史上初のオートバイによる北極点・南極点到達、チョモランマ(エベレスト)世界最高高度6005m達成、パリ・ダカールラリー二輪部門へ日本人として初めて挑戦、などなど……。これまで数々の挑戦を成し遂げてきた風間深志氏が、実は本人にとってこれが初めてという日本一周ツーリングに出発。連載Vol.3をお届けします!

北海道最北端「宗谷岬」到達!

北海道上陸1日目は小樽港から日本最北端、宗谷岬を経由し、猿払村で宿泊するというルート。事前の調べでは約400㎞の行程。午前5時前に出発しているので、ゆっくり寄り道しても日の入り前にはゴールできそうだ。

すでにご存じの方も多いと思うけど、僕は「極点」に対して並々ならぬ執着がある。

オートバイで南極点や北極点へ行ったのはその究極だし、キリマンジャロやエベレストに登ったのも僕にとっては頂上という極点を目指した挑戦だ。そして現在は「Pole to Pole」という日本の最北端と最南端を一気に走るツーリングラリーまで主催している。

ライダーというのはとにかく走るのが大好きな人種だ。そういうライダーが目標とするのは道尽きる場所、すなわち“極点”が相応しいと思うのだ(ちなみに僕はずっと昔から「地平線」を座右の銘にしている)。

という訳で、今回の日本一周では東西南北の極点巡りを大きなテーマにしている。宗谷岬や佐多岬といった日本本土の4極だけではなく、北海道、本州、四国、九州の4大島それぞれの極点も巡るつもりなのだ。

と、威勢よく宣言したのは良いものの、僕が北海道編のために用意できた時間はわずか5日間(往復フェリーを除く)。この広い大地の東西南北を極めるには毎日かなりの距離を走らなければいけない。

「日常を離れて北海道まで来たのにひたすら走るだけなんて……」

想像以上に多忙になってしまったスケジュール帳を見つめながら、少々後悔したのはここだけの秘密である。

ただし、旅の相棒にR1250GS Adventureを選んだのは正解だった。1250GSはこれまで自分が所有したマシンの中でもっとも大きい。入手当初はこれまで乗ってきたオフロードマシンと同じように乗りこなそうと、そのデカさ、重さを持て余していたが、この北海道ツーリングでようやく付き合い方が分かった気がした。“ジーエス”は乗りこなすものではなくて「乗せてもらう」のが正しい態度(笑)。 ライダーは余計なことはせず、「よろしく!」とマシンに委ねてしまうだけで、とにかくスマートかつ楽ちん。装備だってグリップヒーターにシートヒーター、クルーズコントロール、様々な電子制御などなど、ちょっと過剰なんじゃないかと思うぐらい満載だし……。

まあ、どこまでも快適に進化してしまうとオートバイには、ライディングというものの独自性や魅力がどんどんと失われて行ってしまうんじゃないか? と思わなくもない。ただ、まだ全ての機能を使いこなしてないから分かったようなことも言えないのだが……。

宗谷岬へ向かう道中は「ここ来たことある!」「あ、ここ見たことある!」の連続。僕は日本一周こそ初めてだけど、日本各地を旅すること自体は、これまで数えきれないぐらいやっている。よくもまあこんな日本の隅々まで行ってるもんだなぁ、と我ながら関心しちゃった(笑)

宗谷岬には15時ちょっと過ぎに到着。この旅で最初の一極を無事に制覇したのだった。

【1日目 小樽~宗谷岬~猿払】
走行距離:410㎞

真っ直ぐ風車の立ち並ぶオロロン街道を走ると、もうすぐ日本の最北端、宗谷岬である。

宗谷岬に居合わせた観光客と、旅のライダーさんにも一緒にフレームインしてもらって記念写真。この場所より北はないから、なんだかとても最高なのだ……。ここ宗谷岬に来たのは10回以上になるが、バイクで自宅から通しで来たのは初めてになるかもしれない? 何だかとても"やった〜!"感が強かった。

今年7月に開催した日本縦断ツーリングラリー、POLE to POLEの様子。佐多岬から宗谷岬まで、8日間3500kmを走破する壮大なイベントだ。

宗谷岬に立つ間宮林蔵(江戸時代後期の探検家、樺太を発見)の像。

宗谷岬からサハリンの姿を望む。たった43kmしか離れていないのだ。

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