こんにちは、林道ママこと松下時子です。電動オフロードバイク「CAOFEN F80 STREETロングレンジ」とオグショートランポで遊ぶ林道ツーリング『ミライ・リンドウ』、第11回目は三重県です。尾鷲湾北部に位置する紀北町と須賀利町に跨る海に囲まれた半島。ここに存在するであろう林道を確かめに行ってきました!
尾鷲湾北部の半島に存在する秘境で
昔ながらの漁村風景が残る林道を走って来ました!
三重県紀北町といえば、世界遺産のツヅラト峠や馬越峠などがある熊野古道が人気です。私も世界遺産になる寸前に、当時福岡市に住んでいましたが『熊野古道を歩く』という本を参考にツーリングに出かけたひとりです。
そう、今年2024年7月。熊野古道が世界遺産に登録されて20年なんです! そんなお祝いの年ですし、今回ご紹介する林道の位置から馬越峠(道の駅海山の近く)は、尾鷲湾越しの天狗倉山にあります。旅情たっぷりに、美しい熊野古道の石畳を歩いてみてはいかがでしょうか。ただ、足元に十分注意してくださいね。ちなみに、三重県地域連携交通部のウェブサイト(www.kodo.pref.mie.lg.jp)で「世界遺産熊野古道伊勢路」マップやパンフレットをダウンロードできますよ。
今回のスタート地点、釣場で有名な島勝漁港の近くにある「中熊小公園」に辿り着くと、海面の太陽が夕焼けとはまた違う壮大なオレンジシルバーで、少しずつだけどカオフェンがいる浅瀬へと移動していました。
この公園からは、(丁度カオフェンがいる位置から)島勝の海食洞門「天満洞」を最もきれいに見ることができる! はずだったのですが……。
あっ、見えました! ちっちゃ(笑) 最奥の岩壁にちょこんと貫通して見えます。あれが熊野灘の荒波によって造られた芸術作品ですね。スマホカメラで拡大すると……画像荒目だけどキャッチできました!
公園の看板によると、春分と秋分の日の前後3~4日間は、この洞門の奥から朝日が昇るそうです。そうゆうことなのでネット検索をすると、オレンジに輝く天満洞の写真がいっぱい! しかも、間口は直径約20m、奥行き約30mもあるトンネル状でした。カヌーやSUPで行ってみたいです!
耳をすますと聞こえるのは波の音だけ、静寂な朝の息づかいが新鮮です。改めましてこの半島、1982年に県道202号が開通するまで、須賀利町へ到達する道路はありませんでした。と、さらりと書きましたが、開通するまでは陸続きなのに巡航船が交通網だったのです。こうして陸路で林道を確かめに来ることが出来て嬉しいです。
では太陽に見守られ、素晴らしい青空のもと出発しまーす!
林道のスタート地点となる、迫る山々と入り組んだ深い海を抱える矢口浦にやってきました。今回の出発地点と同じく波音も風も穏やかな入江です。
浅瀬には沢山の支柱が打ち込まれています。これ、あおさという海苔を養殖しているんです。ツーリング前の現地リサーチによると、三重県のさまざまな場所であおさの生産が盛んらしく、生産量は全国1位ですって。
あおさに含まれるマグネシウムは血管老化防止に役立つそうで、最近では健康面からも注目されていますが、あおさの味噌汁って美味しいですよね。口に入れたときに広がる磯の香り! たまりません。
漁村の狭い道を進むと約8㎞のダートが始まります。目の前にはワクワクする、踏みしめられた砂利道が伸びています。そしてあおさの次は真鯛の養殖場も見えてきました。
半島のつけ根方面には、島漁業を継承する漁船が浮かんでいて、緩やかな山並みとリアス式海岸が見えます。美しい自然でのんびりとした朗らかな眺めです。
あちこち目を配っていると、本気ジブリな〝ザ・漁船“が停泊していました。そういえば高校生の時、船底塗装のアルバイトをしていたことを思い出しました。刷毛に付ける塗料の加減が微妙で、Tシャツにポタッって塗料が付いちゃったりして。でもコツが分かってくると、すごく楽しかったんです。その時、船底塗装をすることで船の耐久性を維持できることを教わりました。バイクもですがメンテナンスは重要ですね!
絡み合った木々の生命力の凄さに拍手。そろそろ引本港の海岸から山へ!
と、思いきや。また、海ですよ! 今にも羽ばたきそうな枝の一本松がチャーミングです。
ダートから約2.5㎞。海岸沿いから離れると、今度こそ標高を増して行きました。
そしてあっという間に瑞々しいシダ類の道! 日本でも有数な多雨地帯の紀北町に来た感でいっぱいです。交通量の少なさを感じる、ちょっぴりガレぎみの区間も楽しめるかと思います。
最高高度は164m。尾鷲湾越しに世界遺産の馬越峠がある天狗倉山方面が見えます。
さらに少し走ると、木々の間からシルバーな水平線……なんてステキな眺めでしょう! 海の上に見えるのは尾南曽鼻?かな。
とうとう舗装路に(正確にはこの先に少しのダート区間がありました)。ここから須賀利港に向かいますが、約1.4㎞でT字路に突き当たるので左折してください。
須賀利港灯台に来ました。灯台の標によると、初点は昭和47年、光度は26カンデラ。長い間港を照らしてくれて、おつかれさまです。海上保安庁のウェブサイトによると、ろうそくにはいろいろな大きさのものがありますが、ろうそく1本の大きさが1カンデラだそうです。だったら、思った通り優しく輝く灯りのようです。
灯台を後に、200m程で須賀利町の集落に来ました。堤防や路地から町を見渡すと、瓦屋根の民家が海沿いから山の傾斜地に密集して立ち並び、路地や細い階段、昔ながらの漁村の風景が残されていて……そーゆうのがセンセーショナルでした。
この林道は、すぐそばに美しい海を感じ、林間の潤った緑も含めて、旅を楽しむような長閑に光輝く林道でした! どうかのんびり、そぞろ歩くようにお楽しみください!
そしてこの林道が末永く景観にマッチした、自然のままのダートであることを願います。