2019年、25周年のヤバサ
5年前の20周年…その頃、ガミータイヤ(ハードエンデューロ用にリリースされた、当時のイノベーションと言うべきタイヤ。それまでのエンデューロ用タイヤとは、まったく次元を異にするグリップ力を発揮する)が急激にマーケットを形成しはじめていて、ライダーもガミータイヤに対するスキルを学んでいった。そこで、エルズベルグ側も急速にその難しさを上げていく必要があった。ある意味、ライダーと主催者がスキルと設定で競い合っていた時期である。
2014年は、まったくもってライダー側の勝利だった。31名ものフィニッシャーを輩出。事前情報では、20周年なりの難しさを込めたと言われていたのにも関わらず。この事態に対して主催は翌年2015年にさらなる難セクションを追加。ところが、これが難しすぎて、トップ4名がヘルプしあわないと前進できないものだった。結果、この4名は抗議の意志をこめて同時フィニッシュしている。
さて。今年の25周年はどうだろうか。
Erzbergrodeo XX5: Tougher than ever!
Länger, härter und mehr Besucherzonen als jemals zuvor: zum 25sten Erzbergrodeo-Jubiläum servieren die Veranstalter die längste und spektakulärste Red Bull Hare Scramble Strecke aller Zeiten.
www.motorradreporter.comより
エルズベルグロデオ公式のメディアで語られているのは「Tougher than ever」。実に43kmの全長で、例年よりも長く、難しく設定されているとのこと。昨年は、23名の完走者が出てしまったため、いわば再び「揺り返し」の年だ。
石戸谷は2018年、予選であるプロローグを223位でフィニッシュ。繰り上げで4列目スタートであった。2019年はスタート順がとても大事なエルズベルグロデオで結果を残せるよう、石戸谷はこの予選にフォーカス。「遠いが、2列目を目指したい」と言う。
中腹の高速コーナーで撮影に臨んだ取材陣からみても、石戸谷の走りは昨年よりも鋭くなっていて、スピードも乗っていた。昨年だと面倒をみてもらっているBOSIレーシングのミケーレ・ボシに、石戸谷に「慣れていないから、きみならギヤ比のセッティングはスタンダードに近いほうがいい」と言われ、13-50Tで走っている。だが、今年は14-48Tとロングに設定。ミケーレと同じ仕様にした。
事前のトレーニングで講師にあたってくれたのは、地元のオッシー・レシンガー。このアイアンロードでトップを走れるスペシャルなライダーである。「オッシーから学んだのは、大きくラインをとること。それにコーナリングの時間を少なくすることです」と石戸谷は言う。「コースは、事前にならしていたみたいで、まったく荒れていませんでした。走り方もだいぶわかっているし、去年とはくらべものにならないレベルで攻めることができた」と。
2日ある予選だったが、石戸谷は最終的に昨年と同じ4列目に落ち着いた。石戸谷は、昨年より進歩したことを確認できた予選だった、と語る。