トライアンフが発表したばかりの450ccモトクロッサー、TF450RCのグローバルローンチを取材。2025年に向けて体制を整えるトライアンフレーシングの今とは
レーシングブランド“TRIUMPH”
トライアンフと言えばスクランブラーやボンネビルなどのクラシカルな雰囲気を持つモデルをイメージしやすいが、現在ロードレースのMoto2はトライアンフが独占的に765ccのエンジンを供給しているなど、レース好きには「レーシングブランド」としても知られている。
ご存じの通り同社はモトクロスヘ本格的に進出している最中だ。2023年のスーパーモトクロス最終戦では、リッキー・カーマイケルがトライアンフのモトクロッサーTF250-Xでエキシビションライドするなど強力なPR戦略を敢行。2024年には、いよいよジャレク・スウォル、ジョーイ・サバッチーの2名体制で250クラスへ参戦、スウォルはベストリザルト3位を残している。2025年にはキャリア13勝を誇るオースティン・フォークナーやジョードン・スミスらチャンピオン候補をチームに招き入れ、いよいよタイトルを狙うシーズンを迎えることになった。
さらには欧州で開催されているモトクロス世界選手権MX2クラスや、エンデューロ、スーパーエンデューロの世界選手権へも手を伸ばしており、2026モデルからは本格的な市販車デリバリーも開始するということで耳目を集めている。
モトクロスの中心地になりつつある、アトランタへ
今回編集部が向かったのはアトランタ空港から1時間ほど南に下ったところにある、MOTO-Xコンパウンドである。スーパークロスライダーだったマット・ウォーカーが所有する世界レベルのモトクロスファシリティだが、トライアンフのUSファクトリーはここが本拠地であると我々メディアに対して公開に踏み切った。また、ほぼ同時にUSファクトリーチームの運営を担ってきたボビー・ヒューイットと進む道を別とする旨を発表、トライアンフレーシングが大きく舵を切っていることがわかる。
このファシリティの総敷地面積は160エーカー(東京ドーム13.8個分)。市販車にフィードバックが可能な開発拠点や、5軸のNCマシンを備えた加工専用ブース、ファクトリーエンジン、サスペンション専用のメンテナンスブースに、各々のライダーに用意されたマシンメンテナンスブースなどなどオフロードレーシングにおけるファクトリー施設として完璧な設備を備えている。筆者はファクトリーコネクションや、ベータ、KTM(欧州・北米どちらも)など様々なファクトリーをこの目で見てきたことが一つの自慢なのだが、この公開されたトライアンフファクトリーは新しい施設ということもあって特に導線に優れているなと感じた。たとえば、サスペンションの減衰力特性を測るダイノマシンも備えており、各ライダーが隣のレーストラックでテストしたものとダイノマシンによる測定結果を加味し、変更箇所を即時反映できたりする。また、これらの開発拠点がここまで完璧なレーストラックに”併設”されているのを見たのは初めてであった。
現在、AMAをはじめとするアメリカの各社ファクトリーは、地代が高くレーストラックが遠いカリフォルニアから離れて、このアトランタ付近に集まる傾向にあるそうだ。ヤマハのスターレーシングも、フロリダ近郊のタラハシーにあったリッキー・カーマイケルのファシリティを購入して拠点をそちらに移している。アトランタは50州のうちでオフロードの盛んな土地とは決して言えないが、それでもさすがアメリカ。一日中走っても踏破できないほどの巨大なオフロードパークがゴロゴロしている。そして温暖でからっとしたカリフォルニアとは違い、蒸し暑く過酷なフロリダ(とはいっても最近の東京よりは幾分かマシだろう)でトレーニングをおこなうこと自体が、アスリートにとって適した環境だと言えるのかも知れない。
当然そんな施設だからノービス向けのトラックなどは用意されておらず、むしろピンピンに尖ったスーパークロストラックが2つ、どでかいジャンプばかりのモトクロストラックが2つ。粘土質の赤土で非常に重く、ここをファシリティのこれまたどでかい重機で思い切り掘り起こして入念に整備してある。赤土はジョージア州の誇りだ。マーティン・ルーサー・キングの演説にある牧師の“夢”「それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である」に出てくる赤土である。赤土の丘は、綿花のプランテーションの象徴だ。トライアンフのスタッフは「こんな赤土、見たことないだろう? マディになると全米屈指の難しさなんだよ。このトラックは本当に難しいよ」と胸を張って言った。
トライアンフの“オフロードレース”への意気込み
TF450-RC
通常、モトクロッサーは450を先行して開発がおこなわれる。僕がこれまで取材した知識を総動員してこの理由を語るとするならば、ひとつは現代のモトクロスで最重要視されるのは車体設計であるからだ。450のモトクロッサーは、エンジンパワーを250ほど必要としていないから250ほどにエンジンを作り込む必要はない。したがって、最も注視すべき車体やサスペンションの作り込みにある程度専念できるということらしい。450のパワーに耐えうる入れ物、つまり車体を作り上げたら次に250を作る。250は小排気量でいかにエンジンパワーを出すかが開発すべきポイントである。もちろん別々に開発がおこなわれているとは考えづらく、450のフレーム開発をしながら250へのマッチングも相当に考慮しているはずだ。
トライアンフの開発は逆だった。今年TF250-Xが世界初デビュー。450に関しては2025年のデビューだと発表されていた。一つにはレースで勝ちに行く体制を整えるための策略だと、トライアンフでは説明している。「プレミアクラスの450を初年度から挑戦することはハードルが高い。もちろん250と450は同時並行的に開発されているが、AMAやMXGPで結果を残しにいくなら250だと我々は考えた」と言う。AMAで450クラスで勝ちに行こうと思えば、ライダーとの契約金も250のライダーを遙かに超えてしまうし、スーパークロスでは倍のラウンドを戦うことになる。様々な憶測が生まれるが、トライアンフでは順を追ってレースへ挑戦する、という目的の下、250を先に開発したのだと言う。
そして満を持してこの度デビューしたのが、TF450-RCである。
何を隠そうこのリッキー・カーマイケルシグネチャーモデル、全身でカーマイケルを表現していて、最初から#4のナンバーが貼り込まれているのがなかなかにくい。今のところスタンダードモデルのTF450-Xは発表になっておらず、RCエディションだけがお披露目されている。2025モデルとしてはこのRCエディションのみのリリースになるが、もちろん市販されるためこのTF450-RCでホモロゲーションを取得してAMAスーパークロスやモトクロスに参戦することが可能だ。
車体は先行しているTF250-Xと共通で、独特のセンターバックボーン型フレームはオリジナリティ溢れる仕様だ。基本的には現代のモトクロッサーはツインスパー型のアルミフレームを進化させる方向がほとんどで、KTMグループがセンターバックボーン型のクロモリフレームを採用している。僕が知る限り国産でセンターバック型のアルミフレームを採用しているのは、2ストロークのYZシリーズで2005年にデビューしこの2025年まで使われているもの。ヤマハ社内で桂フレームと呼ばれて長年愛されているこのマスターピースは”空中で振り回せる軽快さ”を評価されているが、面白いことにトライアンフのTFシリーズも同じ評価を受けていた。
エンジンはKTMと同様にSOHCのヘッドに、ケーニッグの鍛造ピストン、デルウエストのチタンバルブを組み込んだもの。5速ミッションにクイックシフターが組み合わされており、アテナ(GET)のECUでデロルトのスロットルボディをコントロールする。スマートフォンでマッピングやトラクションコントロールをセッティングできるのも現代のモトクロッサーではおなじみの手法だ。ユニークなのはRC(カーマイケル)モードが設定されていることだ。カーマイケルは「ビギナーからエキスパートまでフィットするマップを作ったつもりだよ。スタンダードでは普通作らないようなマップだから、楽しんで欲しいな」とのこと。
RCエディションというだけあって、頑強なヒンソンのクラッチカバーやグリッパーシート、スタートデバイスなどそのままレースに出ることができるだけのシグネチャーパーツが最初からついてくるところもポイント。「僕のODI製ハンドルバーも採用されているから、普通のハンドル幅より少し狭いはず。他のライダーにとってもハンドリングの良さが役立つとは思う。このバイクはTF250-Xと同じところが多く、ドライバビリティもよく似ていると思う。450エンジンの慣性力はこのフレームにもよくマッチしていると思うから、ぜひ乗ってみて欲しい」とカーマイケル。
なお、トライアンフのオフロード向けディーラーは北米・欧州・オーストラリアで現在250店舗を越え、いま追加で100店舗を開発する第二フェーズに入っているという。また、ストリートバイクとは異なり、より迅速なパーツの流通にも配慮して新たなオンラインシステムを構築。特に北米では欧州メーカーに対してその週中でのパーツ手配ができるかどうかを重視する傾向があり、その需要に対応する体制を整えたとのことだ。準備は整いつつある。
レーサーの雑味がないピュアで洗練されたフィーリング
というわけで、おまけといってはなんだがいつも通りこのノービス代表稲垣がでこのモンスターマシンを試してきた。本来はIAレベルでテストできるライダーとコンビを組んでこの取材に行くべきなのだが、なかなかそうも行かない事情があるので仕方ない。
もちろん20年以上ノービスの地位を手放さず、地を這って文字通りジャンプを飛ばないモトクロスライフを送ってきた僕稲垣からすると、このファシリティでのインプレセッションは恐怖でしかなかった。さらに前日からしっかり雨が降っていて、上級者の刻んだ轍は焼いたらいい瀬戸物ができそうだな、という感じの硬さだった。こんな状況で450ccモトクロッサーに乗るとか、何かの冗談なのかな、と思った。
予想通り、コースインするとまったくバイクのテイスティングに割けるリソースは無く、まっすぐバイクを進めることに全集中することに。本当にここまで初心者に優しくないマディに遭遇したのは初めてで、3秒ゆっくり走っていると泥が後輪とスイングアームの隙間に詰まってしまって前に進めなくなるほど。最初はブレーキが壊れたのかと思った。「このコースは、バイクをギャップやジャンプで揺らして泥を落としながら走らないと、そうなっちゃうんだよ」とスタッフに言われて、少しだけ開け気味で走る。20年ダートバイクに親しんできたが、初めての経験だ。たしかに一定のスピードを維持していればいいのだけれど、それができれば苦労はしない。ここでもしレースをしたら、モトクロスなのに完走できないだろう。(編注:トライアンフからいただいた走行映像を見る限り、超フラットでマディにも見えないですね。ベスコンのようです)
もしこのテストライドが、よくありがちな30分程度の1セッションだけで終わりだったとしたら、なにも得られないまま僕は日本へ帰ることになったかもしれない。ところがさすがトライアンフ、マシンは1メディア1台を用意していて午前・午後共にみっちり乗れるという体制だった。午後のセッションでは、さらに難しいモトクロスコースに入ったのだが、ようやくバイクのいろんな面が見えてきた。まず、そもそも450ccのモトクロッサーでこの僕がこんなに厳しいトラックを(よろよろとでも)走れていることが奇跡に近い。考えてみれば、こんな難しい場所ではエンストの嵐になってしまうはずだ。エンスト耐性が高く、とても粘りのある低速に仕上がっているのである。去年YZ450FXに1年乗って450に少しは慣れているけれど、それでもモトクロッサーは本来厳しいもの。特に450の設計者は初心者のことなど微塵も考えていないだろう。
加えてまるでエンジンの質感がエンデューロマシンなのかと思うほどしっとりしていた。爆発による一発一発のトルクが暴力的ではない。カチッと角を立てた家具ではなく、職人がエッジを残しつつも手触りをよくするためにほんの少し角を落としたテーブルのような、そんなフィーリングだ。スムーズという表現は間違っているかもしれない。この角の落ちたフィーリングはバランサーとSOHCに由来するものかもな、と思った。上質でコントローラブル。意図せずエンジンのトルクが路面を蹴飛ばすようなことがなく、よっぽどミスをしない限りは後ろに振り落とされたりしないだろう。よくよく思い出すと、ホンダやKTMなどのSOHCヘッドを持った450ccと同じ傾向を感じる。
路面がわかりづらいというのも新しい感覚だった。特殊な路面だったのもあるけれど、リアタイヤのトラクションがとても良くて、マディを走っているような感覚ではないのだ。開けると表面で滑る感覚はなく、しっかり路面を掘って前に進む。マディなのに1開ければ1進むのである。だからひどいマディではないのだと勘違いしていたんだけど、油断すると成田モトクロスパークのマディよろしくフロントだけつるっと掬われて、まったく回復すること無くステーンと転ぶ。本当にリアのトラクションが優れていたんだと思う。
もう少し路面が回復してくれれば、たぶんもっと気持ちよく乗れるはずだ。日本のカチパン路面なんかとも相性が良さそうだと思った。
トライアンフが考えるモトクロスの世界観が、電子制御に顕れる
マッピングのプリセットリストを眺めるのが好きだ。モトクロスをどう捉えているかが、透けて見えるからだ。トライアンフのリストは、その中でもかなり独特のものだったが、たしかに合理的だったかもしれない。1軸で弱〜強という類いのものではないのが面白いところだ。
まずは「RC」と名付けられたリッキー・カーマイケル監修のモードである。あのマルチタイムチャンピオンが作ったマップは、そりゃハイパワーなんだろうと思いきや、低中速をかなりダルに長く使えるように作り込んであった。僕からすればとても扱いやすいモードに思えた。とはいえ、ダル過ぎないようにレスポンスを作り込んであって、当然中回転以上は回せないんだけど走りやすい。思い返してみればカーマイケルは、ライバルのジェームス・スチュワートが持つ瞬発力に対してクレバーなレース運びで対抗していたし、4スト時代を迎えてさらにカーマイケルの晩年はスムーズな乗り方をしていたように思う。
「ローム」と名付けられたモードは、ドライとウェットの2種類にさらに分けられる。関東ローム層のロームと同じではあるものの、アメリカでは柔らかめの土質のことで、現代のモトクロスシーンで最も歓迎されるいわゆる「掘り起こされた」路面のことだ。関東ローム層をイメージすると混乱するかも知れない。掘り起こされた路面でドライの時どうなるのか、ウェットの時どうなるのかをちゃんと考えてマッピングされているという。当日、スタッフに「もし、もっと走りやすいモードがあるなら、それにして欲しい」とお願いするとロームのウェットをおすすめされた。思い切り路面を掻きむしらなければならないため、ある程度のレスポンスが残っていて、たしかに走りやすい。マディはとにかく穏やかに……というステレオタイプな考え方はしていないのだきっと。
「ハードパック」も、ドライとウェットの2種類に分けられる。これが最もセンシティブな路面に対応するモードとのこと。成田モトクロスパークのようなつるつるな路面にどこまで対応できるのか、みものである。トラクションコントロールは効かせ方を細かく設定できるのだが、前述した通りトラクションがとてもいいのであまり積極的に試すことができなかった。
この5つのマップの他に6つ、あわせて11ものマップがGET製ECUに仕込まれており、すべてスマートフォンのアプリで切り替えが可能だし、それを元に燃調・点火タイミングを細かく補正が可能だ。もちろん、回転数や稼動時間など様々な情報をリアルタイムで確認できる。
エッジの効いたシャープな車体
実際のところTF450-RCの車体は、450らしからぬ軽さでシャープだった。先行するTF250-Xは北米の評価でホンダに次ぐ軽さで特に空中制御がしやすいと言われていたから、自分の感覚もその意見に寄ってしまったのかもしれないが、少なくとも重さをあまり感じないと思った。もちろんこの日はマディだったため、その車体の軽さを感じる瞬間はとても少なかったのだが(マシンに大量の泥が付着したまま転倒すると、400ccクラスの4気筒ロードバイクかと思うほど引き起こしが重くて、絶対に転けたくないと思った。その後3回くらい転けた)、走れているうちはとても軽い。ハンドリングも走れているうちはとても素直で、ラインに入っていきやすいなと思った。くどくて申し訳ないが、路面は経験したことのない重馬場で凄まじく難しかったのだが、みんなが走らない比較的轍の少ない路面をめがけてハンドルとボディアクションで向きを変えていくのは、そう難しいことではなかったのだ。
また、これは先述したエンジンの扱いやすさにも起因するところかもしれない。特にライダーが450マシンに重さを感じるのは慣性マスの部分だと言われていて、シリンダーの縦の動きと、回転するクランクの動きにより重さを感じるのだが、バランサーが他社に比べて効きが強いのかとにかく動いている分には取り回しが軽いのである。ひどいマディの中でもしっかりリアタイヤを滑らせて向きを変えて行きやすかった。
モーターサイクルに対して極めて真摯なメーカー
資本主義社会で企業活動をしている以上、資本家の権力は絶対だ。2022年にレース活動から撤退したスズキのリリースには「スズキは、サステナビリティの実現に向け、経営資源の再配分に取り組まねばならない中で、この度のMotoGPとEWCの参戦終了という決断をいたしました(後略)」というスズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木俊宏氏の言葉が刻まれている。企業が大きくなるほどに様々な資本が入ることで、身動きは取りづらくなっていく。特に現代の自動車・オートバイ業界はM&Aが進んでしまい、他国の資本で経営されていることも多く、問題はさらに複雑だ。
トライアンフという企業は1980年代に一度破綻しているものの、実業家ジョン・ブロアの手で再建され、今ではブロアホールディングスの傘下にあり株式非公開だ。他社の意見が入りづらく、純血を保ちやすい体制だと言える。モーターサイクルをとことん突き詰めて開発していくことができる環境とも言えるかもしれない。たとえば近年、アジア向けに400cc以下の比較的廉価なモーターサイクルを各社で開発しているが、トライアンフが発表した72万9000円のスピード400は廉価な価格帯とは思えないほどの上質なものだった。スクランブラー1200に至っては本気でオフロードを走れるという、本質的なスクランブラーとして唯一無二の車輌である。当編集部でもTIGER1200を購入してツーリングバイクとして運用しているが、やはりそれはそのトライアンフのバイクへの真摯な姿勢を感じ取ったからに他ならない。個性で魅力を出すというよりは、堅実でしかも長年乗ってきたベテランにこそ評価されるようなバイクである。
今、オフロードバイクのシーンは揺れ動く時代に突入した。コロナ期に世界的なバブル市場となったことが影響して、メーカーによっては大きな在庫を抱えていたりもするし、EVの進化が市場に受け入れられていて、正にも負にも動いている印象だ。儲かるか? といわれたら少し不安に思う方が多いだろう。そんなセグメントに真っ向から取り組み、しっかり結果を残せる上質なバイクを着実に作っていくのがトライアンフなのではないかと信じたい。