現在はトライアンフのモトクロスマシンの開発にも携わっているAMAレジェンドライダー、リッキー・カーマイケル氏が、トライアンフTIGER1200でアメリカ大陸を4日間にわたってアドベンチャーライドしました。その様子がリアルに伝わるカーマイケル氏の手記をトライアンフが全世界へ配信。日本ではOff1.jpにて独占配信いたします!

What a great ride!

日本の皆さん、こんにちは。リッキー・カーマイケルです。僕は毎年夏休みを利用して、最高の仲間たちと一緒にアドベンチャーライドを行っていて、その内容は毎年素晴らしくなっています! 僕たちは常に新しい道、新しい場所を切り拓いていて、そこで出会う景色の壮観さにいつも心が動かされます。

アメリカ大陸を探索するのには、オートバイが最も適しています。その中でもアドベンチャーバイクは、他のバイクでは見つけることのできない新しい場所に導いてくれる、今までとは違ったルートを発見する可能性を広げてくれる、最高の乗り物です。

トライアンフの新型TIGER1200は、今年のアドベンチャーライドをさらに充実させてくれました。

毎年このようなライドを行う機会を与えてもらい、とても感謝しています。

7月22日 Arrival day

Ricky Carmichael、フロリダ州タラハシー
Anthony Paggio、カリフォルニア州ラグーナニゲル
Ray Butts、ケンタッキー州レキシントン
JH Leale、フロリダ州タラハシー
Chad Warrix、テネシー州ナッシュビル
Jimmy Keys、フロリダ州オデッサ
Chris Goolsby、フロリダ州タンパ
Russel Griffin、ミシシッピ
Scott Runciman、オーストラリア、メルボルン
Ian “Magoo” McGillivray、オーストラリア、ブライト
Shaun “Apples” Appleyard、オーストラリア

オーストラリア、カリフォルニア、テネシー、ミシシッピ、フロリダから仲間たちがワシントン州スポケーンにあるトライアンフ・ディーラー、エンパイアサイクルに集まりました。

そこでアドベンチャーライドのためバイクのセットアップを行った際、エンパイアサイクルのKristenとAmyが僕たちのために、素晴らしいランチで歓迎してくれました。ショップのお客様にもお会いでき、過去のアドベンチャーライドにまつわるお話を伺いました。そこで初日のルートに関して、地元の人達からアドバイスをもらえたことはとてもありがたかったです。

リッキー・カーマイケル
マシン:TRIUMPH TIGER1200 RALLY PRO/TIGER1200 RALLY PRO EXPLORER
タイヤ:DUNLOP TRAILMAX MISSION
ギア:FOX RACING LEGION GEAR
通信システム:Cardo Systems PackTalk Edge
スマホマウント:QuadLock 防振ダンパー付きMotoマウント
ツール:Boxo USA ADVツールロール
バッグ:Mosko MotoMoto Picoタンク Nomaxタンクおよび30Lシートバック
衛星通信:Bivy
ナビゲーション:TrailTech Voyager Pro
ヘルメット:Arai XD4 Adventureヘルメット
曇り止め:Klotz AntiFog Paste
クルー用のレンタルバイク:Eagle Rider

QuadLockマウント、Moskoバッグ、Boxoツールロール、Cardo PackTalkインカム、そしてアドベンチャーライドに必要なその他のパーツのセットアップを完了させてからディナーに向かい、今回のルートを決定しました。

7月23日(1日目)
ワシントン州スポケーンからモンタナ州ダービー
301マイル/6時間42分

初日の目的地であるダービーは僕たちのお気に入りの滞在場所の一つで、夏のアドベンチャーライドの定番です。できるだけ早くダービーに到着したかったため、スポケーンを早めに出発しました。

僕たちはスポケーンから南東に向かい、セント・ジョー・リバー・ロードにあるセント・マリーズに向かい、ホイトを抜けて、セント・レジスに向かいました。川沿いの曲がりくねったとても楽しい
道で、新型TIGER1200の慣熟走行としては最適なルートでした。

その後、高速道路でアルバートン、ロロへ向かってペティ・クリーク・ロードを南に進みました。この道路はすぐにダートに変わりました。初日のダートはここだけでしたが、TIGER1200のダートでの走行性能の高さを確認することができて良かったです。

すでに数時間走り続けていたので、ロロの直前で偶然このThe Jack Saloonを見つけたとき、リフレッシュするのに最適な場所に思えました。僕は旅の途中でこのような楽しい休憩スポットを見つけることが大好きです。

The Jack Saloonは雰囲気がすごく良くて、国外のゲストたちは、この個性あふれる本物のウエスタン・サルーンを大変気に入っていました。

そこからダービーへ向かいました。ダービーは夕食を取った後にライブ音楽を聴いたりもできる、とても楽しく素晴らしい街です。

ここ数年、The Sawmill Saloonでは、本格的なダーツの試合がいくつかプレイされています。ダービーはビタールート・バレーにあり、テレビ番組で有名なイエローストーン大牧場もそこにあります。僕たちは3年前から、ライ・クリーク・ロッジを滞在場所として使用しています。

ここは僕の知る最高の宿泊地の一つで、部屋はファーストクラスであり、長いライドの疲れを癒すための安らぎの場所となります。

翌朝の食料品を買いに食料品店に立ち寄った後は部屋でシャワーを浴び、夕食をとるため町に向かいました。数年前にBig Cat Cafeを見つけて以来、そこが僕たちのスポットになっています。リラックスし美味しい料理を楽しみ、その日のライドを振り返るのに最適な場所なのです。

シーケンス 01

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仲間のChad Warrixが今年のアドベンチャーライドにも参加していて、ありがたいことに彼はギターを持ってきてくれました。仲間のApples、Ray、Chadによる素晴らしいギター演奏は、一日の締めくくりにぴったりでした。

7月24日(2日目)
ダービーからウエスト・イエローストーン
284マイル/6時間58分

美しいモンタナバレーの真ん中にあるライ・クリーク・ロッジで朝を迎えることは本当に素晴らしいです。しかし言葉や写真ではその素晴らしさは伝わりきらないので、ぜひ体験してみてください。

気温は13度で、空には雲一つありません。今日がアドベンチャーライドを行うのに素晴らしい日になることは疑いようがありません!

クルーたちのために卵のサンドイッチを作った後、Fox Legionギアのすべてのジッパーベントを閉め、Chadが走行前の祈りを捧げて僕たちを導き、ウエスト・イエローストーンに向けて出発しました。

ウエスト・イエローストーンへ向かう途中、よりダートが多いルートを見つけたかったので、いつもとは異なるルートを選びました。まずグランツデールに向かって北上し、その後アナコンダを目指して東に進むルートです。その途中、スカルカホ滝と呼ばれる小さな滝を見つけたので、クルーたちと写真を撮りました。

ビュートに向かう途中で峠を越え、軽い休憩を挟んでから、バージニアシティに向かう幹線道路に下りました。バージニアシティのような場所を見つけることは、僕たちの旅をとても楽しくしてくれます。おしゃれなお店や飲食店がたくさんある古い鉱山の町で、150年前のこの町の生活がどのようなものであったかを想像するのが楽しいです!

クルーたちはピザを食べてから、古いPioneer Barを覗き、町を少し散策してから、道路に戻りました。エニスを抜け、さらに壮大な景色を堪能した後、アースクエイクレイクを通過する楽しい道を南に曲がりました。

この湖の名前は、1959年の大地震で崩れた岩に川がせき止められ、3週間後に湖ができたことに由来します。本当に母なる自然は圧巻です!

夕食前にくつろぐ時間と片付けの時間を設けるゆとりをもって、ウエスト・イエローストーンの滞在場所に到着しました。町のはずれにある、West Yellowstone B&Bに泊まり、残りの半分はYellowstone Innのとても素敵なキャビンに滞在しました。

その夜、僕たちはこれまでの旅の中で最高の食事を取りました。おそらく、Fire Hole BBQでの食事は生涯で最高のバーベキューだったと思います。

僕の仲間であるGuy Fieriもかつて訪れたことがあることが判明しました。とても感銘を受けて、そのレストランで彼の番組のロケを行ったそうです。彼らは大皿料理を提供してくれて、たくさんのサイドディッシュで僕たちのお腹を満たしてくれました。もちろん翌日の朝食が過酷な挑戦になることは明らかでした。

7月25日(3日目)
モンタナ州ウエスト・イエローストーンからコロラド州パリセード
571マイル/11時間10分

正直、3日目のルート(約920kmの設定)は机上の空論に思えました(笑)。長い一日になることはわかっていましたが、コロラド州のオフロードを走ることができるという見返りがあったので、早めに出発し、混雑する前にイエローストーン国立公園に到着することができました。

起床したときには気温が5度だったので、TIGER1200のグリップヒーターとシートヒーターがありがたかったです!

RC DAY3

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イエローストーンではすぐに素晴らしい野生動物を見ることができました! 特に、バイソン、ヘラジカ、鹿をたくさん見ることができました。

晴れた寒い朝に映える、いくつかの天然温泉を通り抜け、イエローストーン湖を過ぎて、ティートンに向かう前にいくつかの景勝地を堪能することができました。とても美しい朝で、山脈が絵のように見えました。

オーストラリア出身のクルーたちは、山々の大きさとその雄大さに圧倒されていました。さらにラッキーなことにココで楽しそうな小さめのオフロードセクションを見つけて、少しだけ走ることができ、一生の思い出として残る素晴らしい写真を撮ることができました!

まだ何マイルも先を行かなければならないため、フレイミング・ゴージを経由して南に向かい、壮大な曲がり道が織りなす素晴らしい景色を楽しめました。美しいカーブを走行していると、低重心で軽量な新型TIGER1200の軽快な走りには驚かされました。

そこからさらに南下し、コロラドのグランド・ジャンクションに入り、次の宿泊先であるSpoke and Vineがあるパリセードに向かいます。幸い、その夜はモーテル内にキッチンカーが出店していて、570マイルも走り続けた僕たちは食事に出かける気力もなかったため、そこでディナーを済ませました。モーテルにはちょっとしたバーもあったので、この旅で最も長い一日を記念して乾杯しました。

7月26日(4日目)
パリセードからオウレイ、エンジニア・パス、シルバートンからパリセード
283マイル/8時間20分

4日目に予定していたサンファン山脈でのオフロードは、時間的には短いですが、とても楽しいアドベンチャーライドになることが予想されていました。しかしこの時、僕たちは計画していた以上の冒険をすることになろうとは思いもしませんでした!

仲間のChadは何年もの間、オウレイという町の素晴らしさについて僕に話してくれていました。このオウレイに立ち寄ることが前日のロングライドの理由でもあったので、僕や他のクルーたちは初めて訪れるエリアを探索することができました。コロラドはいつも私のお気に入りの場所だったので、この日もオウレイを訪問するのが待ちきれませんでした。

このオウレイという町は本当に素晴らしく、ぜひ訪問していただきたい場所の一つです。アウトドアでやりたいことがすべて揃っており、さながら”アメリカにあるスイス”のようであることでも知られています。いくつかの小道を走り抜け、素晴らしい景色を楽しみました。

そして町のすぐ外から、エンジニア・パスへの道に入りました。

エンジニア山の標高は3,953mもあります。もちろん酸欠状態になったことは言うまでもなく、僕がアドベンチャーバイクで行ったライドの中でも最もタフなライドの一つだったでしょう。

ですが、TIGER1200はこの道を走破し、道中で見ることができた景色は何にも代えがたい素晴らしいものでした。頂上までたどり着いたときに得られた満足感はとても大きかったです。

でも実はそれが本当の冒険の始まりでした! 次第に雲行きが怪しくなってきたため、すぐに下山しましたが、かなり激しい雨に見舞われました。

RC DAY4

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僕たちは趣ある西部の街並みを残すシルバートンに到着し、舗装され、曲がりくねった道を自由に走り抜けてオウレイに戻ることを想定していたのですが、そこから数マイルのところで大規模な土砂崩れがあり、道が封鎖されていたのです!

僕はこれまでにそのようなアクシデントに見舞われたことがなく、クルーの中にも体験したことがある人はいませんでした! すでに予定より約15分遅れており、この時点で事態は急速に深刻になりました。レイクシティ側の道路も通行止めになっていることはわかっていて、選択肢は限られていました。土砂崩れの道が開通するまでには3~5時間かかることが予想されたため、峠をUターンするしかありませんでした。

日も暮れてきたので、シルバートンに戻って燃料を補給し、山に戻り、螺旋状の峠を越えて(結果的にこの旅の素晴らしい追加ルートになりました)、オウレイに戻ることにしました。

雨が降っていたので、ライディングの最終日として当初計画していたものよりも困難を極めましたが、幸いなことに、TIGER1200もこの挑戦に耐え、僕たちは無事にこの局面を切り抜けてパリセードに戻ることができました。

ある地点で谷を見渡すことができたのですが、そこから係の人たちが土砂崩れを掃除しているのが
見えて、僕たちが正しい決断を下したことがわかりました。モントローズを北に向かうと、空は晴れ、気温も上がりました。そこから50マイル進みCardo Edgeに到着しました。僕たちは喉も乾いていたので、その日のライドがどれほど予想外の経験であったかおしゃべりしながら、そこで楽しいひとときを過ごしました。

All Terrain Motoのグランド・ジャンクションにある、ディーラーの友人が主催するThe Blue Beryl Wineryでの素晴らしいワインテイスティングでこの旅を締めくくりました。ウェールズファミリーの皆さんが、アドベンチャーライドの終わりにこんな美しい場所でクルーたちを歓迎してくれた事は、僕たちの旅の締めくくりにぴったりでした!

最終日の終わりに全行程を振り返ったとき、素晴らしいパートナーが僕たちに与えてくれるサポートには感謝してもしきれませんでした。特にトライアンフディーラーには心から感謝しています。僕たちの体験を素晴らしいものにし、滞りなく進行するよう時間を割いてくれた、彼らの献身にとても感謝しています。なぜなら、僕たちのアドベンチャーライドの他にも、彼らが取り組むべき仕事がたくさんあることを知っているからです。

最後に、経済的にも犠牲を払い、仕事や家族から離れて貴重な時間を過ごしてくれたサマーライドクルーの皆さん、このアドベンチャーライドを特別な出来事にしてくれたことに心から感謝します。

リッキー・カーマイケル