ステージ9でいよいよHeroのロス・ブランチを突き放したTeam HRCリッキー・ブラベック。さらにその差を拡大すべく、チームメイトと協調作戦に出る
PERFECT DAYS
全12ステージのダカールラリーは終盤戦へ入っており、このステージ10はスタート地点のアルーラ付近をループするルートでリエゾン241km、スペシャルステージ371km。
ダカールラリーで勝利を得るポイントがあるとしたら、毎ステージのロスを少なくし勝てる時にはしっかり差をつけて勝つことだろう。当たり前のように聞こえるが、ダカールでこれを実践するのは難しい。それは、ステージごとのスタート順が前日のリザルト順になるためで、スタート順が早いほどルートファインディングでタイムをロスしてしまう傾向があるからだ。結果的に、どんなに順調にレース運びをしていても、順位は一日おきに上がったり下がったりせざるを得なくなる。しかし、1位−5位−1位−5位というような形で、スタート順が早い日にそこまで順位を落とさず走ることができれば、限りなく勝利に近づくことができる。この、「振れ幅」が少なければ少ないほどロスが少なく、12ステージもの長い日程で好成績を積み重ねていけることになるが、理想論だ。
その理想論にとても近い動きでライバル達の戦意を奪っているのがブラベックである。ステージ順に順位をならべると、2-5-2-2-7-3-5-7-2-1とステージ優勝こそこのステージ10しかないが、早いスタート順であっても次のステージで大きく順位を落とすことが少ないのである。特にこの終盤にきて、ステージ9で2位を取っておきながらステージ10では先頭のチームメイト、エイドリアン・ファンビバレンと協調して道を切り拓き、結果的にボーナスタイムを得てステージ優勝までしている。最終ステージはわずかな距離なので、実質的にステージ11でこのアドバンテージを守り抜けば、勝利はほぼ確実なものになる。序盤ほど好タイムを出せなくなった2番手ブランチにはほぼ10分のリードを築き、ステージ優勝回数は多いもののムラのあるホセ・コルネホやビバレンを見事に突き放している。
ステージ順位
総合順位
池町佳生も完走間近
ベテランのダカールライダーである池町佳生は、このステージ11で60位、総合で61位をキープ。
「今日は早めにフィニッシュできたし、ダカール的にはボーナスデイという感じかな。とにかくホコリがすごくて前が見えなくて、苦労したよ。前半はだいぶスピード域が高くて、一気に距離が稼げるかと思っていたけど、後半になるとやっぱり厄介な岩でガレたルート、しんどいものだったね。
あと2日しかないから、残念と言えば残念かも知れない。でも十分に走ったし、これ以上はもういいかなと思える。身体は辛いし、だいぶ弱っているけど、あと2日はしっかり体力が持つように走ってますよ」とのこと。
明日はまたロングステージでスペシャルステージ480km。レースのディレクターであるデビッド・カステラ曰くステージ11がもっとも難しいコースになるだろうとのこと。