オフロードバイクはサスペンションが大事。特にスピードや走破力を競うエンデューロレースに出場したことがあるライダーはこのことを実感していると思います。そんなエンデューロレースから林道ツーリングまで幅広くシェアを拡大中のBETA RR2T/4Tシリーズでは、純正サスペンションにSACHS社製を採用しています。SACHS社自体はドイツの大手サスペンションメーカーで、とても信頼度の高いメーカーなのですが、レースで上位を目指すライダーにとってこのRRに採用されているサスは必ずしもベストではないという意見も聞こえています。そしてそのことはBETAから発売されているRACING仕様がKYB製サスを標準装備していることからも分かるとおり。

「テクニクスのこだわりとしては、ミッドバルブと呼ばれるカートリッジ内部のバルブ部品周り一式です。アルミ削り出しピストンとピストンホルダーには、我々がオフロードユースに最適と考えているポート形状と、リーフスプリングミッドバルブを採用しました。また、スタンダードのバルブにはシムが1枚しか使われていないところ、多積層シムを用いることによって、ストロークスピードの変化にしっかりと対応できるシステムとしました。極低速でのスムースなフロントフォークの作動感と、大きなストロークスピードの変化にもリニアに減衰力を発揮し、全域でスムースかつしなやかに感じる作動感を狙っています。

さらにリバウンドニードルの形状を変更したことで、より細かくダンピング特性の調整を行うことができるようになりました。これによりライダーの好みやコンディションの変化に合わせてサスペンションのセッティングを最適化しやすくなっています」

とのこと。

こちらがテクニクス製のバルブと、スタンダードのバルブの比較。右側のスタンダードには、シムが一枚しか入っていないのがわかるでしょうか。

今回、テクニクスがこの問題に本腰を入れて解決策を提示してくれたことは、BETA RRシリーズオーナーにとって、これ以上ない福音となることでしょう。

このサスペンションのテストはG-NET全日本ハードエンデューロ選手権V6王者・ロッシ高橋が担当。ですが、決してハードエンデューロ用というわけではありません。ロッシの理想とするサスは常に鈴木健二の作るKYBサス。つまりはJECやJNCCなどの荒れている路面で行われるスピードレース全般にとって理想的なサスペンションに仕上がっていることでしょう。

「イニシャルの調整次第でクロスカントリーのようなスピード系レースから、ジャンプまで使える、懐の深いサスペンションに仕上がっていますよ」とはロッシ高橋の談。

2015〜2022年モデルまで幅広く対応可能とのことですので、サスペンションでお悩みのRRオーナーはぜひテクニクスにご相談してみてください。