9月4日、キャンパスオフロードミーティング(キャンオフ)東日本第2戦が信州マウンテンパークで開催された。今回もたくさんの大人たちがサポート、共に参加し、大学生たちと一緒にバイクを楽しむ、幸せすぎる大会となった
第2戦とシリーズ通して数字が振られてはいるものの、キャンオフは大会ごとにレースフォーマットも異なれば開催地域によって出場するライダーも変わってくるため、単発のイベントレースと考えても問題はない。一戦一戦を楽しめれば、それが正義なのだ!
今大会は近年キャンオフ東日本で恒例となっている5時間耐久クロスカントリー形式。会場となったのは長野県の信州マウンテンパークだ。日本のど真ん中に位置するため、東からも西からも参加しやすく、ハイスピードになりにくいコースレイアウトは初心者の学生も安全に楽しむことができるだろう。
しかし残念ながらレースウィークは雨が続き、パドックで車がスタックするレベルのヌタヌタコンディション。運営は当初土曜日に予定していたスクールを中止する判断を下したが『それでもスクールを受けたい』という熱い学生の熱意により、雨天の中で決行した。
そして日曜日、スタートの時間にはだいぶコンディションが回復してきたが……。
すっかりキャンオフ東日本の定番ゲストライダーとなったエンデューロIAライダー齋藤祐太朗を先頭にレースはスタート。計測機器などを利用していないキャンオフでは集計係が目視でゼッケンを確認して順位をつけている。去年まではパドックで集計していてピットイン、ピットアウトのライダーを二重にカウントしてしまうなど混乱があったため、今年からは集計位置を変更し、正確なリザルトを目指す工夫が凝らされた。
信州マウンテンパークの前半はモトクロスコース。とはいえ、モトクロスレースが開催されるような整備されたものではなく、コース幅はまちまちで路面には大小の石が浮き出ている。写真はコースオーナーのお孫さんで誰よりもこの信州マウンテンパークを走り込んでいる14歳、小沢瞬。キャンオフは大学生中心のレースだが、社会人だって高校生だって、中学生だって参加できる。もちろん小学生だってOKだ!
モトクロスコースの上に増設された新セクションは一周目から大半のライダーが登れず、わずか10分ほどでクローズ……。太陽が当たらないウッズの中は、雨の影響が大きく残っていた。
モトクロスコースを終えるとウッズに現れるのだが、このセクションの入り口で別ルートのガレセクションを選択することができる。先で合流するのだが、このガレを登り切ると1/3周加算されるキャンオフ特別ルールとなる(つまり3回登るとプラス1周ということ)。写真は5時間一人で走り続ける「ぼっちクラス」にエントリーし、全周ガレを登頂した大津崇博。21歳にしてG-NET黒ゼッケンを目指す日本ハードエンデューロ期待の星。このキャンオフで新車のGASGASをシェイクダウン。
場所によっては水捌けが悪く沼のようなコンディションになっていたり。
こうして、1人で5時間走り切る者、2人や3人でチームを組んで協力して完走を目指す者たち、それぞれの5時間が過ぎた。
トップでチェッカーを受けたのは中学生ライダーの小沢。1人きりで走り続け、全チームの中で唯一34周を回った。
小沢瞬
「普段はこの信州マウンテンパークのレースや近くで開催されるJNCCやWEXに出ています。今回はキャンオフさんにご招待いただいて初めて出場してみました。
マシンはRM80をラージホイールにして85のエンジンを積んでいます。僕は低速トルクがあるバイクが好きなので、祖父がそういう特性に仕上げてくれました。整備してくれて、コーチをしてくれて、レースではサポートしてくれて、いつもとても感謝しています。
この間のWEX鈴蘭では90Bクラスで4位(総合6位)でした。今日5時間走ることができたので、いつかはJNCCのCOMP-GP(3時間)に出てみたいです」
総合優勝は33周を回り、その全てでガレを登頂し+11周の大津。
大津崇博
「たまたまTwitterで回ってきて『5時間耐久』っていうレースフォーマットに惹かれて、初めてキャンオフに出てみました。5時間も1人で走ったのは初めてでした。いつもレース中にどこかしら攣ってしまうのですが、今日はどこも攣らずに走り切ることができたのでよかったです。
コースはめちゃくちゃ楽しかったです。雨のおかげで程よく難しくて、良い練習になりました。難易度は一周走るだけならなんてことないのですが、何周も走っているとどんどん荒れてきて根っこや石が出てきて、ラインも変わっていきました。実はガレセクションよりもそれが終わった後のキャンバーみたいなところが一番難しかったんですよ。
今日はリアタイヤはSHINKOタイヤのFIM(ブロックの低いヨーロッパのエンデューロ向けタイヤ)で、中身はパンパンのムースを入れてます。それでもガレはよくグリップしてくれましたね」
全日本ハードエンデューロ選手権G-NETの黒ゼッケン、そしてチャンピオンを目指す大津。さらにその先には世界選手権への参戦も見据えている。
「キャンオフを支える大人たち」第一回:デッシーさん
ここで、勝手に連載を始めてみる。この「キャンオフを支える大人たち」は、OFF1.jp編集部員伊井がキャンオフの取材をするたびに、キャンオフをサポートする個人・団体の中から一人づつ(勝手に)選び、キャンオフに対する思いを聞いちゃおうというもの。記念すべき第一回は、デッシージャパンのデッシーさんにお願い(無茶振り)した。
デッシー(伊藤卓也)
「キャンオフと出会ったのは、もう10年以上前のことです。当時僕がスタッフとして参加していたビッグクルーというレース運営団体が、スーパーファンファンエンデューロというレースの中でキャンオフを併催していたんです。
2015年にビッグクルーが解散することになってしまい、キャンオフも無くなってしまうと思われたのですが、当時学生の代表格だった木島くん(東京都市大学OB)や濱崎くん(工学院大学OB)たちが福島さん(現:株式会社コネクト代表、ウィークエンドレーサーズ主催)に『自分たちでレースをやるからキャンオフの名前を使わせて欲しい』と仁義を切りに来たんですよ。
これからバイクに乗り始める大学生たちのために走る場所を残してあげたい、と実際に行動を起こそうとした彼らに僕はものすごく心が動かされて、大いに賛同したんです。
でも彼らはまだ学生でしたし、僕はMFJやビッグクルーでずっとレース運営に携わってきていましたから『良かったら手伝おうか?』と声をかけたんです。それから基本的には彼らの自主性を尊重してレースを作り上げてきたんですけど、学生はどうしても卒業して代替わりしますから、時にはうまくいかないこともありました。
でも今は社会人リーダーの渡部くん(芝浦工業大学OB)がしっかり基礎を作ってくれるようになったので、安心して見ていられます。なので運営の手伝いというよりはマーシャル軍団の請負という形で、ボランティアとして携わらせてもらっています。前回の勝沼大会なんて、過去最高の参加者数で、ものすごく盛り上がりましたよ。今のキャンオフの何がすごいって運営側でレンタルバイクを出せること。これは本当にすごいです。
そんなわけで僕はキャンオフにものすごい思い入れがあるんです。土曜日の前日練習ですっ転んでる学生がいて「大丈夫か?」と聞いたら「今日初めてバイク乗るんです」って言われて驚いたり「下り坂はエンブレを使って降りるんだよ」ってアドバイスしたら「僕のバイク、エンブレついてないんですよ」って言われたり。バカだなぁって思いますけど、そんな彼らを大人の僕らがしっかりフォローしてあげればいいんだなって思っています。
Webikeさんやブリヂストンさん、工房きたむらさんをはじめ、みんなキャンオフのスケジュールに合わせてちゃんと毎回参加してくれています。これは単にスポンサーというだけじゃなくて、やっぱりイベントに魅力があるからこそだと思うんです。そんな今のキャンオフを見ていると、やっぱりちょっと嬉しいんですよね。個人的にSNSで繋がってる学生たちもいるんですけど、コースで偶然会うと『デッシーさん、一緒に走りましょうよ』って言ってくれるんです。もう先輩冥利に尽きますよね。僕のオフロードバイク人生において、もうキャンオフは無くてはならないものになってますし、このイベントがある限り僕はずっと携わっていきたいと考えています」
さすがデッシーさん、いきなり振られてこれだけ語ってくれた。話していて涙ぐみそうになるのは、2016年から6年間キャンオフを見てきた僕も同じ。学生主催での初開催大会を思い出してしまった。
なお、デッシーさんには以前、こんな取材もさせてもらっている。怪我人に遭遇した時に適切な対処ができるよう、ぜひこちらの記事もご一読を!
Youtube「ずっこけアドベンチャー」で動画配信中!
なんと、今回は大人数の動画撮影班が撮影に来てくれた。ユーモアたっぷりな編集でレースの様子を楽しく配信してくれている。
この動画のタイトルは「キャンオフその①」ということは、この後もまだまだアップされると思うので、ぜひチャンネル登録とイイネボタンを!
いつも通り、豪華すぎる景品がたくさん!!
Pulse
横浜市泉区のバイクショップ「モトファクトリーパルス」。息子さんがキャンオフライダーだったご縁で、息子さんが卒業されてからもずっとキャンオフを応援し続けてくれているキャンオフ東日本のお父さん。
フレアライン
神奈川県愛甲郡のバイクショップ。JNCCやJECを中心に、エンデューロに参戦している。お揃いのデカール、お揃いのウエアでズラリとパドックのYZが並んでいるビッグチーム。
Webike
バイクパーツの通信販売サイト。オフロードだけでなくオンロードまで幅広くカバー。商品情報の発信やイベントの開催も! なんとキャンオフには毎回賞金(クーポン券)も出してくれており、今回も10万ポイントが配られた。また、コース中にもWebikeクーポン券が隠されており、1枚につき1000ポイントとして使うことができる。
BRIDGESTONE
言わずと知れたブリヂストンタイヤ。毎回会場に来てタイヤを展示し、契約ライダーである齋藤祐太朗選手もレースに参加してくれている。当選したライダーによってサイズの都合などもあるため、好きなタイヤを選ばせてくれ、前後セットで送ってくれる。
MRP
Wave Factory
個人でマシンデカールの制作を請け負っているMRP、そして初心者向けモトクロスイベントの主催もする神奈川県川崎市のバイクショップ「Wave Factory」から。
工房きたむら
Off1.jpでも度々紹介しているクラッチリテーナーなど、クラッチのスペシャリスト。特にトライアルマシン、セロー、トリッカーなどでお悩みの方はぜひ!
Vesrah
ブレーキパッドのベスラからも前後ブレーキパッドのセットがプレゼント。こちらも車種によって適合するパッドを送ってくれる。
CROSS MISSION
石戸谷連が主催するレース・イベント。ハードエンデューロ、ラリー、スクールなどなど。
Technix
サスペンションプロショップ「テクニクス」からはエントリーした全員にテクニクスタオルをプレゼント。さらに試乗車が3台乗り放題。なんとレース中に実際のコースの一部を使って試乗することができた。
エントラントからの景品
キャンオフでは一般参加者からの景品の持ち込みも大歓迎。サイズが合わなくて着られないウエアやライディングギア、もらったけど使わないパーツなど、自宅に余っている不要なバイクパーツを学生に寄付できる。もちろんバイクパーツじゃなくてカップ麺でもなんでもOK! プレゼント交換みたいで楽しい。
キャンオフ東日本
JOMS
毎回サポートしてくれるteam-JOMS。パドックにテントを構え、救護活動に備えてくれている。
キャンオフ次戦は10月9日、西日本の主催で長野県フラットバレーにて全国大会として開催!