ステージ3は1回目のマラソンステージ1日目。アル・ドゥワディミ > アル・サラミヤへと至るルートはリエゾン295km、スペシャルステージ438kmと700kmを超える大舞台だ
大勢が固まりつつある、ダカール前半戦
2024ダカールラリーの前半戦は、ホンダとHeroのターンになりそうだ。現代ダカールで最強の名を欲しいがままにしてきたKTM勢だが、ステージ3の序盤で2017、2022年優勝者のサム・サンダーランド(GASGAS)がメカニカルトラブルでリタイアに追い込まれてしまった。
この日の序盤をリードしたのは、またもやKOVEのメイソン・クライン。ビバークでエンジンを載せ替えることで昨日のエンジントラブルを払拭し、後方から一気に追い上げた。ところがTeam HRCのパブロ・キンタニラがこのステージで気を吐き、45km地点でラリーの先頭を走ることに。100kmほどでクラインをタイムでパス、いちやくステージ3を引っ張る存在に。キンタニラはチームメイトのホセ・コルネオとランデブーでルートを切り開き、ボーナスタイムを狙う作戦を敢行する。一方、クラインのKOVEは再びメカニカルトラブルに見舞われさらに遅れてしまった。
ステージ3順位
近年のダカールではよくあることだが、このステージ3でもレース後に他のライダーの救助や、ペナルティの追加で順位が変動。まず、トップタイムでゴールしたキンタニラが、スピード制限を破ってしまい6分ものペナルティを受け、ステージ7位へ降格。ケビン・ベナビデスは救助による救済措置でステージ1位へ。ケビンによれば「長いステージだったが、昨日いくつかミスを犯したため、今日はナビゲーションにより一層集中しようと決めていた。その決断が報われた形だ。前には多くのライダーが走っていたが、私はロードブックに集中し、しっかりとしたリズムを見つけることができた。今日のペースと成績には満足している」とのこと。これを反映した総合順位は、依然Heroのロス・ブランチがトップで昨日の2分55秒のリードを3分11秒にわずか拡大。
ブランチの背後では、コルネオ、リッキー・ブラベック、キンタニラ、エイドリアン・ファンビバレンと、ホンダ勢が上位を占拠。KTM勢は最上位ケビン・ベナビデスがステージ優勝で6位(トップと20分差)とジャンプアップ。KTM VS ホンダという大局では苦戦を強いられているものの、ケビンの背後にはトビー・プライス、ダニエル・サンダース、ルチアーノ・ベナビデスが控えており、やはり強力な布陣とも言える。Heroのブランチはトップを維持しているが、孤軍奮闘の展開になりそうだ。近年のダカールラリーは前日のステージ優勝者がナビゲーションを切り開く必要があり不利を強いられることで、シーソーゲームの展開になっていたのだが、2024年は特にこのシーソーゲームを解消するためのボーナスポイントの施策がうまく働いているように推測される。Team HRCの面々は、積極的にトップに立ちチームメイト同士協調してボーナスタイムを狙う方向で成績を伸ばしている。
HRC監督のルーベン・ファリアは「モンスターエナジー・ホンダチームにとっては良い一日だった。ライダーたちは少し追い上げることができ、ポジティブな一日だったと捉えている。明日は第4ステージで、それほど難しくないと思うが、ここはダカールであり、何かが起こる可能性もある。簡単なステージだと思っていても、時には問題に遭遇することもあるのだ。まあ、とはいってもまた良い一日になるだろう」と慎重なコメント。
総合順位
池町佳生がさらに順位をジャンプアップ、自身の目標順位へ
昨日、苦しい戦いからじわじわと順位を上げた池町佳生は、序盤38km地点でステージ順位64番手までアップ。その後はペースを保ちながら70番手付近をキープしてきた。最終的には69位でステージをフィニッシュしており、自身が目標としていた順位に到達。タフでクレバーなベテランならではの、さらなる順位アップが期待されるところだ。
マラソンステージの初日はなかなかバラエティに富んだ日となりました。砂丘の難易度もだんだん上がってきて、450のパワーで4速全開のレブ状態からでも直登できない壁が2箇所あったり、ガレも相変わらずなハイスピードガレからトライアル岩場あり、サンドの全開箇所も何度か(怖くて140くらいしか出せなかった
ーー池町佳生フェイスブックより
ステージ4はマラソンステージの2日目。このマラソンステージではスペシャルテストの直後にサービスエリアがあり、“ライトアシスタントチーム”から2時間だけサービスを受けることができるという。その後、マラソンビバークに入ったあとはパルクフェルメにマシンを入れ、朝まで触ることが許されない。