過酷な48時間クロノステージも、2日目はトップ陣は残り112kmのスペシャルステージのみ。ステージ6が終わればレストデイに入るため、前半のラストスパートとなる

ブラベック、コルネホがブランチを囲い込む

ステージ6後半は、始まってすぐにHeroのホアン・バレダがメカニカルトラブルでリタイア。4名で挑んだHeroファクトリーチームは、トップ争いに独りロス・ブランチを残したまま、3名がマシンを引き上げている。

この状況でホンダ勢とKTM勢は追撃の手を緩めることなく、エンプティ・クォーターを果敢にアタック。ステージトップはペースが落ちたリッキー・ブラベックを補うかのごとく、エイドリアン・ファンビバレンが2番手トビー・プライスを3分以上引き離してフィニッシュ。3位にブラベック、4位にはガスガスのダニエル・サンダース、5位にロス・ブランチが続いた。ホンダの優勢は変わらないものの、すでに2名が脱落。じわじわと巨大な体制のKTMファミリーが追い上げてきており後半戦の行方が楽しみなところだ。

プライスは「マラソンステージは、予想以上にハードだった。昨日は砂丘で約513キロも走り、約6時間40分もレースを続けたんだ。ビバークでは、寝袋とテント、わずかな食糧しかもらえず、少ししか眠れなかった。今日はわずか112キロだけだったけど、ゴールに到達できて本当に嬉しかったね」と辛い2日間を振り返っている。

ステージ順位

ボーナスタイムをトップ陣でほぼ独占した形のホセ・コルネホは、ボーナスタイムを含めても7位と低迷。特にオフピストでナビが難しいステージ6では、後続からの追い上げが有利だった模様である。

総合順位

ステージ6の総合順位変遷をみると、ブラベックとブランチが僅かな差を競い合い、ボーナスポイント分でブラベックが首位に立った形。現在その差は1分も無く、3番手にはコルネホ、4番手にファンビバレンが控えていてブランチの孤立状態がわかりやすい。

KTM勢はプライス、ケビンの両チャンピオン経験者が5−6番手を担う。ステージ7のスタートではケビンが8番スタートと好位置につけており、ブラベックとの28分差を縮めにかかる。プライスは2番スタートでステージ7の道を切り拓いてステージ8でスパートをかけられるため、交互に順位を上げていけるという追い上げに有利な布陣だ。

Team HRCのゼネラル・マネージャーであるルーベン・ファリアは「ステージは砂丘だらけでかなりハードだったけど、エイドリアンはこの地形に強くていい結果を出してくれた。リッキーも3位で終えて、第7ステージに向けていいポジションを確保したし、ナチョも大きく順位を下げずに済んだ。Team HRCのライダーはいいポジションをキープできている。目指すは2024年ダカールラリーの優勝だ」と息をまく。

トップに立ったブラベックは「長いステージだったけど48Hクロノステージというチャレンジは楽しかった。仲間たちとのキャンプは最高だったし、昨夜は本当に楽しい時間を過ごした。でも、あまり眠れなかったな。もう一度やってほしいと思うほどだよ。ステージの終盤では安全策も考えて、第7ステージでルートを拓くのは避けたいと思っていたんだ。とてもいい状態だと思う」とのこと。

「めちゃくちゃめんどい砂漠」池町佳生

「このステージは、だいぶリタイアが出たんとちゃいます? アブダビのデザートチャレンジが同じような厄介な砂漠だったから、アブダビに出ておいて良かったと思ったよ」とステージ6を終えた池町はコメント。「砂丘が特別デカイというわけではなくて、砂が細かいからスリップダウンも誘発するし、シフトチェンジをミスるとすぐにスタックしてしまう。とても難しい砂質でしたね。特に2日目の後半は砂が柔らかくてしんどかったです。おまけに今日もウェイポイントをタブレットのせいで逃してしまって、本当に困った。

スペシャルステージ中の夜はなにもないところだったけど、普段から冬山登山で慣れているからなんの問題もなかったね。

まぁ、最後のダカールなんでしっかり完走できるように頑張るまでですよ」

池町は15分のペナルティを受けてステージ65位。総合も65位で、67位のライダーには12分ほどの差をつけており、大きなミスがなければこのまま順位を上げていけるはずだ。

ダカール一行はこのステージ6が終わるとライダー達は飛行機で、バイクはトラックで運送されてサウジアラビアの首都リヤドへ飛ぶ。ステージ6の後半にあたる1月12日はトップライダーにとって残り112kmのスペシャルステージとリエゾンだけだったため、ゆっくり休養をとることができただろう。さらにリヤドで明日レストデイを過ごし、いよいよ後半戦の幕が開けるのだ。