モトクロス大国であるアメリカ、そして世界グランプリを持つ欧州において、活躍できる日本人がいなくなって久しい年が続いた。興行的に最高峰のAMAスーパークロスでは、成田亮の3位表彰台を最後としていたが、2020年を境に時代は変わろうとしている。現18歳、AMAのプロクラスで活動する、下田丈の台頭だ。甘いマスクに、すらっとした長身、世界を狙えるポジションで戦う下田の2021年現在をまとめてみよう。
ポイント6「進化中の片足スタート」
2020年の課題であった、スタートは2021年の開幕で解消されたように見える。下田本人も、オフシーズンに入念な準備をしてきたという自負がある。
モトクロスのスタートは、正確にまっすぐバイクをたてなくては左右に振れてしまうから、両足を足台あるいは地面に置くのがスタンダードな手法である。だが下田が今トライしているのは、左足をステップにのせておいて、右足を地面につけておく方法。
「アメリカでは、片足スタートをする人は少ないです。左足をフットレストに乗せて、右足を地面につけておくことでシフトチェンジがしやすいのと、フットレストを後ろにプッシュしながらスタートできるのが利点です。僕にとっては、かなり調子がいいですね。クラッチのスムーズな操作も徹底的に一人で練習しました。
あと、1週間前にマカドゥとハンメーカーと練習したんですが、その時ビデオにとってもらって気付いたことがあるんです。スタートでて、マシンをまっすぐに立てられてて、それでもマシンがあまり前にでてなかったんですが、僕はゲートを越えたあとにアクセルがちゃんとあいてなかったんですよ。半分くらいしか開いてなかった。ロガーとかでは気付かなかった部分でした。最後の週はスタート練習ばっかりして、これを治すことで、またよくなりましたね。クラッチに集中しすぎてたんですね、今まで。
マシン的には、パワーがあるKXであることやウイリーしないこともメリットなんですが、スタート時に使うトラコンがあって、これもいい結果を出してくれました」とのこと。