2022年11月5日〜6日、2デイズで開催される韓国のハードエンデューロレース「SANLIM EXTREME ENDURO(サンリム・エクストリーム・エンデューロ)」に4人の日本人ライダーが出場する。参戦するライダーは全日本ハードエンデューロ選手権の#1山本礼人、# 3原田皓太、#4水上泰佑、#6佐々木文豊。Off1.jpでは番記者・伊井が現地帯同取材を敢行し、可能な限りリアルタイムに情報を発信していく。まずはDAY0として、レース前日の様子をお届けしよう。

まず最初にこのSANLIM EXTREME ENDUROについて簡単に説明しておこう。レース形式は今年7月に山本や佐々木ら5人の日本人が参戦したFIMハードエンデューロ世界選手権RedBull Romaniacsと同様のフォーマットとなる。ライダーやメディアに事前に配布されるコースマップはなく、各ライダーはGPSナビによるルート案内と、わずかなコーステープを便りに山中を駆け巡る。

なお、本番レースは5日、6日の開催なのだが、その前日にはレンタルマシンにライドして慣らし走行をすることができる。

水上泰佑

原田皓太

山本礼人

コースはとにかく路面の乾燥具合がひどく、それがかなり難易度を上げているという印象。ルーマニアクスもかなり乾燥していてグリップが悪かったが、韓国の方が上だと山本は断言する。移動路はCGCゲロゲロクラス級のコース設定で、セクションは難易度がかなり高いが、ルーマニアクスのゴールドクラスのような「命の危険を感じる」ようなものではない。

クラスはゴールド、シルバー、ブロンズと3クラスに分かれており、総エントリー数は100台を超える。その内、ゴールドクラスは日本人4人を含む30人弱。コースはDAY1、DAY2ともに約45kmとなっており、前半は2日とも同じルートを使用するが、後半はDAY1とDAY2で逆回りとなる。DAY1は下り坂が8割、DAY2は上り坂が8割という設定だ。なお、韓国のライダーによるとサンリムのゴールドクラスはルーマニアクスのシルバークラスに相当する設定にしているとのこと。

開催国である韓国のライダーが9割を占めるが、台湾、日本、ロシア、カンボジアからも招待ライダーが参戦して全部で5カ国によるハードエンデューロ頂上決戦となっている。

ロシアの元チャンピオン、セルゲイはルーマニアクスに7回(シルバー5回、ブロンズ2回)参戦しており、内6回は完走している大ベテラン。今回はシルバークラスにエントリーしていて、日本チームがゴールドクラスに出ていることを知ると天を仰いで「Oh……」と祈りを捧げてくれた。なお、ロシアでは現在、亡命のリスクを回避するため若いライダーにはビザが発給されないとのこと。

韓国のハードエンデューロチャンピオン、チェホン。地元レースということもあり、今回の優勝候補筆頭だ。チェホンは現在26歳で山本とほぼ同年代。

日本チームはマシンを現地でレンタルしていて、それぞれハンドルバーやサスペンションなど、こだわりのカスタムパーツを日本から持ち込んでいる。用意されてたマシンはKTM、ハスクバーナ 、GASGASの2ストローク300ccのマシンで、いずれも20-22年式のもの。なお、レンタル費用は100万〜120万ウォンで、日本円にすると約10万〜12万円程度とのこと。

水上が持ち込んだクロコダイルシート。他にもハンドルバーやサスペンション、ステップなど、各自必要と思うパーツを持ち込み、マシンをセットアップした。

原田が持ち込んだS3のステップ。スチール製で壊れにくく、高い排泥性とグリップ力を提供してくれる。

このレースはリアタイヤがIRCタイヤのワンメイクレースということで、IRCのサポートライダーである水上、原田には日本からIRCタイヤがサポートされた。

日本チームに限らず、出場するライダーのほぼ全員がIRCのVE-33s GEKKOTAかJX8 GEKKOTAと選択。

韓国のライダーの多くが使用している特製極太チューブ。ビードストッパーが2つ内蔵されていて、かなり重い。パンク耐性はとても高いが、空気圧を0kgf近くにしてもノーマルチューブの0.5kgf相当のパンパン具合になる。最初は日本チームもこのチューブを使用するつもりで組んでいたが、慣れないチューブで大事なレースに挑むリスクを避け、最終的には全員がノーマルチューブを選択した。

コースマップはGPSが記すラインを見て判断する。ルーマニアクスを経験した山本と佐々木は経験済みだが、水上と原田はこの形式のレースに出るのは初めてなので、コースミスせずにレースに集中できるかどうかも鍵になる。

韓国の永同郡にあるユン・ファクトリー 。ハスクバーナのディーラーを営んでおり、このレースを主催する。韓国ではクロスカントリーレースKNCCがバイクレースの主流で、ハードエンデューロが流行りだしたのはここ5年ほどのこと。しかもやっているのはほとんどユン・ファクトリーの仲間たちだけなのだという。

SANLIM EXTREME ENDUROを主催するユン・ファクトリーの駐車場には各国のライダーが集まり、マシンチェックを行ったり、国際交流に花を咲かせていた。

練習走行を終えた後はロシアのセルゲイや、台湾のトップライダー杜中豪と一緒にランチ。

受付では携行品のチェックが行われる。スマートフォンや携帯工具、予備のプラグ、ライターなど安全のための装備だ。

Off1.jpではチームジャパンの応援ショートムービーを作成。また、レース期間中はTwitterにてよりリアルタイムは発信をしていくので、ぜひチェックしてみてほしい。

Twitter: @off1_jp tweet

twitter.com

なお今回の取材に伴い、全日本ハードエンデューロ選手権G-NETから取材費用の一部をサポートしていただいている。