こんにちは、林道ママこと松下時子です。電動オフロードバイク「CAOFEN F80 STREETロングレンジ」とオグショートランポで遊ぶ林道ツーリング『ミライ・リンドウ』、第7回目は、伊豆の韮山から中伊豆を巡り、河津桜に華やぐひと足早い春を楽しみました!
Photo / SUNA
待ち焦がれていた春に包まれて
歴史ある旅情を胸に林道をつなぎ、天城峠を目指す
潮騒が聞こえる海岸線や、山々が織りなす風光明媚な伊豆。今回は河津桜の開花を待って、静岡の林道を庭とする友人のGENさんにアテンドしていただきました!
旅の1本目は「林道中線」です。韮山反射炉の駐車場入口から約2.5㎞で到着します。この林道は、さらさらと揺れる竹林からはじまります。電動バイクの静かな走りは自然にとけ込んで、笹鳴りに癒されながら奥へと入っていきました。
「林道中線」は、次第に杉を中心とした雑木林へと飽きることなく風景を変えていきます。途中で本線から離れて、分岐する「林道小杉原線」に進みます。そしてさらに分岐する、枯れ葉に覆われた道を上がって行きました。
大きな枝や木が転がっているすり鉢状の道を、フロントタイヤが枯れ葉のカサカサという音を立てながら、どんどん奥へと進んで行きます。エンジン音のない世界は、まるで自然の中を散歩してるようで新鮮でした。やがて道は舗装路になり、3本目の「年川林道」に向かいます。この林道の目印は、伊豆キャンプ場モビリティーパーク。絵日記に描いた19号線から入る分岐には、モビリティーパークの大きな案内板があります。この分岐から1.8㎞進んだところでダートに入ります。
この林道は、スタートからゴールまでを年川と並行して蛇行しつつ、高度160mほどを徐々に下って行きます。大きな橋がある辺りまでは、風光る春らしい景色の中を走りました。石ころを弾きながら走っていた道は土道になり、杉林に入るとやがて終点を迎えます。
伊豆市は、世界農業遺産としても注目されているわさび棚田の畳石式栽培発祥の地です。そうそう、以前来た際に林道を抜けた所で、収穫したてのわさびを抱えたおじいさんに声をかけられて、わさびをいただいたことがあります。丹精込めて栽培されたわさびは、ツンとくる辛みと風味で、清流がもたらす恵みをありがたくいただきました。
「年川林道」を抜けると、国道414号を南下し、小説や歌謡曲の舞台にもなっている天城峠を目指します。かつて、下田街道の最大の難所であった天城峠を整えるために、近隣住民1000人以上が駆り出され、大勢の人の手によって天城トンネルは開通しました。そういう時代に出来た道を、ありがたく走りに向かいます!
「旧国道414号」にやって来ました。位置的には伊豆半島の真ん中で、北東方面には天城連山がそびえています。走り出しは殺風景な雑木林だけど、すぐに天城の原生林がいきづく景観へと変わります。楽しくてキョロキョロしながら走っちゃいました。
これまでに数回バイクで旧天城トンネルを走ったことがあります。でもカオフェンとは、初めて。真っ暗な石のアーチに囲まれて、モーター音と、ひんやりとした空気の奥から、古の旅人の声が聞こえてきそうでした。
旧道のダートは約6㎞。フラットなので走り応えはありませんが、人の心を掴む要素はたっぷりあります。
旧道を抜け、トランポに戻る途中で河津桜を沢山見ました。空に舞い上がる無数の花びらは、夢幻の美しさでした。私にとって伊豆は、年間を通して爽やかな林道を楽しめる大好きなエリアです。伊豆近海の海の幸や、良質の温泉と共に林道ツーリングを楽しんでみてはいかがでしょうか!