ワイヤーマウンテンの死闘
鈴木健二が今回、新型のYZ125を持ち出してきたことはライバル達を驚かせた。セルを後付けしたYZ250Xの方が、明らかに戦闘力は高いと思っていたからだ。しかしこのワイヤーマウンテンの鈴木の走りは、その考えを完全に覆してくれるものだった。
![画像1: ワイヤーマウンテンの死闘](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2021/11/16/a45e8a224258ec4c44e024b2018d655b4bd622cd_xlarge.jpg)
ワイヤーマウンテンはものすごい斜度のロングヒルクライムだ。最初は少し開けているが、中盤以降は木が生い茂り、ラインの選択が難しい。しかも、新設セクションでスタッフの試走でしか走られていないので、ラインはほとんどついていない。
頂上から見ていた観客の目に現れた順番は、鈴木、山本、水上、高橋、ZERO、といったところ。
![画像2: ワイヤーマウンテンの死闘](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2021/11/16/58178959c8a6add61f0917f1a33b2b88fdface9e_xlarge.jpg)
鈴木をして、こんなことになる。これが難易度☆4ワイヤーマウンテンだ。しかしそれでも鈴木は一歩リードしており、一番上までコマを進めていた。
![画像3: ワイヤーマウンテンの死闘](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2021/11/16/4c6a193c75f5d734467dc0fcc832b6c102fdc477_xlarge.jpg)
高橋、水上、ZERO、山本、かすかに大塚の姿も見えるだろうか。
![画像4: ワイヤーマウンテンの死闘](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2021/11/16/0e0b1baee13aaa314bc8327dfc8c5594595b4973_xlarge.jpg)
鈴木がコーステープギリギリで見せたアクセルターン。
![画像5: ワイヤーマウンテンの死闘](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2021/11/16/806c495f009060db193b840a17b22536a3384d6a_xlarge.jpg)
しかしなんと、ここで一歩抜き出たのは大塚だった。後方から一気にスタックしている集団に追いつくと、そこからほぼ直登ラインを見定め、2回目のアタック。ほとんどイゴらず(イゴる:主にヒルクライムやガレなどの難所で、バイクを押したり持ち上げたりしながら少しづつしか進む様子)にトップでこのワイヤーマウンテンを抜けていった。
この「イゴる」という言葉。ハードエンデューロレースの現場では知らない人がいないほど使われているのだが、読者の皆様の中には聞き慣れない方もいるかもしれない。いつもはなるべく避けて文章を書くように努めているのだが、今回ばかりはこの言葉を使った方が、よりリアルに記事を楽しんでいただけると、思い、解禁させていただいた。
この「イゴり」をする上で、ものすごく重要なのが、バイクの軽さと、セルボタンなのだが、鈴木のYZ125はこの「軽さ」という点で、とてつもなく優秀だったのだ。
![画像6: ワイヤーマウンテンの死闘](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2021/11/16/85170bff6bfd9bd9f6c7bdec62149c5e3e64f072_xlarge.jpg)
大塚、鈴木が抜けていったあと、ワイヤーマウンテンで「イゴる」山本、高橋、水上、佐々木、メイドちゃん。ここから、山本、高橋は比較的早期にクリアし、前の2台を追っていった。