勝負の悔しさが糧になる、65ccクラス
今大会では、ファースト65/スーパー65/85・150クラスがフルコースを使用しました。50ccマシンからステップアップしたライダーが多く参加するファースト65。クラッチ操作やマシンの扱いに慣れないライダーもいる中、ヒート1は渡辺翔太選手(#19)がスタートからトップに躍り出ました。ジャンプやコーナー、各セクションをスムーズにこなすライディングで他のライダーたちと差を広げ、トップを譲ることなく見事優勝。クラス内トップのラップタイムも記録し、その速さを見せつけました。
また、ヒート1では3番手争いも激しく展開。1周目で4番手につけた瀧本瑛介選手(#91)は、3番手を走る伊藤子龍選手(#518)と2秒差ほどの間隔を開けて走行。ライダーが疲労を感じてくるレース中盤、瀧本選手は一気にスパートをかけて伊藤選手をパス。結果は3位入賞。レース後半での体力を見せた瀧本選手に、今後も期待が高まります。
ヒート2は釜野央渡選手(#89)がホールショットを決めると、そのままトップを快走。ヒート1では渡辺選手に差を広げられ2位となりましたが、その悔しさを晴らすかのような走りを見せます。後方からは渡辺選手が追い上げるも、釜野選手には届かず。ヒート1を2位、ヒート2を1位で終えた釜野選手が総合優勝を飾りました。
各所でバトルがあって見応えのあるレースでした。全員から「勝ちたい」という負けん気が伝わってきてとてもよかったです。優勝した釜野選手は転倒せず、走りに安定感がありました。クラス全体を通して、加速すべきところで加速できていなかったり、ジャンプがぎこちなかったり、まだまだ成長していける点が多く見えたので、次戦に繋げていってくれたらと思います。
65ccの上位クラスとなるスーパー65は、3ヒート制で行われました。同クラスには2022年スーパー50クラスチャンピオンの大久保英飛選手(#8)や、ファースト65チャンピオン小磯銀士選手(#10)、同じくファースト65で小磯選手とチャンピオン争いを展開した巽太壱選手(#60)など、昨年のトップライダーがステップアップ。
ヒート1は、巽選手が好スタートを決め1周目をトップで通過。大久保選手、小磯選手と続き、各ライダー3秒ほど差が開いた状態でレースが進んでいきます。レース中盤、大久保選手が徐々に巽選手に近づき、接近戦へ。しかし巽選手も走行するラインに変化をつけながら必死にトップを守ります。結果、巽選手が逃げ切りゴール。大久保選手のプレッシャーに負けず、走り切った巽選手の強さが現れていました。
続くヒート2とヒート3を制したのは大久保選手。両ヒートともに1周目からトップを走行。昨年スーパー50クラスで見せたスムーズなアクセルワークや乗りこなしが65ccでも生かされ、後方から迫るライダーと差を広げていきます。2ヒートとも最後は後方との差を広げた状態で、余裕を持ってチェッカーを受けました。なお、ヒート3では巽選手と小磯選手は3コーナーでミスをし、トップ争いから離脱。次は誰が前に出てくるのか、次戦も見逃せません。
優勝した大久保選手は、ヒート1で巽選手に負けた悔しさが走りから伝わってきました。負けたくないという思いを走りに表わすことができるのはとても良いです。特に、コーナーでタイヤを滑らせながらアクセルを開けている姿があって、開けっぷりの良さとレベルの高さを感じました。コーナーでも高回域を保つクラッチ操作が上手で、テクニックに差が見られましたね。