こんにちは、林道ママこと松下時子です。電動オフロードバイク「CAOFEN F80 STREETロングレンジ」とオグショートランポで遊ぶ林道ツーリング『ミライ・リンドウ』、第10回目は、カオフェンと初のナイトツーリングを体験してきました!

超高層ビルが建ち並ぶ巨大都市東京の山中で
1日遅れの中秋の名月を楽しんできました!

ミライ・リンドウ vol.010「東京都 林道星竹線~南沢間伐作業道~林道勝峰山線」絵日記

今年の秋は季節外れの暑さが続き、日本の気候に異変が起きているなって感じてた日々の中、「お月見ナイト林道ツーリングをしない?」と、知り合いの豆さんが何とも日本らしい、乙な計画を立ててくれました。脳裏に浮かぶのは、林道を走った山の上から望むお月さま!  さらに、想定ルートをチェックして走行距離を調べると100㎞弱! よっしゃ、と意気込んで参加表明しちゃいました。走行予定の「林道勝峰山線」は初めて走るルートなので楽しみ。あ、でも、今回は夜間走行なので景色は拝めないんでした(笑)。

さて、お月見当日。広がる空はどんよりとしていましたが、なにがしかの奇跡が起こりますように! と願いながら、集合場所の秋川渓谷にある十里木(じゅうりぎ)ランドにトランポで向かいます。

「阿伎留神社大祭」はなんと百貫を超える六角神輿が檜原街道沿いを練り歩くお祭りだそうで、準備の様子を眺めながら集合場所に向かいました

何も知らずに向かっていましたが、実はこの日は、「五日市まつり」の名で知られている、あきる野三大祭りのひとつ「阿伎留(あきる)神社大祭」の最終日でした。武蔵五日市駅の周辺はすでに賑やかで、沢山の人たちの笑顔や、ヘアスタイルと法被姿がキレキレで、やるぞー! とやる気に満ち溢れる雰囲気を楽しみながら、渋滞車の一台になっちゃいました(笑)。ちなみに、この大祭を調べてみると毎年同日の9月28~30日に開催されているらしいので、お月見ツーリングに行く際は早めの行動をおすすめします。


秋川は東京都を縦断するように流れる多摩川支流の川です。奥多摩の山々に囲まれ、大自然を満喫できる秋川渓谷は、キャンプ・釣り・河原のバーベキューも人気で都内屈指の観光スポットなんです。

渋滞を乗り越え、その秋川渓谷にある十里木ランドに到着!  周りを見渡すとつくづく、都心部を出ると豊かな自然が息づいていることを実感します。

ツーリングメンバーは6名。午前中は決行が怪しげな量の雨で、雨こそ上がっているけど出発直前も曇り空。この時点で至高のお月見林道ツーリングになろうとは、私を含めてだれも想像してなかったと思います

さあ、日も暮れて出発! 夕景体験のスタートです! 

まずは「林道星竹(ほしだけ)線」に向かいます。林道に入ると、前方以外は真っ暗で、耳からの情報が多いことに気づきました。特に昆虫たちの鳴き声。もしかしたら、エンジン音のない、電動バイクのカオフェンに乗っている私にしか聞こえてないかもしれないけど、結構な音量で大合唱が聞こえてきました。

実は私、夜間の林道走行をした回数は頑張って記憶を思い返さなくちゃいけないくらい少なくて、それにはワケがあるんです。

初めて「林道日本一周」をしたのは1987年の秋でした。その最中、宮崎県のアポロ峠で迷子になって、土砂降りの中ハプニングがあり……チェーンが切れました。ところが、運が良いのか悪いのか、「お守り」として2つの物をバックに入れていました。そのうちのひとつが、チェーンのジョイントだったんです。お守りに関しては、みなさんの「何故それっ?」って顔が想像できます(^▽^;) 結局それは荷物の一番底に入れていたので取り出すために全ての荷物が濡れちゃうし、山中は暗くなるし……あぁぁ涙で良く見えないし。この経験から、林道を走る際には、日が沈む前に抜けるようにしてきました。

だけど今回はマスツーリングです。そんなこともすっかり忘れて楽しんでます。


カオフェンのLEDヘッドライトは、左手のスイッチボックスでハイビームとロービームを切り替える一般的なタイプです。ハイビームに切り替えると、景色までは望めないものの、真っ暗な林道でも十分走れました。それにときどき後方バイクの明るさがプラスされて、マスツーリングの良さがキラリ!

闇の中で街の灯りがビーズを散りばめたみたいに広がって、それはそれで楽しめました

「林道星竹線」から峠に向かう途中には、広々とした景色のビューポイントがあるんですよ! 真っ暗なので全体を見ることはできませんでしたが、下界の街の灯りが見えたときに「ココだっ!」って、気が付きました。

そしてこれが、以前撮影した陽光に照らされた景色です。山並みに囲まれた奥に五日市街が見えます。結構いい眺めでしょ。ただ、ご覧のようにガードレールはありませんので十分に注意してくださいね

路面は砂利道と舗装路が交互にやってきます。ずっとダートというわけではないけれど、通り抜けることができるのは嬉しいですね! 峠では頭上に橋が現れますが、この橋は標高468mの金毘羅尾根へのハイキング道です。この橋をくぐると「南沢間伐作業道」に繋がります。2つの林道を総称した通称の「林道南沢星竹線」の名称を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。その南沢へと進みます。

峠の橋をくぐって「南沢間伐作業道」に着きました。林道標識と林道周辺の名所案内板もあります

春には、ここから200mほどの区間で真っ白とピンクの桜が楽しめるそうですよ。ただ、ここから先は舗装路なんです。ここは割り切って東京都の大空を眺め、ワインディングを楽しんでください。何よりも、西側の「林道星竹線」はダートが残る東京都の貴重な貫通林道なので、私も有難く楽しませていただきました!

さあ!  いよいよ本日のメインディッシュ、展望広場というお月見会場がある「林道勝峰山線」を目指します。この林道は、日の出町大久野に聳える勝峰山の麓が起点で、頂上近くが終点です。ダートは片道1.7㎞。林道入口は、都道184号上にある「岩井橋」交差点に接続する岩井橋を渡り終え左折したところにあります。

「林道勝峰山線」の標識。平成28年に開通したそうです。開通してくれて、ありがとう!

日の出町へ移動中だけど、一体この緊張感は何でしょうね。 お月さまにこの気持ち届けーっ!

するとまぁ、雲が動き始めてコーナーを曲がる途中でお月さまをキャッチしました。そして、展望広場に到着すると、仕上がったこの異世界感。東京の煌びやかな灯りと、雲の合間から覗かせるエキゾチックな満月にちょっと興奮しちゃいました(笑)。

ナイスな眺めの中、お月見のお供を準備します。もともとは中秋節のお供え物として作られた中華菓子の月餅やお団子をテーブルにセッティングしていると……みるみる雲の層が薄くなりはじめ、とうとうキセキが起こりました!

お月さまが顔を出してくれました!

マスツーリングという安心感やおしゃべり。あぁなんて楽しいお月見なんでしょう、オフロードライダー冥利につきました。それにしても、お月さまに心を揺さぶられっぱなしで、濃密な旅の時間を過ごせました。