キャンピングカー界隈では、ハイエースやキャラバンなどの国産バンから、より大きなスペースを自由に使えるフィアットのデュカトに乗り換え需要が進んでいるそう。トランポとしてはどうなんでしょう? 実際にデュカトを使っている有名バイクショップを訪ねました

バイクショップ、ホンダドリーム八尾の場合

最近ではトヨタ・ハイエースや日産・キャラバンをおしのけて、キャンピングカーベースとしての需要が高まっているフィアットのデュカト。大阪府にあるバイクショップ、ホンダドリーム八尾さんがフィアット・デュカトをお店で使うトランポとして導入したという話を聞き、早速取材に行ってきました! ホンダドリーム八尾という店名よりは、オフロードバイク乗りの間では「ぱわあくらふと」が2021年にオープンした新店舗、としての方が知られているでしょうか。HRCプロショップとして古くからトライアルに貢献してきたぱわあくらふとは地元大阪にトライアル場「生駒テック」を持ち、数多くのイベントや競技を開催、TEAM ぱわあくらふととして全日本トライアル選手権への参戦も続けているお店です。また、オリジナルパーツブランドの「力造」もトライアル玄人勢からの評価が高く、トレールバイク向けのエキゾーストやスキッドプレートなどは、今も知る人ぞ知る銘品なのです。

ホンダドリーム八尾、ぱわあくらふとは、レディストライアルライダーの小玉絵里加 (@Erika_Kodama) さんの実家でもあります!

ホンダドリーム八尾代表の小玉氏は、過去何度も正月ツーリングで宗谷岬にバイクで向かうほどのバイク好きで、かつ車好き。常にトランポ・キャンピング業界の動向をチェックしている小玉氏が、これまで乗ってきたハイエースからフィアット・デュカトに乗り換えたのは必然だったのかもしれません。

「仲のいいトライアルライダーの藤原慎也くんが、トイファクトリーにお世話になりはじめてから、こんな車があるんだよって教えてくれたんですよ。昔、メルセデスのスプリンターに乗っていたこともあるので、欧州のバンの便利さはよく知っています。ヨーロッパでもデュカトはよく走っているし、次はこれかなって思ってトイファクトリーの本社に見に行ったんですが、ほぼ衝動買いみたいな感じで契約してしまいました。

FIAT DUCATO(L3H2)、全長5,995mm×全幅2,100mm×全高2,525mm シリーズ8:5,300,000円〜 シリーズ9:5,975,000円〜

まず、移動が楽ですよね。シート自体が広くて運転席に余裕があります。私らは全日本選手権で遠征することも多いので、できるだけ高速道路を快適に移動したいんですよ。この車を手に入れてから、そこまで何度も遠征はしていないんですが、かなり疲れ方が違うなと感じています。特に、セカンドシートはオプションなのですが、これがハイエースのシートとはまるで違う。足も伸ばせるし、クッションは厚いし、一緒に行くスタッフも楽ちんそうです。直列4気筒 MultiJet3ディーゼルインタークーラー付ターボエンジンは2200ccで出力180psもあり、欧州のバンらしく160km/hくらいまでは余裕があるし、トルクが不足するようなことも無いんですよね。このデュカトは旧型の6速と違って9速ミッションだからというのもあるでしょう。今のところこの個体は故障も特にないので、満足してますよ」。

何より小玉さんは、見栄えがいいのもポイントだと言います。「お客さんのところにこれでバイクを納車に行くと、特別感あるでしょ? お客さんも100万円を超えるようなバイクを買うので、いい車で運ばれてくると嬉しいんだと思うんですよ」

オートクルーズも装備。速度域の高いアウトストラーダで育ったDUCATOは、高速移動もラクラク

オプションのセカンドシート。DUCATOそのままだと、仕切りもなく全部荷室になる。これはこれで魅力

こちらもオプション、電動のステップ。高級車です

コースターよりも積載性はいい

小玉さんのデュカトは、バイクショップのトランポとして活用されているため、できるだけ荷室を広く使えるようになっています。広いセカンドシートを入れても5,995mmあるL3H2タイプなら、バイクを縦に積んでもまだ余裕があるほど。4台積みでも楽勝だそうです(L2H2タイプは全長5,410mm)。

積み込み時の、頭の余裕をみてほしい!

「トライアルライダーは、ハイエースやキャラバン乗りがそこまで多くなくて、こういった欧州のバンも結構見かけるんですよね。一時期はコースターが流行ったのですが、みんな早々に手放していました。あれは外観はデカイのですが、湾曲したボディラインのせいか中がそこまで広くなくて、それならハイエースで十分かなと思うみたいです。デュカトは見た目通りほとんど四角形で、幅は最大2000mm、キャビンの高さも1970mmありますから、ほとんどの日本人は立った状態でいられると思いますよ」

小玉社長が立っても、余裕のある車内。これが欧州バンの素晴らしさですね

「私らは全日本に行くときは、バイクだけでなくテントやブースなどの設備もたくさん運びます。ハイエースクラスだと、ブース用テントを横にしておく場所が必要なせいでバイク1台分とられてしまうのですが、デュカトなら楽々立てたまま積めちゃうんですよね。だから、見た目より積載性がバツグンにいいんです」

なるほど、ここまでキャビンが広いと、つい2階建てにしてベッドを設置したいな……とか夢も広がってしまいますが、純粋にトランポとして見ても便利そうです。ハイエースのスーパーロングワイドボディよりも少し幅が広いですが、「今のところ全日本選手権のコースなら、たどり着けないところはありませんね」とのこと。大きさからくる運転の不便さもそこまでは感じないそうですよ!

bottでカスタマイズ

ぱわあくらふとのデュカトは、トイファクトリーが日本の総代理店を務めている「車載用キャビネットシステム」メーカーbottを活用しています。プロ用に様々なシステムを構築でき、質実剛健。工具箱やパーツ棚など実用的なものから、トランポ仕様御用達の床貼りなどもラインナップ。

荷室内はトラック同様に、どこからでもタイダウンを引っ張れる仕様に改造。bottというオプションシステムを活用している

床張りもbottシステムで

荷室前にちょっとしたスペースがあったり…こういう心配りが嬉しい

今回もバイクトランポとして活用できるパーツを導入したことで、便利に仕上がったとのことです。