2019年5月、トライアンフはイギリスの電子専門企業や大学と提携し、電動スポーツバイク「TE-1」の開発プロジェクトをスタート。フェーズ1から始まり、2021年3月にはフェーズ3まで完了していました。続くフェーズ4では実際の走行テストを通してプロトタイプマシンの性能を確認。今回その結果が発表されました。なお、「TE-1」の開発プロジェクトはフェーズ4をもって正式に完了。

ブランドン・パーシュ

テストライダーはブランドン・パーシュ選手です。2022年3月に行われたオートバイロードレース「デイトナ200」にTOBC Triumphレーシングチームから参戦。3気筒エンジンを搭載したトライアンフSTREET TRIPLE 765 RSで優勝し2連覇を獲得したライダーです。

「TE-1」の性能

Speed Tripleを意識しつつ人間工学を取り入れたフォルム

「TE-1」にはトライアンフの高性能ネイキッドスポーツ「Speed Triple」の人間工学に基づいた形状や重量分布が取り入れられています。見た目は「Street Triple」が本来持つダイナミックさを意識しており、「TE-1」にもヘッドライトの形や車体構造など似ている部分が見つかります。

車体構造

車重は220kg。バッテリーをシャーシの中に搭載しており、マスの集中化と軽量化を図っています。

最大出力130kwのモーターに、トップクラスの航続距離

走行テストでは航続距離161kmを記録。電動オンロードバイクの中でもトップクラスとなります。最大出力は130kw。3.7秒で0-100km/hの加速パフォーマンスを持ちます。また、「Speed Triple 1200 RS」と同等のスロットルとトルクマッピングによって、瞬発的な立ち上がりと扱いやすいハンドリングを提供。

充電性能でも速さを発揮

20分で0〜80%まで充電することが可能。メンテナンスのスピードが求められるレース時も素早い充電で対応します。

こだわりのあるモーターサウンド

モーター音は「TE-1」の特徴の1つとして発表されました。独自のヘリカルギアのペアから成るプライマリートランスミッションにより、静かながらパワーを感じる音となっています。テストでは、スロットル全開/クルージング/市街地走行における騒音レベルを測定。R41ホモロゲーションテストで定められたすべての騒音基準を達成してます。以下、動画で実際の音を聞くことができます。

4つのモード

トラクションコントロール/フロントホイールリフトコントロール/回生ブレーキコントロール/ウォーク&リバースモードの、4つのライディングモードを搭載しています。ウォーク&リバースモードは歩くスピードと同じくらいにスピード上限を制限するシステム。パドック内など、速度を落とすひつようがある場面でも安定感を感じながら乗ることができます。

Off1.jp編集部は、情報公開に先行して行われた「TE-1プロジェクト」の説明会に参加。そこではフェーズ4の結果報告と質疑応答が行われました。質疑応答でオフロードモデルの開発について質問が投げかけられると、トライアンフは「イギリスの電動バイクメーカーOSET bikesを買収したことがその兆しです。始めに子ども向けの電動オフロードバイクを開発し、オフロードバイク市場に参入していきたい。時間はかかると思いますが、そこから徐々に電動バイクの幅を広げていけたらと考えています」とコメント。「TE-1」の開発の先にはオフロードモデルの投入も考えているというトライアンフ。今後もその動向に注目が集まります。