こちらは、ウイリーコントロールを解除した時。路面が滑りやすく、そもそもウイリーが難しい(急な立ち上がりをしてしまう)場所でテストしていたのだが、解除すると「それまでウイリーコントロールが効いていたのがよくわかります。ウイリーコントロールをセットしてウイリーしても、わかりやすくコントロールされている感じはあまりしないのですが、しっかり助けられているのがわかりますね」と和泉は言う。
これは、もしかするとウイリーをしてみたい人にとっての福音なのではないか、とも思えた。瀬尾氏によれば「どんなにフロントをカチあげようと思っても、捲れることはありません」と言う。アクセルを開けたまま、ぱっとクラッチをつないで急激に上げても捲れない、と言うのだ。だが、巨体のウイリーになれている和泉は「そもそも230kgもある車体のフロントをあげるのは、至難の業ですよ。1100ccもあるから、クラッチをぱっとはなしたときのトルクはものすごいし、タイヤもグリップさせづらい。230kgもある車体が慣性をもって急加速する時に、耐えられる人はなかなかいません。
ちょっと話は変わりますが、スポーツランドSUGOでスポーツ走行すると、あるのぼりで1000ccクラスなら誰でもフロントが浮いてきちゃうようなところがあります。ロードの場合は、わりと一般のスポーツ走行でありがちなことなのです。だから、ロードでスポーツする人からすると、開けっぱなしでも安定して加速し続けてくれるウイリーコントロールは、とても役立つ機能です。
そこをいくと、CRF1100Lアフリカツインのウイリーコントロールも、確かにコースに持ち込んだり、ちょっとした木の根を越えたりするようなアグレッシブなライダーにとっては、かなり有効な機能になっていると思います」とのこと。理論的には誰でもウイリーできると言えるが、実用上かなりの上級者向けのサポート機能だと言った方がいいだろう。
モトクロッサーのスタートデバイスが、まさに同じようなものかもしれない。現代のスタートデバイスは、スロットルを全開に固定して、クラッチをぱちっと離せば、捲れること無くバイクが前にすっ飛んでいく。だが、いかに「捲れませんよ」と言われてもこれを試せるのは上級者だけ。