PHOTO/折口祐介
スペシャライズドは、同じ車名ながらグレードを分けています。何が違うかというと、材質やコンポーネント。最上位のS-WORKS仕様から数えてセカンドに位置するのが、このエキスパートカーボンです。カーボンは、上級MTBの素材として一般的なもの。剛性が高く、軽さもある。特にサスペンションが長い車両とは相性ヨシです。
こちらLevo SL EXPERT CARBONをインプレッションしてもらったのは、MTBプロライダー・JNCC-AAライダーの内嶋亮。E-MTB黎明期から、その楽しさに目をつけていた内嶋の目に、どう映ったのでしょうか。
フレームに秘められた秘密
日本に展開されていない旧バージョンのLevoは、他のE-MTBとちがってバッテリーがぴょこんとフレームから飛び出しておらず、MTBファンの心をわしづかみにしました。フレームから脱着式だったんですが、この新Levo slからはバッテリーが内蔵式に。さらにめだたないようになったという次第です。
細身のフレームワークが功を奏し、外から見るとバッテリーを搭載していない様にも見えますが、ダウンチューブの中に隠されています。交換式にせず内蔵式とした潔さ、後に書いていますが「MTBとしての軽さ、MTBとしての性能を追求し、アシストを必要十分なものにとどめた」コンセプトが、見て取れるものです。長い距離を走りたい人には、エクステンドバッテリーも販売されていますよ。
「コレ本当にバッテリーとモーター付いてるの?」ってレベルの軽さ
「バイクだって軽さを求めますよね? バッテリーやモーターを積んでる分重くなってしまうため、少しでも軽いマシンに乗りたいんです。車重の重さについてはバイクも自転車も考える事は同じなんですよ」と内嶋。
「下りでは車体の軽さがダウンヒルの楽しさに繋がります。車体が軽い事で加速も上がりますし、ブレーキ時もすぐに止まれます、ラインの変更もしやすくなります。なかでもこのLEVO SLの軽さは突出的で、一般的なE-MTBを4st450ccとすると、これは2st125ccです。それくらい軽さが特徴的なんです」
増殖するE-MTBを乗り比べる中で内嶋さんが感じた事は、登りは楽になるけど、下りの楽しさがスポイルされてしまうこと。そもそもE-MTBが普及し始めたときの考え方は、登りを楽にするためにモーターをつけたのでした。テクニカルな登りを体力とコギで楽しむクロスカントリーとも、少しE-MTBは相性がよくなかったかもしれません。だって、登りを楽しんでいたんだから。ともかく当初のE-MTBは、細分化されたMTBの遊び方セグメントの中で、どこに当てはめたらいいのかわからないことが多かったのです。車体もかなり重く、下りに関しては圧倒的にMTBのほうが走りやすかった。だけど登りは楽になったでしょ? というのが当時の考え。