終始、展開をコントロールし続けた藤原慎也と、ラストにかけた山本礼人
ハードエンデューロの戦い方は、日本では特にガラパゴス化していると感じる。縦に長い展開となり、セクション間のスピードをそこまで重視しない。エルズベルグロデオのトップ陣は、あの超大なコースをもって「スプリントレース」だと表現するほどだ。セクション間のスピードも、勝利への重大な要素である。日本の場合は、セクションを先に超えた者が、勝利へ近づいていく。まだまだ、ライダーの差が大きいのだろう。
だが、トライアルテクニックにおいて、このケゴンベルグの会場内随一であった藤原慎也も、そうやすやすと勝利を手にすることはできなかった。山本礼人、森耕輔、佐々木文豊、大塚正恒、西川輝彦、和泉拓、ZEROらG−NETで名を馳せるライダーにくわえて、全日本モトクロスを引退したばかりのIA1チャンピオン山本鯨も参戦。ほとんどのライダーは1周できない、と言われていた下馬評。エルズベルグのような1ラップレースではなく、周回レースだったが、最後のラストヒルは事前の走行で登頂できたものがいないと言われるほど。石戸谷のコースは、さすがオーストリアを見てきたライダーということもあって、時に難易度が上がりすぎる。会場を見て、多くのライダーは「これは今日は苦しいレースになる」と思ったはずだ。3時間という時間制限で、トップで1周ということになるのではないか…。