KTMのミニモトマシン、 50SXと65SXがフルモデルチェンジ。フレーム、サスペンション、ブレーキなどほぼ全てを刷新し、さらにはキッズライダーの成長に応じてマシンの高さを調整できる仕様に

KTMのミニモトマシン50SXと65SXがフルモデルチェンジを果たしました。モトクロスマシン「SX」シリーズの新型フルサイズマシンのフレームやボディワークなどを取り入れています。さらに、キッズライダーの成長に応じてマシンを調整できる仕様となっており、より長く楽しめるようアップデートされています。合わせて、50SXファクトリーエディションも公表。

主な変更点
・50SXエンジンがパワーアップ
・フルサイズのSXモデルを取り入れたボディワーク
・成長に合わせて車高調整可能なフレーム
・新型サブフレームを導入
・グリップを向上させたフットペグ
・ブレーキシステムを一新
・50SXのハブが再設計され強度が向上
・刷新されたサスペンション
・エアフィルターの取り付けがより簡単に
・新開発されたエキゾーストシステム

2024 KTM SX Mini Motocross range – 100% race ready | KTM

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50SXエンジンがパワーアップ

新型50SXのエンジン容量は49ccから49.98ccに増加。点火タイミングもロングストローク化に合わせて変更され、点火装置もデジタル式になっています。さらに、クランクシャフトを重心付近に配置することでマスの集中化を図り、リードバルブの吸気角度を変え、3シャフト設計を新たに採用することで、より効率的なパフォーマンスを可能にしています。さらに、エンジンには自動遠心クラッチが装備されているのも特徴の一つ。多板クラッチは、回転域全域で正確なパワーデリバリーを実現し、特別な工具を使用することなく、ライダーの好みやスキルレベル、コースコンディションに合わせて簡単に設定することができます。

また、シリンダーも完全新設計となり、ピークパワーを15psまで高めています。これにより、回転域全体にわたって広く使いやすいパワーバンドを確保。さらに、前モデルのシリンダー単体が726gだったのに対し、666gへの軽量化に繋がっています。

エンジンパワーが上がり上級者向けに仕上がっていますが、モトクロスを始める、または始めたばかりのキッズライダーも扱えるよう、KTMでは50SX用のパワーリダクションキットが用意されています。キットを使用することで、扱いやすい4馬力仕様に変更可能。また、中級レベル向けとして8馬力仕様に変更するキットもあるため、50ccマシンに乗り始める第一歩として、または乗り換えのマシンとして、幅広いライダーが長く楽しめるものとなっています。

50SXと65SXの共通変更点

フルサイズのSXモデルを取り入れたボディワーク

両車種には、フルサイズのSXモデルのボディワークを取り入れており、フロントナンバープレートにはトリプルクランプ下部を保護するためのプラスチック製フラップが組み込まれています。サイドナンバープレートはフレームとサブフレームに可能な限り近づけ、シートは前モデルと比べてわずかにフラットにすることで、よりスリムなボディワークを実現。サイドパネルもキッズライダーのライディング姿勢に適したものとなり、スタンディング時のニーグリップ性能が向上しています。

成長に合わせて調整可能なフレーム

SXシリーズの新型フルサイズマシンと同様、リアショックマウントはメインアッパーフレームチューブから分離されており、この構造がビッグジャンプの着地や荒れた路面からの激しい衝撃を吸収します。これにより、リアショックからステアリングヘッドに向かって伝わる衝撃も抑えられ、全体として安定感や剛性感、接地感が増し、路面が荒れたコンディションでも走りやすい仕様となっています。また、フレームプロテクターも標準装備されており、ライダーのニーグリップを助ける効果があります。

さらに注目なのは、前述した通りキッズライダーの成長に対応してマシンの仕様を変えていけるという点です。50SXと65SXともに、リアショックの位置は標準のハイポジションからローポジションに変更可能で、50SXで16mm、65SXは14mm下げることができます。フロントフォークはトリプルクランプから3mmの差で調整可能。また、ハンドルバーマウントはフロントホイール側とライダー側両方に動かすことができ、合計4つのポジションからベストな位置を見つけることができます。

新型サブフレームを導入

2023モデルのKTM SXで新たに採用されたハイブリッド構造のサブフレームが、50SXと65SXにも導入されています。軽量かつ強度の高いスチール製サブフレームを使用することで、マシン全体の剛性とハンドリング性能を高めています。

また、サブフレームは、キャブレター/エアボックスと結合する吸気口を2段階の高さで調節でき、ローポジションとハイポジションどちらにも対応。50SXはホイールベースが標準の1023.5mmから1035.6mmに、地上高は標準の227.3mmから210mmに、シート高は634mmから683mmに高さを調整可能です。一方、65SXのホイールベースは標準の1129.8mmから1138.8mmに、地上高は標準の241.2mmから254.9mmに、シート高は715mmから760mmに変更できます。

グリップ性能を向上させたフットペグ

フットペグは新型のSXモデルからインスピレーションを得ています。表面積を拡大しブーツとのグリップ性能を向上。さらに、深い轍やスクラブ時にフットペグが地面に当たらないようマウント位置にも配慮されています。新しいフレーム一体型マウントコンセプトにより軽量化も実現。

ブレーキシステムを一新

ブレーキは油圧式ブレーキキャリパーと最新のフロント&リアブレーキディスクを装備しています。50SXでは、過酷なコンディションでの使用を想定し、ブレーキシステム全体の機能性と耐久性を向上。リアブレーキラインはより効率的に配線され、鍛造リアブレーキレバーが採用されています。一方、65SXはフロントに198mmウェーブディスク、リアに180mmウェーブディスクを備え、フォーミュラ製フローティングブレーキキャリパーを装備。あらゆるライディングコンディションにおいて、高いブレーキング性能を実感できるとのこと。50SXと同じく、新開発の鍛造リアブレーキレバーを採用しています。

50SXのハブが再設計され強度が向上

両車種ともに、ブラックアルマイト仕上げの軽量アルミリムにMAXXIS MX-STタイヤを装着しています。また、50SXは再設計されたハブにより、より高い強度を確保しています。

刷新されたサスペンション

両モデルともにサスペンションを刷新。フロントには35mm USD WP XACT AERフォークを採用。スイングアームに直接マウントされ、よりコンパクトになっています。リアには新開発のフルアジャスタブルWP XACTモノショックが装着されており、両モデルとも接地感が変更されています。

なお、KTM 50 SXに装備されるリアショックは、190.5 mmのサスペンショントラベルを持ち、プリロード・高速/低速コンプレッション・リバウンドがフルアジャスタブルとなっています。一方、KTM 65 SXのサスペンショントラベルは253.5mmで、こちらもフルアジャスタブル。ライダーの好みやコースコンディションに合わせて調整することができるようになっています。

エアフィルターの取り付けがより簡単に

エアフィルターは、クイックリリースでシートを取り外すことで簡単にアクセスでき、多方向からのケージ装着が可能。エアフィルター取り付けシステムには、スナップロック方式を採用し、より広い面積で簡単かつ直感的に取り付けられるようになっています。これにより、吸気効率がより良くなり、エンジン性能の向上にも繋がっています。

新開発されたエキゾーストシステム

エキゾーストシステムは完全新開発。 継ぎ目をなくすことで、エキゾーストの流れが最適化され、ヘッダーパイプの新しい形状とレイアウトにより、全回転域でパフォーマンスが向上しているとのこと。また、サイレンサーにはブラックアルマイト加工が施され、エンドキャップの密閉性を高めています。さらに、ヘッダーパイプとサイレンサーの間に新しいラバーフィクスチャーが導入されています。

2024 KTM 50 SX FACTORY EDITIONも公表

50SX/65SXのフルモデルチェンジ公表に合わせて、50SXファクトリーエディションも発表されました。マシンはレッドブルKTMファクトリーレーシングにインスパイアされたグラフィックキットに包まれ、グリップ性能が高いオレンジのKTM FACTORY SEATを装備。FMF製フルエキゾーストシステムとイリジウム製BRISK FE専用スパークプラグにより、パフォーマンスも向上されています。

なお、2024年モデルのKTM Sportminicycleは、2023年11月初旬からKTM正規販売店で販売される予定です。