稀(#89)、熊澤蓮悟(#33)、片山太郎(#96)、松井嶺央将(#66)らが続きます。小磯が抜け出す中、3番手を走る齋藤に片山が迫り、序盤からバトルが白熱。攻める片山ですが、転倒し順位を大きく落としてしまいます。
小磯、松井、齋藤というトップ3が形成されたレース終盤、4番手を走行する市澄海(#7)が齋藤との差を1秒ほどにまで縮めます。齋藤は後方からのプレッシャーを感じつつもポジションを守りきりゴール。惜しくも表彰台に届かなかった市ですが、気迫感じる追い上げに、2ヒート目以降の活躍が期待されます。
ヒート2は片山がホールショットを獲得。その勢いのままトップを走行しますが、後方から松井と小磯が迫ります。序盤から激しいバトルが繰り広げられますが、小磯が抜け出しトップに浮上。レース後半にかけてペースを上げ、後方を引き離します。松井、片山という順で追いかけますが、その差は徐々に開きフィニッシュ。
続くヒート3では、齋藤がマシントラブルでDNS。トップランカーが1人不在の中抜け出したのは片山です。しかしすぐに松井がかわしてトップに浮上。後方を引き離しにかかりますが、小磯が徐々にその差を縮め、1秒を切る僅差でトップ争いを繰り広げます。小磯は松井を上回るラップタイムで攻めますが、松井の守りも固く、トップを譲ることはありません。序盤から続く攻防戦はラストラップにまでもつれこみますが、最後まで先頭を守った松井が優勝を獲得。接戦での強さを発揮したレースとなりました。2位小磯、3位には市が入賞。市は今季初となる表彰台を飾り、フィニッシュではガッツポーズを見せ喜びをあらわにしました。
「小磯選手、速くなっていますね。身体的な成長もあり、マシンが扱いやすくなって、攻めれるようになっていると感じました。全体的にプッシュして、攻めた走りができるようになっていたのが、優勝に繋がった点だと思います。松井選手も最終ヒートで優勝して、トップ争いのレベルが高いレースでした」