史上初のオートバイによる北極点・南極点到達、チョモランマ(エベレスト)世界最高高度6005m達成、パリ・ダカールラリー二輪部門へ日本人として初めて挑戦、などなど……。これまで数々の挑戦を成し遂げてきた風間深志氏が、実は本人にとってこれが初めてという日本一周ツーリングに出発。連載Vol.9では、四国の最北端と最東端を目指します!

朝8時半、晴天のなか白浜の「甘露の湯のお宿 湯処むろべ」を出発。今日は岡山県倉敷市までの移動日だ。山陽道の一部区間が通行止めだったので、中国道でひたすら西へ。途中の赤松PAで休憩はしたものの、400㎞をほぼ走りっぱなしで15時半に倉敷着。いやいやよく走った。 

翌朝8時、連日の晴天に感謝しつつ倉敷のビジネスホテルを出発。本日はこの日本一周のなかでもとくに楽しみにしていた四国へ。
岡山県早島と香川県坂出市を結ぶ瀬戸大橋を走りながら、その雄大さに改めて驚かされる。よくぞこんな大きな構造物を作ったもんだ。まさに人類の英知の結晶である。

四国上陸後にまず向かうのは香川県にある四国最北端「竹居岬」。そして徳島県にある四国最東端「蒲生田岬(かもだみさき)」だ。じつは風間は未踏破だったのである。
いつもより余裕のある行程なので、どこか興味を引く場所はないかと「寄り道」モードで走る。早速、目に付いたのがうどん店。さっき朝食を腹いっぱい食べたばかりというのに「讃岐うどん」の引力にはとても抗えるものではない。すぐさまGSを滑り込ませた。

注文したのはオーソドックスな「かけ」。先日、伊勢で食べたうどんを「日本一」と激賞したばかりだが、コシが強く、表面がヌルっとした讃岐うどんの食感もやはり絶品だ。結局、打ち立てのうどんはどれも旨いという結論に至ったのだった。もっとも立ち寄ったのは全国展開のチェーン店だったんだけど(笑)。

満腹状態で香川県を抜けて徳島県へ入ると、国道55号線沿いに現れた釣具屋の看板に見覚えがあった。

「そうだ! ここは日本一の『テンカラ釣り師』片山悦二さんと来たことのあるお店だ」

テンカラというのは、イワナやヤマメといった渓流魚を「毛鉤(けばり)」を使って捕る釣法のこと。片山さんは88年・92年に「ダイワアユマスターズ」でチャンピオンになり、ダイワのフィールドテスターとして、テンカラ釣りの技法を確立させて市場を作ったスゴイ人なのだ。僕は思わず片山さんに連絡をとり、コーヒー屋さんで約10年振りの再会を果たし、昔話や片山さんがいま打ち込んでいる狩猟の話で盛り上がったのだった。

おまけに今度、片山さんが関わっている「3日で素人を"テンカラ名人"に仕立てる」教室を僕が主催して行う事になった。じつは僕もかなりのテンカラの凄腕なのである。

そんな出会いもありながら、無事に日本16極のうちの二つ「竹居岬」と「蒲生田岬」を攻略。岸壁で昼寝をしてからこの日の宿「ふれあいの宿・遊遊NASA」で名湯を満喫したのだった。この日の走行距離は約270㎞。

昼寝するのに丁度良い岸壁を見つけたので横になる。リフレッシュしてからこの日の宿へ。

東京にも店舗のある「はなまるうどん」だが、讃岐うどんの本場で食べるとその味は格別!

片山悦二さんはテンカラ釣りのマイスターであり、レベルラインテンカラを広めた草分け的存在なのだ。アユ釣りの名手でもある。

四国はどこをどう走っても素晴らしい風景ばかり。まるで日本の美しさが凝縮されたような地域だ。