アメリカ市場を席巻する、絶大なブランド力「ハスクバーナ」
次にハスクバーナについて触れていこう。ハスクバーナはロイヤルエンフィールド、トライアンフ、ハーレーダビッドソンらと並ぶ世界最古のバイクメーカーの一つ。そのモーターサイクル史は1903年まで遡る。かのスティーブ・マックイーンが愛したブランドということもあって、北米の信仰ぶりは凄まじいもの。ハスクバーナがラグジュアリーな路線を担うのは、そういった歴史を踏まえたものだ。
とはいうものの、KTMとハスクバーナどちらを選ぶか、というのは、日本のエンデューロライダーにとっては答えの出ないテーマのようなもので、各地で議論が交わされてきた。大きな違いとしてピックアップされるのは、リンクの有無だ。リンクレス機構を採用するKTMに対し、ハスクバーナは世界の他のメーカーと同じようにリンク機構を備えている。
「リンクレスのデメリットが解消されてきたとはいえ、やはり両者の特性には大きな違いがあります。それが顕著に分かるのが、JNCCなどでよくある荒れた長い下り坂ですね。こういうシチュエーションではリンク式の方が圧倒的に疲れません。ギャップの吸収性がよく、優しく包み込んでくれる感じです。また、ハスクバーナとKTMの違いで言えば、サブフレームですね。KTMはアルミですが、ハスクバーナはカーボンを採用していて、その形状も3ピース構造になっています。カーボンって、アルミよりも柔らかそうな印象がありますが、実はかなり硬いんです。構造のせいもあって、ハスクバーナのサブフレームはものすごく剛性が高いんですよ。だからハイスピードでコーナーを立ち上がっていくようなJNCCのトップライダーは、メリットを感じるかもしれませんね」
ハスクバーナはKTMよりも、前述したカーボン製サブフレームなど高価なコンポーネントで仕立てられており、価格も高い。いわばKTMファミリーの中ではプレミアラインなのだ。
「高級路線のイメージのためなのか、メーカーのバックボーンや世界観からか、ハスクバーナはガチガチにレースに出るだけじゃなく、街乗りに使ったり、ラリーや林道ツーリングに使ったりしてもオシャレに決まりますよね。ディーラーも福岡のスピードモーターガレージさんや埼玉の原サイクルさんなど、幅広い遊び方を提案しているところが多いイメージです」と水上。