今季全7戦で開催される全日本モトクロス選手権も、この第4戦近畿大会で折り返し。AMAトップライダーの下田丈を招いて開催された名阪大会では、当連載でフォローしているT.E.SPORT with GOSHIの大塚豪太が次戦に繋がる好レースを展開した

追い込んで臨んだ名阪、めまぐるしく変わる順位

予選のあった土曜日は前日の雨の影響で、全日本の中でもサンド質の路面で特殊なレーストラックの名阪スポーツランドはしっかりマディコンディションになってしまった。パワーが食われがちなマディにおいては、特にエンジンの仕上がりがものを言う。大塚豪太は予選をスタートからまずまずの位置につけ、厳しい状況下ながら6位でフィニッシュ。ベストラップも1分49秒と4位小島庸平に届く勢いで決勝での好調を予感させた。

迎えた日曜、IA1決勝ヒート1。大塚はアウトよりのグリッドをチョイス。スタートのタイミングはばっちり合っていたものの若干バランスを崩しながら加速体勢に入る形に。おおよそ10番手あたりの立ち上がりから安原志にパスされ11番手で走行。その後、レース中盤には前を走る小島を視界に捉えてパス、さらには追い下がってきたカワサキファクトリー能塚智寛をロックオン。大塚もだいぶ疲れが溜まっていたものの、能塚と最終ラップまで横並びのバトルを繰り広げつつチェッカー。9位でレースを終えた。

ヒート2はインよりのゲートピックが功を奏したか5番手付近で立ち上がった大塚。序盤に大倉由揮、安原の二人にパスされてしまうものの、その後は安原を抜き返して小島をパス。6番手まで順位を回復するものの、ペースを落として8位でゴールとなった。

スタートの後、前半の走りが課題

大塚はこれまで感じていたスタートそのものの課題から、その直後のこなしや前半の勢いに課題を切り替えながら次戦へのプランを立てる。

「スタートに対して練習だけでなく、ロガーでしっかり解析しながら石浦諒くんにマップをいじってもらいました。マシンが暴れずにしっかり前に出るようになって感触もよかったですね。ただ、やはりスタートが出れても前半で前に出られなければせっかくのスタートも、もったいないだけになってしまいます。前半に2〜3番手くらいをキープして、みんなが落ち着いてくるところまで耐えることができれば、僕も自分のペースでそこから走ることができると思うんです。

今回は下田丈が参戦してきたのですが、あとでビデオを見せてもらって本当に凄いなと思いました。単純にコーナリングが速いから同じラインを通ったところで同じように速く走れるわけでもない。だからちょっと落ち込んでいるんですが、切り替えて丈のいいところをしっかり吸収したいと思います」

GOSHI Racingの石浦もこのスタートの好結果について自信を見せた。

「ライダーの調子もよくてスタート時の反応もかなりよかったですね。事前にスタートに対して乗り込みやテストをしっかりやってきたのですが、これが形になってよかったと思います。我々としては目論見通りです。

今までは高いギヤで走れるようなマシン作りをしてきていますが、大塚のほうから低いギヤでも扱いやすさがほしい、という話もされていました。なのでこれまでとは少し違ったマッピングを試しています。結果には繋がっていませんが、様々な仕様をレースで試すというプロセスが大事だと感じています。次のHSR九州はマフラーの仕様も変えていこうと考えています」